445.目指せ光パソコン (2004/12/29)

日経サイエンス2005年2月号に、「実現近づく光パソコン」と言う記事が掲載されています。最近のマイクロプロセッサーの性能は、コンピューターのほかの部品の性能を大きく上回るようになり、プリント基板上で実現できる伝送速度の限界を既に超えているとしています。


最新プロセッサーが3.6GHzで動作しても、マザーボード上の配線には1GHzの速さでしかデータを流すことができず、結果的にプロセッサーは75%の時間を待機していることになるそうです。


プロセッサーの速度が3.6GHzのクロックで動作していると言っても、数クロックを要する演算もありますから、1クロックごとにプロセッサーが出力するわけではありません。しかし反対に、処理をパイプライン化するなどの演算を高速化する工夫もしますから、結果的にプロセッサーの性能がマザーボードの伝送速度を上回る事になります。


このようにプロセッサーの場合は、テクノロジー(製造技術)の進歩以外に、アーキテクチャーの部分で高速化を行うことができますが、プリント基板の場合は、テクノロジー以外では伝送速度を上げていく方法がありません。


また基板上の伝送速度が高くなってくると同時に、信号の減衰も大きくなりますから、消費電流や伝送線路間の干渉の問題も増加して行きます。


そこで、注目を浴びてきたのが、光接続です。伝送線路が長くなってしまうシステム間の接続に光通信技術を採用すれば、一気にこの問題が解決すると言うのです。しかし、比較的距離が短いプロセッサーとメモリー間などでは光接続を採用しにくいため、システム全体の高速化の足かせになるだろうとしています。


プロセッサーなどの半導体にしても、加工技術の微細化だけで高速化が果たせた時代は終わり、配線間を微細にすることによって配線間容量が急激に増えるようになってきました。


例えば、長さを半分にするような微細化を行った場合、伝送距離は半分になりますが、配線容量は距離の二乗に反比例しますから4倍になり、かえって速度が落ちてしまうことさえあります。


そのためには単に微細化を進めるだけはなく、低誘電率素材の採用やアルミニウムから銅配線への転換など、数多くの改良を重ねて高速化を図っているのです。


そして、それらの改良だけでは進化できなくなった時、プロセッサー自らが量子コンピューターのような新たなステップを踏み出すのでしょう。


このほかにも、宇宙そのものが一種のコンピューターであるとする記事や、地球温暖化が逆に氷河期を早めてしまうかもしれないと言った記事が掲載されています。


興味のある方は、是非図書館でご覧ください。(もちろん本屋で買っても良いですが、、、)

444.パームが甦る日8: ネットにつながらない情報機器なんてあり得ますか? (2004/12/29)

パームは、パソコンとHotSyncしながら使うことを前提としているために、パソコンの周辺機器(付属品)と言う位置づけから抜け出せないと書いてきました。ネットワークからのダウンロードの為にパソコンの力を借りなければならない今のPDAでは、電子手帳と言うよりパソコンデータのハンディビューワーと呼ぶべきでしょう。


今や冷蔵庫や電子レンジまでもがインターネットに接続されようとしています。曲がりなりにも情報機器であるパームが、インターネットからいつまでも乖離されたままで良いはずはありません。


インターネットからデータをダウンロードしたいならば、パソコンに頼ることなく、PDAを直接インターネットにつなげばよいのです。確かに、これまでにもPHSカードを内蔵したパームがありましたし、スマートフォンと言われるパームは携帯電話を通してインターネットに接続することができます。


しかし、PHSによるデータ通信は、結果としてそれほど普及しませんでした。また、スマートフォンはあくまで携帯電話のひとつの形態に過ぎず、ビジネスモデルが異なります。それはそれでパームの普及と言う観点からは歓迎すべきものでしょうが、キャリア事業の一環として提供されるものであり、ここでは別のものとして扱うことにします。


以前、このサイトで「ダウンサイジング推進計画」と称しまして特集を組んだことがありました。ノートパソコンまでダウンしてきたサイズが、そこで止まってしまっているのではないかと言う疑問を投げたのですが、その原因にネットワークがあると思うのです。


