426.カーナビと地図 (2004/12/11)

Project Palm機長さんが、「見失った地図」というコラムの中で、地図出版大手のアルプス社が民事再生法の適用を申請したニュースに触れられています。


アルプス社と言えば道路地図のアトラスシリーズを始め、パソコン地図情報ソフトのプロアトラスやインターネット地図検索のMapionなど幅広く地図情報を提供してきましたが、デジタル地図の製作コストの増大や電子地図の売り上げの減少によって、経営が行き詰まったそうです。


地図と言えば、従来の出版されるものにしてもカーナビゲーションの為の電子地図にしても、常に最新の情報によって改訂を続けて行かなければなりませんから、その作業コストは多大なものになるのでしょう。


USで自動車旅行をしようと思ったら、大判の道路地図1冊あればどこにでも迷わずに行くことが出来ます。日本のJAFに相当するAAA (American Automobile Association)が毎年発行するロードアトラスは、書店で購入することが出来るのですが、キャンペーン中ならわずか5ドルほどで買うことが出来ます。


インターステートや国道、州道のすべてがエリアごとに見開きになっており、大都市近郊の地図も適宜掲載されていますから、もうこれ以上の地図は要りません。この大判の地図が大きすぎる場合は、AAAのメンバーに無料で配られている、ハンディーサイズでほぼ同じ内容の地図を使うこともできます。


これに比べると日本の地図は高いように思います。確かに本屋で売られているものは立派な装丁がされていますが、逆にそれが使いづらかったりします。値段が高いためになかなか最新のものに買い換えることが出来ないことも、売り上げが伸び悩んだ原因になったのかも知れません。


ところでカーナビゲーションを使い始めると、地図を見ることが少なくなると言います。ディスプレーに表示される地図を見るよりも、音声案内に従う方が楽だからです。


日本人は地図を読む能力に優れていて、なかなか他の国の人々には真似の出来ないことらしいのですが、カーナビの普及によって、日本人の地図を読む能力が失われることがないようにしたいものです。


425.The Internet of Things (2004/12/11)

日経サイエンス2005年1月号に、「逆転の発想 インターネットゼロ」という記事が掲載されています。SCIENTIFIC AMERICANの2004年10月号に掲載された記事の翻訳です。少しそれらの雑誌の要約部分を読んでみましょう。


家庭に多くの電気機器が無秩序に溢れかえっているが、バルセロナアントニオ・ガウディーの建築と比較して、もっと有機的に結びつける必要があると説いています。


100年ほど前、バルセロナでアントニオ・ガウディーが建築したときには、造形美構造計算が継ぎ目なく統一された設計の中に盛り込まれており、単に装飾的な外観であるばかりでなく、同時に応力計算された構造でもあったそうです。


しかし、建物内の電気設備であるスイッチや電器ソケット、サーモスタットは完成した建物に後付けされされ、機能は埋め込まれてしまった配線によって限られてしまったのです。


複雑な装置やコンピューターはさらに後になって設置されたため、結果的に相当数の電気機器が建物内にあるにも関わらず、それらは全く有機的に結合されることなく、それぞれが全く違った方向を向いて設置されていったと説明しています。


これらの不自由さは、建築の経済性、エネルギーの効率性、建築の表現、そして結局は生活のクオリティーを犠牲にしてきたと言っています。


USの建築産業の規模は1兆ドルに及びなすが、そのうちの数十億ドルは配線を引き回しや、そのやり直しの為に費やされているそうです。


ここ数年に渡って「スマート・ホーム」プロジェクトが、「インテリジェント・ビルディング・インフラストラクチャー」を求めてさまよっています。電気設備は建築時に固定されてしまうものではなく、使用者によって流動的に再配置されなければならないとしています。


インターネットは誕生から30年間に7桁に及ぶ進歩を遂げた間にも、ほとんどその姿を変えることがなかったのは、技術に依存する要因を仕様から排除したためだったとしています。


同じ考え方で建物内に散らばって存在している電気機器を相互接続するためには、最も基本的な電球と、現在インターネットの接続対象となっているサーバーの、似ているところと異なるところをはっきりさせる必要があるとしています。


この考え方は、パームと携帯電話や手帳の似ているところと異なるところを発見する事によって、パームのあるべき役割を確認するのに役立つかも知れません。3つの情報管理の方法が有機的に補完しあうことによって、新しい価値が生み出されることもあり得るのでしょうか?