285.600メートルの第2東京タワーは必要か? (2003/12/18)

首都圏の地上デジタル放送に使う第2東京タワーの建設に向け、推進プロジェクトがNHKと民放5局共同で発足したそうです。


地上デジタル放送受信障害を減らす為には、高さ600メートル級第2東京タワーから強い電波を出す必要があるそうです。デジタル技術を使っても、相変わらず受信障害が起こると言うのも滑稽な感じがしますが、果たしてそのような巨大なタワーを建てる必要があるのでしょうか?


都心部では、如何にアンテナの向きを調整しても、周辺のビルやマンションによる電波障害を避けることは難しくなってきました。例えそれほど大きくないビルであっても、周辺の住宅への電波障害の原因となり得ます。


すでに都会ではケーブルテレビが普及してきています。ケーブルテレビのメリットは、受信障害がないと言うだけでなく、チャネル数が多いことを利用して、地上波放送以外の地域チャネルや有料放送を配信することができます。また、双方向性を利用してインターネットとしても利用されています。


高い塔を建てて強力な電波を発信すると言う物量作戦もあるかもしれませんが、それだけで受信障害が根本的になくなるとは思えません。新タワーの建設費が、既に敷設が進んでいるケーブルテレビを維持する費用より安いのならばメリットがあるかも知れませんが、高さ600メートルのタワーがそれほど安い物とは考えられません。


それ以前に、地上デジタル放送そのものの魅力があるかと言うことになるのですが、これまでと放送内容が大差ないとしたら、地上デジタル放送そのものの将来はあまり明るいとは言えないでしょう。


いくらチャネルが増えたとしても、内容のない「薄いコーヒーとお茶の出がらし」ばかりになってしまっては、どこかの「キツネが走る高速道路」と同じです。インフラの整備は社会を充実するためには重要ですが、だからこそ社会のニーズを正しく捉えていなければなりません。


インターネットの普及による危機感を持ち、価値ある情報を配信すると言う本来の姿を求めていかなければ、多様化した情報ネットワークから放送(broadcast)システムそのものが脱落する事になりかねません。


電話が変わり、新聞が変わり、広告が変わり、そろそろ放送も変わらなければならないでしょう。タワーが放送の権威であった時代は、とうの昔に終わっているのです。

284.無沸騰で省エネの茹で麺機 (2003/12/18)

最近は、もはや当たり前過ぎて話題にもなりませんが、パスタの茹で加減は「アルデンンテ」が良いと言われています。アルデンテに関して講釈するほどパスタには詳しくないのですが、ふにゃふにゃであったり芯の残ったパスタが出てきた時は、味以前の問題として苦痛を味わうことになります。


USなどでスパゲッティーを食べると、たいていはふにゃふにゃの麺が出てきます。あれだけ肉の焼き方にいろいろ注文できるのですから、麺の茹で加減もこだわってくれれば良いのにと思いますが、そもそも茹でてからかなり時間がたったものを使うようですから、一切こだわっていないのでしょう。諦めた方が良さそうです。


日本でも、如何にもこだわりを持っているといった評判のお店でスパゲティーを期待して待っていて、鋼のように硬い麺(少し言い過ぎですが)が出てくることがありました。


茹でた後にもう一度フライパンで炒めるからと、堅い目に茹で上げているつもりでしょうが、油で炒めたら確かに火は通りますが麺を茹でるのとは違いますから、芯の硬い麺はそのままか、あるいはさらに硬さに磨きがかかって登場する事になります。


このような麺が、如何にもイタリア料理専門店を標榜するお店で出された時の失望感は、もうそのお店に2度と訪れないようにするには十分です。


意外とチェーンで展開しているスパゲティー屋が、マニュアルで茹でる時間がきちんと管理されているからか、茹で加減が良かったりします。そこで登場するのが「茹で麺機」です。


日経BizTechに「96度でパスタを茹でる、無沸騰で省エネの茹で麺機」と言う記事が掲載されていますが、それまでの沸騰したお湯で茹でるのを改め、96度沸騰する直前の温度で茹でるようにした茹で麺機が紹介されています。


ご存知のように、水は100度で沸騰します。そしてその温度を維持するために沸騰し続けるようにしていたのですが、それでは気化熱を補給し続けなければならないのでエネルギーを大量に必要とします。さらに、蒸発した水を追加して行かなければなりませんから、水道代もかさみます。


この新しい茹で麺機では、使用する水の量は5分の1以下光熱費は20-30%で済むそうです。また、沸騰することによって麺が攪拌され、麺がくっつくのを防いでいたのですが、その代わりに噴流モーターを追加して解決しているそうです。


96度と低い温度になったため茹で時間が少し長くなるそうですが、食感には大差ないそうです。そのうちスパゲティー屋さんの前には、「当店は地球温暖化防止の為に省エネを実践しております!」、なんて掲げられるかもしれませんね。

283.みそ汁試食レポート (2003/12/16)

vega21.comで公開されましたみそ汁 forWin、早速試食してみましたので個人的意見を書かせていただきます。「ライバルはパームデスクトップ!」、と言う挑発的なコピーが、このソフトウェアがただ者でないことを物語っています。


以前、パーム社Palm DeskTop V4.0を公開した時、無料で使ってもらうことによってPIMのメリットを広く知ってもらい、その結果パーム本体の売り上げに結び付けようとした戦略を思い出しますが、果たしてみそ汁はPalm DeskTopを凌駕するのでしょうか?


