パームは、パソコンとHotSyncしながら使うことを前提としているために、パソコンの周辺機器(付属品)と言う位置づけから抜け出せないと書いてきました。ネットワークからのダウンロードの為にパソコンの力を借りなければならない今のPDAでは、電子手帳と言うよりパソコンデータのハンディビューワーと呼ぶべきでしょう。
今や冷蔵庫や電子レンジまでもがインターネットに接続されようとしています。曲がりなりにも情報機器であるパームが、インターネットからいつまでも乖離されたままで良いはずはありません。
インターネットからデータをダウンロードしたいならば、パソコンに頼ることなく、PDAを直接インターネットにつなげばよいのです。確かに、これまでにもPHSカードを内蔵したパームがありましたし、スマートフォンと言われるパームは携帯電話を通してインターネットに接続することができます。
しかし、PHSによるデータ通信は、結果としてそれほど普及しませんでした。また、スマートフォンはあくまで携帯電話のひとつの形態に過ぎず、ビジネスモデルが異なります。それはそれでパームの普及と言う観点からは歓迎すべきものでしょうが、キャリア事業の一環として提供されるものであり、ここでは別のものとして扱うことにします。
以前、このサイトで「ダウンサイジング推進計画」と称しまして特集を組んだことがありました。ノートパソコンまでダウンしてきたサイズが、そこで止まってしまっているのではないかと言う疑問を投げたのですが、その原因にネットワークがあると思うのです。
ノートパソコンには機動力があると言ってもやはり重いものです。モバイルといっても使用場所は移動先の空港やホテル等に限られてしまいます。またユビキタスを目指すにしても、移動中にインターネットにつなげる方法は携帯電話しかなく、通信費や使用できる場所の制限があり、自由に使えるわけではなかったのです。
そこで登場してきたのが無線LANによるホットスポットです。まだ日本では大きな駅周辺や空港などに限られていますが、海外ではバス停のようなところにまで浸透してきているようです。
私は、無線LANをパームに標準で実装することによって、2つの事が同時に実現する可能性があると思います。
一つ目はダウンサイジングの進行です。ノートパソコン止まりであったダウンサイジングを、PDAのレベルまで引き下げることが現実的になるかもしれません。
二つ目は携帯電話への挑戦です。家庭の固定電話でも、これまでの電話回線からIP電話へのシフトが進んでいます。
これまでPDAは携帯電話によって席捲されてきたと言われてきましたが、携帯電話はキャリア(通信網)が生命線です。その生命線を、インターネットを経由するIP電話によって断ち切ることは、ありえないでしょうか?
無線LANのホットスポットが今後どれだけ普及するかに掛かっていますが、専用の回線を使う携帯電話に比べて、インターネットによるメールや電話は大きなコストメリットを生むでしょう。
これまでパームがパソコンに頼って来たことによって、パソコンと一緒に生長することができたのは事実です。
しかし、そろそろ親離れしないといけない時期に来ているのではないでしょうか?そして子は、いつしか偉大な存在であった親をも越えていくものなのです。