ノートパソコンには機動力があると言ってもやはり重いものです。モバイルといっても使用場所は移動先の空港やホテル等に限られてしまいます。またユビキタスを目指すにしても、移動中にインターネットにつなげる方法は携帯電話しかなく、通信費や使用できる場所の制限があり、自由に使えるわけではなかったのです。


そこで登場してきたのが無線LANによるホットスポットです。まだ日本では大きな駅周辺や空港などに限られていますが、海外ではバス停のようなところにまで浸透してきているようです。


私は、無線LANをパームに標準で実装することによって、2つの事が同時に実現する可能性があると思います。


一つ目はダウンサイジングの進行です。ノートパソコン止まりであったダウンサイジングを、PDAのレベルまで引き下げることが現実的になるかもしれません。


二つ目は携帯電話への挑戦です。家庭の固定電話でも、これまでの電話回線からIP電話へのシフトが進んでいます。


これまでPDAは携帯電話によって席捲されてきたと言われてきましたが、携帯電話はキャリア(通信網)が生命線です。その生命線を、インターネットを経由するIP電話によって断ち切ることは、ありえないでしょうか?


無線LANのホットスポットが今後どれだけ普及するかに掛かっていますが、専用の回線を使う携帯電話に比べて、インターネットによるメールや電話は大きなコストメリットを生むでしょう。


これまでパームがパソコンに頼って来たことによって、パソコンと一緒に生長することができたのは事実です。


しかし、そろそろ親離れしないといけない時期に来ているのではないでしょうか?そして子は、いつしか偉大な存在であった親をも越えていくものなのです。

443.地震と津波 (2004/12/28)

インドネシアの地震による津波被害は、時間が経つにつれてその甚大さがはっきりしてきました。観光客が多いリゾートが直撃されたため多くのビデオ撮影が残されており、これまで津波自体の記録があまりなかったため知られていなかった津波の被害が、明らかにされつつあります。


津波警報システムが完備されていなかった地域であったため、地震や津波の事を知らずに海岸にいた人が多かったと言います。非日常を求めて訪れる南国のリゾート地で、これほど厳しい現実を目の当たりにするとは思っても見なかったでしょう。


東海、南海地震も、今回の地震と同じ様な構造によって引き起こされると言われています。しかも、一番早いところでは、地震発生から10分後には津波の第一波が到来しますから、津波警報システムが正常に機能したとしても、津波から逃げるだけの時間が確保できるか疑問があります。


特に平野部の大都市では、海岸線からかなり入った地域でも浸水する可能性があります。津波と言えばやって来る波の威力が強いように思いますが、海に海水が戻る時の方が破壊力があると言われています。


南海地震では阪神地方も5メートルぐらいの津波が予想されていますが、このような津波が来てしまえば、人口密集地では今回の津波以上の被害が出るでしょう。


地震も津波も、予報が的中すれば被害がすべて防げると言うわけではありませんが、予報が出たとき、一体何を準備してどこに逃げればいいのかを、もう一度考えておく必要がありそうです。南海地震を想定した訓練を阪神間の各都市で実施したとき、不法駐車によって水門が閉まらなかったりするなどの問題が指摘されたそうです。


近いところで発生した地震の場合、まず大きな揺れがありますから、それと同時に津波に対応しなければなりません。余震が続いている可能性もあり、そのような状況で津波に対して適切な判断が出来るでしょうか。


今回の津波被害で学ぶことは多いと思います。

442.技術とマナーを同時に磨く (2004/12/28)

電車の中の優先座席付近や禁止区域では、携帯電話をマナーモードにするのではなく、電源を切るようになりましたが、果たして何割の人が実行しているのでしょうか?


なかには優先座席に座りながら、大声で携帯電話で話している人がいたりします。(大阪のマナーが悪いからか?)禁止区域以外でも、大きな着メロを鳴らしながら平気で通話している人を必ず見かけます。


勿論、ルールとして守っている人も多いでしょう。通話を済ませてから乗車する人もいますし、乗車中に着信情報だけを確認している人もいます。ただ、傍若無人に携帯電話で通話している人がいる限り、我慢し続けている人には不公平感が残ります。


そもそも自動車電話から始まった移動通信ですから、携帯電話も移動しながら使わなければ価値が半減すると言えます。PHSは高速に移動しながらでは使えませんから、携帯電話が使えると言うことは優れた特長です。


携帯電話に掛かってくる電話に、緊急を要する重要なものがほとんどないことは、電車の中で大声で通話しているのを聞いていると(イヤでも聞こえてくるのです)良く分かります。しかし、せっかく移動中に通話できる技術があるのですから、それを生かすための方法はないのでしょうか?


