448.地震で傾いた地球 (2004/12/30)

インドネシアで発生した地震の解析が明らかになるにつれて、その発生規模の巨大さにあらためて驚かされます。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。今後の一日でも早い復興を願うばかりです。


阪神大震災の1600倍のエネルギーが放出されたと言っても、あまりにも違いが大きすぎて比較しにくいのですが、断層の大きさやズレた量を聞いただけでも、とてつもない規模の地震であったことが判ります。


CNN.comのSCIENCE&SPACE欄に12月29日付で、今回の地震によって地球の回転が加速され、これからずっと地球の1日の時間はほんの少しずつ短くなり、さらに地軸に揺れをもたらしたというニュースが掲載されています。


USカリフォルニアのNASAジェット推進研究所の地球物理学者が発表したところによると、地震によって地球の質量が中心に向かってシフトしたため、地球の1回の自転が3マイクロ秒早くなり、地軸を1インチ傾けた事になるそうです。


ただ、地球は通常公転する際に33フィート程のズレを伴って回転するため、1インチの変動そのものの影響は大きくないそうです。ただこの回転速度の変化が蓄積すれば、年末の最後の秒を飛ばす必要が出るであろうとのことです。


地球上の潮流や地下水の変化によって自転は常に変動しており、それ程正確な回転をしているわけではないそうです。また、変動があっても正確な原因が分からないことが多いそうです。今回の地震による自転速度の上昇は、原因がはっきりしている数少ない例になったようです。


ところで、同じくCNN.comに、今回の津波の被害で動物が犠牲になった例がほとんどないことが取り上げられていました。動物が津波を予知して、安全な場所に逃げたのではないかと言われているそうです。


津波予報システムが、日本を含め環太平洋に張り巡らされていると言っても、地震が起こってから津波を予想するのですから、地震発生から津波到達までが10分と言われている日本近海の海洋性地震では、避難に十分な時間が確保できません。


正確に津波を予想できて、地震発生から直ちに対象地域の住民に広報することが技術的に可能だとしても、その時には既に逃げ遅れていると言える場合も多いのではないでしょうか?


動物の予知能力を真剣に研究することが、今必要なのかも知れません。

447.開拓者は詰めが甘い? (2004/12/30)

「詰め」と言えば将棋を想像してしまいますが、将棋はその緻密な計算と戦略によって勝敗が決まり、細やかな神経が要求される世界です。


日本人のように人間の内側からパワーをひねり出すタイプの人間(どんな人間なんだ?)に如何にも向いている競技であります。じっくり磨き込まれた経験によるものと言えましょうか。


対して、アメリカ人の戦略は、新規な発想に基づく一発勝負的なもののように思います。じっくり磨き込んだいぶし銀ではなく、これまでに見たことのない様な輝きを持ったものの方が得意なようです。


だからといって、すべてに新しいものを要求するかというとそうではなくて、気にしなければ古いものでも平気で使い続けるのです。


USに15年ぐらい前に行って驚いたのは、日本ではかなり旧式で、中古としてもかなり古い部類の一眼レフカメラが、新品としてカメラ屋のショーウィンドーに飾られていたことです。いまさらビキニ姿の宮崎美子はないだろうと思ったものです。もっと古いペンタックスのプラクチカマウントのカメラも新品として並んでいます。


要するに古くても十分間に合えばそれで満足して使うし、新しいものなら全く新規なものが好きだと言うことでしょうか。


自動車にしても、日本やヨーロッパなら排気量がどうだとか馬力がどうだとか、多少は気にするものですが、「新製品は馬力が5%アップした」みたいな些細な事にはこだわらないようです。


伝統を育てていくという風土がないからでしょうか。いったん世の中に出て一定の評価を得たとしても、それを磨き込んで改善していくことはせずにほったらかしにしておいて、それが駄目になったらまた全く別のものに乗り移ってしまうのです。


これがアメリカ人の強みであり弱みでもあります。パームのPIMに関しても全く同じ事が言えるのではないでしょうか?


詰めが甘い!


と言うより詰める気がないのでしょう。アメリカ人の開拓者魂が、そんなせこいことをさせないで、常に新規なものを探し求める事を要求するのかも知れません。

446.パームが甦る日9: PDAが抱える致命的な問題点 (2004/12/30)

さて、これまで8回にわたってお届けして参りました特集、「パームが甦る日」。このあたりで前置きはそろそろ終了して(長い前置きやなー)本題に入らなければ年を越してしまいそうです。


その前に、これまでのあらすじを簡単に書いておきたいと思います。



  • PDA携帯電話PIMに負けたのが本当なら、何故手帳はなくならないのだろうか?
  • 手帳売場には毎年同じように手帳が並んでいるが、手帳の売れ行きには毎年変化がないように見える。
  • パームは手帳のハードウェアをそのまま電子化するのではなく、ソフトウェアまで含めた電子化をする必要があるのではないか?
  • PCとの"HotSync"に頼っていては、パームはいつまでもPCの付属品に過ぎない。
  • PCから独立するために、バックアップはメモリーデバイスに、インターネットは無線LANで対応すれば良い。
  • 同時にダウンサイジング携帯電話へ挑戦することによって、一気にIT機器の覇権を取ることが出来るかも知れない。

と、まあこんなところでしょうか。パームはこれまで面倒なところをPCに頼っていたところがありましたが、PCの力を借りないようにすることによって、逆にPCや携帯電話の牙城に切り込むことが出来るのではないかというのです。


ただこれには、致命的な問題点があります。PCと携帯電話の牙城に攻め込むことができるのは、PCも携帯電話も作っていないメーカーでなければならないからです。PalmOneには出来ても、おそらくソニーには出来ないでしょう。


PDAが本来のポテンシャルを発揮できない理由は、実はこの辺りにあるのかも知れません。ほとんどのメーカーは、既にパソコンや携帯電話でビジネスを成り立たせていますし、突如として無名のメーカーがPDA業界に参入しても、無名なだけにそう簡単に振り向いてはもらえないのです。


いつの日か、手のひらサイズの情報機器のあるべき姿を世に問う、勇敢な企業が現れることを、心から待ち望んでおります。


さて、この特集の本題は、「パームを電子手帳としてよりよいものにするにはどうすればよいか」を提案することです。


手帳が使い続けられている秘密は、それぞれの使い手による工夫にあると書きました。ですから、手帳としてパームをより良いものにして行くには、使い手のアイディアが必要です。


こう書くと、「だからパームはパームウェアをダウンロードして、使い手の好きなようにカスタマイズ出来るようになっているではないか」と言われそうですが、それはそれが好きで出来る人だから言えること。ほとんど人はそんなのは面倒なのです。


これまで、パームのPIM機能にはあまり手が加えられてきませんでしたが、改良できるところはたくさんあるはずです。次回は最終回として、パームが紙の手帳に取って代わるための条件を、一パームユーザーである私の希望と言う観点で、書かせていただきたいと思います。