450.2004年を振り返って (2004/12/31)

あと2004年も20分ほどで終わろうとしています。


2004年は何と言っても自然災害の多い年でした。これが今年限りなのか、地球温暖化などの傾向を伴った継続的なものなのか分かりませんが、来年は平穏な年になることを願っております。


PalmTrotterを、今年も一年間継続する事が出来ました。本当にありがとうございました。これもサイトを訪れていただく方々や、コメントをいただいた方々の力添えがあってことと感謝いたしております。


今年2月に、念願のパームボンチ「無理矢理の新人賞」を頂き、その賞に恥じないよう努力して参りました。昨年は300回更新を目標にしましたが、今年は当初は目標を立てなかったことと、仕事が忙しくなってきたために、更新が進みませんでした。


10月末のウェブログ移行時点で100回の更新に留まっておりましたが、ウェブログに移行した後にスピードを速め、約2ヶ月で50回の更新を追加することが出来、2004年通年では150回の更新を残すことが出来ました。


最後の2ヶ月で50回の更新はさぞかし多いだろうと思ったのですが、昨年の平均ペースよりまだ下回っていたのですね。(昨年はよほど暇だったと見える!)


今年の特集で力が入ったのは、340から348の「パーム普及作戦小学生編」と、420から449にかけて不連続でお送りした「パームが甦る日」でしょうか。


あとは、ふふふ総帥との共同企画であった、「無理難題コラム」でしょうか。このコラムが始まったのはちょうど暑い時期で、パソコンのディスプレー(CRT式)の内部で「パチパチ」という音が頻繁にして、もしディスプレーがぶっつぶれたらどうしようと、気が気でありませんでした。それほど、白熱したコラムだったと言うことでしょうか。


今年も一年、どうもありがとうございました。

2005年は、皆様におかれましても幸多き年になりますことを、お祈りいたしております。

良いお年をお迎えください。

449.パームが甦る日10: 手のひらのインテリジェンス (2004/12/31)

パームがメモリー・デバイス無線LANを搭載した時、携帯電話やパソコンと互角の戦いが出来るようになるでしょう。その時、パームがモバイル端末として君臨する携帯電話にあらためて挑戦すると同時に、コンピューターのダウンサイジングが再び始まる可能性を秘めているのです。


この筋書きとは別に、今の手帳のユーザーにパームを使ってもらうためには、いったいどうすればいいのでしょうか?紙の手帳を越えるためには、何が今のパームに足りないのでしょうか?


一言で言うならばインテリジェンスが足りないのではないでしょうか?単に紙の手帳のフォーマットを焼き直しただけの今のパームには、インテリジェンスは感じられません。


「手で書いた文字を認識するのだから、インテリジェンスはあるはずだ」とおっしゃっても、それは機械好きだから言えること。紙の手帳は、認識なんかしなくても、書いたとおりの文字をそこに残せるのです。電子化のためのインテリジェンスには意味がありません。


「文字がデジタル情報になるからパソコンに転送することもできるよ」、では手帳のユーザーをパームに振り向かせることは出来ないのです。


ここからは私の希望です。パームに入力されたデータを、メモリーの中でデーターベースに一元管理して、すべてのアプリケーションでひとつのデータベースを参照するようにするのです。


これまでにも予定表とToDoを融合させる試みなどがありましたし、データ同士をリンクでつなぐ方法などはありました。ただこれは,使う人がすべてを管理してやらなければなりません。使う人がデータの構造を考えなくてもパームが自動的に行い、手帳を電子化するメリットを発揮するのです。


入力するときはひとつのデータだったものが、時間が経つと関連のあるデータが自動的に結びついている様な感じでしょうか。入力したデータが、予定表のどこに書かれているのかを意識しないデータベース構造が、パームの可能性を飛躍的に高めるのではないかと考えています。


入力する場合は、「1/5 12:00 会議」と入力すれば、予定であると認識してアラームの必要性や優先度を、必要に応じて自動的に質問するのです。また、電話番号らしき数字の羅列が入力された場合は、それがアドレス帳かメモ帳であることを判断して、さらに必要な情報があれば入力の必要性を問い、情報を揃えてくれるようなものを考えています。


キーワードを項目ごとに設定しておき、例えば時間なら、「12:00ー13:00」、「1200-1300」、「12.00-13.00」等は同じく予定表の入力だと解釈し、アドレスにある人の名前や電話番号が入力されたら、自動的にそのデータにリンクを張るなど。将来の時間を一緒に記入すれば予定表として、過去の時間なら日記として自動的に区別し、実はデータが格納されるのはひとつのデータベースで、どのアプリケーションからでも利用できるようにするのです。


データ・プロセッシング・マシンであるコンピューターにとって、データ構造は重要な意味を持ちます。データをどのように記録しどのようにして取り出すかは、コンピューターの能力を最も大きく左右する要素です。


すべてのアプリケーションで共有できるデーター構造を持つデータベースを再構築し、アプリケーション間の境界を取り去ることによって、パームの機能を柔軟で拡張性のあるものに変えることができないものでしょうか?


