427.パームが甦る日3: 手帳にも弱みがある (2004/12/12)

前回ご紹介した「能率手帳」が、55年間も継続して販売されてきたと言うのは、さすがに歴史の重みを感じます。長年の間に改良を重ねてきたでしょうから、紙の手帳は既に完成したものになっていると言えるでしょう。


実は私もパームを使い始めるまでは、20年以上手帳を愛用しておりました。(相当じじいだな!)


会社で毎年支給されていた一般的な手帳から、ダイヤリー形式の大判のものまで、あるいはシステム手帳も使ったことがありました。最終的には大判のものは携帯に不便ですから、やはり小型のポケットサイズのものを愛用しておりました。


手帳を使う目的にはいろいろありますし、手帳の使い方も人それぞれで異なっていると思います。同じ手帳を使う人が二人いたとしても、その使い方が同じであることはほとんどないでしょう。手帳の使い方には使う人ごとのスタイルがあります。手帳ほど使う人の個性がはっきり表れるものは、他にないかも知れません。


私も試行錯誤しながら、「来年の手帳は使い方をこのように変えていこう」などと考えながら、自分なりに工夫したものです。


しかし、20年間使った経験から、紙の手帳にはどうしても使い方の工夫だけではカバーできない部分があると感じました。如何に長年の間改良を重ねてきた手帳と言えども、使っている内に歯がゆさを感じる事があったのです。


ひとつには、一時的に控えておきたい情報を簡単に消せないと言うことです。例えばToDoのような使い方がありましょう。手帳の中には、メモ用紙の部分をミシン線から切り離すことが出来るようになったものがありますが、それでも十分ではありません。


解決するためには、手帳と使い捨てのメモ用紙を併用するしかありません。手帳からパームに移った場合でも、hanchanさんのコメントにもありますようにメモ用紙をパームと併用している方がいらっしゃいますから、メモ用紙はいずれにしても必ず必要になりそうです。


メモには、一日や二日の覚え書きから数年間に渡って記憶しておかなければならないものもあります。数日から1ヶ月単位で情報を扱うことが多いスケジュールや、長い間参照することになる住所録に比べると、情報の賞味期限にばらつきがあります。


手帳やパームはオーガナイザーと呼ばれますが、メモ用紙はオーガナイズされないものなのかも知れません。もしメモ用紙をうまくオーガナイザーの一部として取り込む事ができれば、手帳を進歩させるヒントになるかも知れません。


ToDoは、手帳でもなかなかうまく解決できないものではないでしょうか。そもそも手帳の中に最初からToDoのためのページがあるものは多くはありません。期限や優先順位によって順番が入れ替わることもしばしばですし、手帳の弱点のひとつと言えるでしょう。


もちろんToDoのアイテムが少なければ可能でしょうが、ToDoを紙の手帳で管理するのにすっきりと美しくする方法はなさそうです。しかも、人によってはToDoが一番大切であったりしますから、手帳を使い込んでいる人の悩みの種になっているのではないでしょうか。


手帳の弱点を一言で言うならば、「一度書いたら簡単には消せない」と言うことになるでしょうか。


別の言い方をすれば、編集・更新がきれいに出来ない、つまり情報のメインテナンスが容易でないと言うことになります。


その結果、長い間使い込まれた手帳には新しい情報と古い情報が入り乱れ、後から必要な情報を容易に取り出すことが出来なくなってしまうのです。パソコンで例えればデフラグをする前のディスクの状態のようなものですから、必要な情報にアクセスするのに無駄な時間を費やす事になります。


これでは長い間に手帳に書き込まれて蓄積した情報を、有効に活用することが難しくなります。


では、今書店などで売られている手帳にはどのようなものがあるのかを、次回は見て行くことにしましょう。