私は、小声での通話なら決して迷惑だとは思いません。携帯電話はかなりの小声でも通話することが出来ます。「428.通話と会話のどちらが迷惑? 」の雑記にも書きましたが、迷惑さにおいては会話と通話は大差ないように思います。


それにも増して、現在の電車の中での通話の状況を見ていると、人間というものは電話が鳴れば緊急の電話かも知れないと考えたり、出なければ相手に失礼になるのではないかと考えたりするのは、ある程度仕方がないことなのかと思えてきます。


今、日本の鉄道のいくつかの場所で、列車内無線LANの実験が行われています。目的は、司令所と各列車の間の情報の交換だったり、車内からの高速通信の可能性の検証だったりしますが、いずれ列車内がホットスポットになるかも知れません。そうなれば、無線LANを使ったIP電話を、電車内で無制限に使うことが出来るようになります。


ただし、通話の声の大きさは、何か考える必要があるかも知れません。例えば、小声で話しても自分の声が大きく自分に聞こえるようにすれば、大声で話すと自分がうるさいですから、否が応でも小声になります。


世の中を便利で快適にしていくためには、技術を磨くだけでなく、マナーも同時に磨いていかなければならないのでしょう。

441.パームが甦る日7: 文字の書けない電子手帳 (2004/12/28)

さて、PDAがパソコンに頼っているのは、バックアップを取るためだけではありません。文字入力に関しても、パソコンの力を借りて行っている方は多いでしょう。


パームデスクトップと呼ばれるパソコンで実行するソフトウェアは、パームをパソコンと連携させるためにはなくてはならないものです。パームの基本的なアプリケーションをそのままパソコンの画面上で再現することが出来ますから、予定やメモをパソコンを使って高速に入力することが出来ます。


ところで、皆さんが辞書を買おうとするとき、何に着目して選ぶでしょうか?収録語数内容は勿論重要ですが、それと同時に「引きやすさ」を重視するのではないでしょうか?字の大きさ見出しの付け方字の大きさから紙の質装丁まで。あらゆる書籍の中で辞書ほど機能を重要視するものはないかも知れません。


電子辞書を選ぶ場合も同様です。売場に並んでいる電子辞書を使って、ある言葉の意味を調べるわけですが、引きやすさは重要な要素です。いくつかの電子辞書を試してみて、一番引きやすかった機種は印象に残るはずです。


手帳を選ぶときも、ページのめくりやすさや記入のしやすさは重要でしょう。手帳なら実際に書いてみなくても、使いやすいかどうかはすぐに判りますから、中のページをパラパラとめくっては、使いやすいかどうか判断をするのです。


このサイトを始めたころ、こんな雑記を書いたことがありました。つまり、売場においてあるパームを見て、使いやすい、便利だと思う人がいるのかと言うことなのですが、そもそも電子手帳にはまともに字が書けないのです。


電子辞書を買うつもりではなかったのに、売場でその便利さに感心して買って帰る人がいる、その隣のパーム売場では、買う気で来たのに文字を書き込むこともできないために、そのまま買わずに帰ってしまう人がいるのです。


文字を書くにも訓練が必要な手帳なんて、一体誰が買うのでしょうか?


ここにもパームがパソコンに頼りすぎた弊害があります。入力しにくければパソコンで入力して"HotSync"すればいいと。少なくとも紙の手帳は、それだけで完結しているのです。電子手帳はパソコンがなければ使えないものだとしたら、それはパソコンの付属品に過ぎないのです。


実は、パームへの文字入力をいかに賢く行うかは、大変難しい問題です。グラフィティーは優れた方法でありますが、慣れが必要になります。この文字入力とPIM機能の充実に関しては、最終回で提案してみたいと思います。(今から考えます。)