次に文字入力方法です。グラフィティはよい技術でしたが、手で書くより楽にはなりません。電子化する事によって手書きより楽に入力できなければ意味がありません。


グラフィティの欠点は、文字ごとにルールがあるため文字の数だけ覚えなければならないことです。ルールが必要な場合でも、1つか2つの基本的なルールだけを絞るべきでしょう。


グラフィティの技術を応用するのなら、何十通りもの書き方から選べるようにするとか、その人の書くパターンを文字ごとに記憶するなどの柔軟性が必要でしょう。


ここでは具体的な文字入力方法を示すことは出来ませんが、直接仮名入力を含め、手帳として十分な文字入力方法を提供することが、PDAが甦るための必要条件でしょう。


店頭でパームを試したとき、まず文字入力に快感を覚えるようでなければなりません。売場で文字入力に魅力を感じなければ新規のユーザーを増やすことが出来ず、結果として手帳には勝てないのです。


これを読まれた皆さんは、もっと画期的なアイディアをお持ちではないですか?


私は固く信じています。あと数年すれば、モバイルIT機器の主流はPDAになると。なぜ私がそう考えるのか?


それは、PDAが長い間使い続けた紙の手帳と、同じサイズのIT機器だからです。人間の手のひらの大きさは、そう簡単には変わらないのです。


「PDAの時代は終わった」と言うのは誤りであると断言いたしましょう。PDAの時代は、まだ始まっていなかったのです。この特集の最後に、私は大声でこう叫びたい。


「PDAの時代はこれからだ!」

448.地震で傾いた地球 (2004/12/30)

インドネシアで発生した地震の解析が明らかになるにつれて、その発生規模の巨大さにあらためて驚かされます。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。今後の一日でも早い復興を願うばかりです。


阪神大震災の1600倍のエネルギーが放出されたと言っても、あまりにも違いが大きすぎて比較しにくいのですが、断層の大きさやズレた量を聞いただけでも、とてつもない規模の地震であったことが判ります。


CNN.comのSCIENCE&SPACE欄に12月29日付で、今回の地震によって地球の回転が加速され、これからずっと地球の1日の時間はほんの少しずつ短くなり、さらに地軸に揺れをもたらしたというニュースが掲載されています。


USカリフォルニアのNASAジェット推進研究所の地球物理学者が発表したところによると、地震によって地球の質量が中心に向かってシフトしたため、地球の1回の自転が3マイクロ秒早くなり、地軸を1インチ傾けた事になるそうです。


ただ、地球は通常公転する際に33フィート程のズレを伴って回転するため、1インチの変動そのものの影響は大きくないそうです。ただこの回転速度の変化が蓄積すれば、年末の最後の秒を飛ばす必要が出るであろうとのことです。


地球上の潮流や地下水の変化によって自転は常に変動しており、それ程正確な回転をしているわけではないそうです。また、変動があっても正確な原因が分からないことが多いそうです。今回の地震による自転速度の上昇は、原因がはっきりしている数少ない例になったようです。


ところで、同じくCNN.comに、今回の津波の被害で動物が犠牲になった例がほとんどないことが取り上げられていました。動物が津波を予知して、安全な場所に逃げたのではないかと言われているそうです。


津波予報システムが、日本を含め環太平洋に張り巡らされていると言っても、地震が起こってから津波を予想するのですから、地震発生から津波到達までが10分と言われている日本近海の海洋性地震では、避難に十分な時間が確保できません。


正確に津波を予想できて、地震発生から直ちに対象地域の住民に広報することが技術的に可能だとしても、その時には既に逃げ遅れていると言える場合も多いのではないでしょうか?


動物の予知能力を真剣に研究することが、今必要なのかも知れません。

447.開拓者は詰めが甘い? (2004/12/30)

「詰め」と言えば将棋を想像してしまいますが、将棋はその緻密な計算と戦略によって勝敗が決まり、細やかな神経が要求される世界です。


日本人のように人間の内側からパワーをひねり出すタイプの人間(どんな人間なんだ?)に如何にも向いている競技であります。じっくり磨き込まれた経験によるものと言えましょうか。


対して、アメリカ人の戦略は、新規な発想に基づく一発勝負的なもののように思います。じっくり磨き込んだいぶし銀ではなく、これまでに見たことのない様な輝きを持ったものの方が得意なようです。


だからといって、すべてに新しいものを要求するかというとそうではなくて、気にしなければ古いものでも平気で使い続けるのです。


USに15年ぐらい前に行って驚いたのは、日本ではかなり旧式で、中古としてもかなり古い部類の一眼レフカメラが、新品としてカメラ屋のショーウィンドーに飾られていたことです。いまさらビキニ姿の宮崎美子はないだろうと思ったものです。もっと古いペンタックスのプラクチカマウントのカメラも新品として並んでいます。


要するに古くても十分間に合えばそれで満足して使うし、新しいものなら全く新規なものが好きだと言うことでしょうか。


自動車にしても、日本やヨーロッパなら排気量がどうだとか馬力がどうだとか、多少は気にするものですが、「新製品は馬力が5%アップした」みたいな些細な事にはこだわらないようです。


伝統を育てていくという風土がないからでしょうか。いったん世の中に出て一定の評価を得たとしても、それを磨き込んで改善していくことはせずにほったらかしにしておいて、それが駄目になったらまた全く別のものに乗り移ってしまうのです。


これがアメリカ人の強みであり弱みでもあります。パームのPIMに関しても全く同じ事が言えるのではないでしょうか?


詰めが甘い!


と言うより詰める気がないのでしょう。アメリカ人の開拓者魂が、そんなせこいことをさせないで、常に新規なものを探し求める事を要求するのかも知れません。

446.パームが甦る日9: PDAが抱える致命的な問題点 (2004/12/30)

さて、これまで8回にわたってお届けして参りました特集、「パームが甦る日」。このあたりで前置きはそろそろ終了して(長い前置きやなー)本題に入らなければ年を越してしまいそうです。


その前に、これまでのあらすじを簡単に書いておきたいと思います。



  • PDA携帯電話PIMに負けたのが本当なら、何故手帳はなくならないのだろうか?
  • 手帳売場には毎年同じように手帳が並んでいるが、手帳の売れ行きには毎年変化がないように見える。
  • パームは手帳のハードウェアをそのまま電子化するのではなく、ソフトウェアまで含めた電子化をする必要があるのではないか?
  • PCとの"HotSync"に頼っていては、パームはいつまでもPCの付属品に過ぎない。
  • PCから独立するために、バックアップはメモリーデバイスに、インターネットは無線LANで対応すれば良い。
  • 同時にダウンサイジング携帯電話へ挑戦することによって、一気にIT機器の覇権を取ることが出来るかも知れない。

と、まあこんなところでしょうか。パームはこれまで面倒なところをPCに頼っていたところがありましたが、PCの力を借りないようにすることによって、逆にPCや携帯電話の牙城に切り込むことが出来るのではないかというのです。


ただこれには、致命的な問題点があります。PCと携帯電話の牙城に攻め込むことができるのは、PCも携帯電話も作っていないメーカーでなければならないからです。PalmOneには出来ても、おそらくソニーには出来ないでしょう。


PDAが本来のポテンシャルを発揮できない理由は、実はこの辺りにあるのかも知れません。ほとんどのメーカーは、既にパソコンや携帯電話でビジネスを成り立たせていますし、突如として無名のメーカーがPDA業界に参入しても、無名なだけにそう簡単に振り向いてはもらえないのです。


いつの日か、手のひらサイズの情報機器のあるべき姿を世に問う、勇敢な企業が現れることを、心から待ち望んでおります。


さて、この特集の本題は、「パームを電子手帳としてよりよいものにするにはどうすればよいか」を提案することです。


手帳が使い続けられている秘密は、それぞれの使い手による工夫にあると書きました。ですから、手帳としてパームをより良いものにして行くには、使い手のアイディアが必要です。


こう書くと、「だからパームはパームウェアをダウンロードして、使い手の好きなようにカスタマイズ出来るようになっているではないか」と言われそうですが、それはそれが好きで出来る人だから言えること。ほとんど人はそんなのは面倒なのです。


これまで、パームのPIM機能にはあまり手が加えられてきませんでしたが、改良できるところはたくさんあるはずです。次回は最終回として、パームが紙の手帳に取って代わるための条件を、一パームユーザーである私の希望と言う観点で、書かせていただきたいと思います。