Palm DeskTopのファイルにあるスケジュールの当日分を、小さいウインドーに表示してくれるのですが、あえて一言で言ってしまえば、これは「ポストイット」です。なかなか良いアイディアだと思います。ポストイットに一日分だけ書いて、終われば捨てる。まさにこの使い方に他なりません。


これに対してPalm DeskTopは予定表です(そのまま)。必要に応じて書き足したりできるボード状の物と考えられます。全体の予定を見渡すには良いのですが、当日忘れてはいけない事だけを表示するのには向いていません。


またPalm DeskTopは、常に表示するには大きすぎてすぐに他のウインドーの影になってしまいますが、みそ汁は小さいウインドーの為、いつもディスプレーの隅に表示を出しておく事ができます。


ライバルと言うことですが、みそ汁とPalm DeskTopは補完し合いながら使っていけると思いました。早速常用することになりそうです。


難点といえば、みそ汁のアイコンが少し目立つような気がします。会社で使う時は少しだけ気になります。


ところで、12月23日の14:00に、ふふふさんが誰と待ち合わせをされているのかが気になりますね。クリスマスプレゼントを買ってから待ち合わせて、ルミナリエを見た後食事ですか?うーん、想像力をかき立てますね!



282.電波はブレーキをダメにする (2003/12/15)

違法無線機の高出力電波によって、バスのブレーキが利きにくくなり事故につながった事があるとして、バスのメーカーがブレーキ部品の交換に応じているそうです。最近のバスは電子化が進んでいますから、強力な電磁波によって制御回路に余計な電流が流れてしまったのだと思われます。


もう30年近く前のことですが、今はほとんどの車に採用されている電子式燃料噴射装置で、同様のトラブルが起こった事がありました。当時、まだキャブレターが主流だった気化器が、電子化され始めた頃でした。


EGI(Electronics Gas Injection)EFI(Electronics Fuel Injection)などの呼び方で、一部の先進的な車種に採用されていたのですが、アマチュア無線などの電波を近くで発射されると、エンジンに異常をきたすことが報告されていました。違法電波に限らず通常の出力の無線機を積んだ車が隣に並ぶだけでも、問題が発生したそうです。


電波によって回路に起電力が発生すると正常な機能が損なわれますから、電子機器には電波を浴びないように、電磁遮蔽(シールド)などの処理が必要になる事があります。


今回の問題は、特別に大きな出力の違法無線機が原因らしいですが、大きい出力の電波と言えばこんな話もありました。


大阪の生駒山上には多くの放送局のアンテナがあります。その中で最も出力の大きいものがラジオのNHK第一・第二放送局でした。500Kwの出力で放送すると、生駒山の近くの街灯が音声に合わせて灯っていたそうです。


また、そのような電界強度の強いところでは、ワンターン(ワンタンではありません)ランプと言うものが光るのです。ワンターンと言うのは1回のターンと言うことで、豆電球の両端子に、銅線を直径10センチぐらいの輪にしたもの(腕輪のような感じです)を接続した物を、ワンターンランプと言います。


この輪になった銅線の中を磁界が時間的に変化すれば、銅線に電流が流れて電球が光るのです。直感的には有り得ない様に思うのですが、電池も何もない銅線だけで電球が光るのです。


電波が存在すれば、共振した回路には起電力が生じます。携帯電話を掛けると、妙に頭が冴えるとか、古いことを思い出したりする人はいませんか?

281.空港でフィルムのX線カブリを防ぐには (2003/12/15)

最近はデジタルカメラの普及であまり気にしないでよくなってきましたが、フィルムを使って撮影される方は、空港のX線検査で露光してしまうことが心配です。


従来の装置では低照度のX線によって検査を行っており、疑わしい場合は人手による検査をしていましたから、X線カブリが発生することは何回もX線検査を行わない限りありませんでした。


よく「ASA1000までのフィルムの場合は露光することはありません」、と書かれた検査装置がありますが、これは以前から使われている古いタイプのものです。


しかし、コダックが提供している情報によると、最近空港で採用されているX線検査装置は、怪しい物体が検出されるやいなや、強力なX線を自動的に発生させ、追加スキャンの機能によって徹底的に検査をするそうです。


特に、フィルム乳剤中のハロゲン化銀フィルムの金属容器(パトローネ)は、追加のX線スキャンを起動してしまうのに十分怪しい影を映してしまうそうです。


以前は預託荷物(Checked Baggage)の検査にのみ使われていたそうですが、最近は機内持ち込み手荷物の検査にも使用されているので注意が必要だとしています。この最新のX線検査装置の名前は、インビジョン テクノロジーズ社CTX-5000と言う装置で、手荷物検査エリアに、"InVision"のマークが付いていないか確認する必要があると注意を促しています。


さて対策としては、未現像のフィルム必ず係官に申請して、人手によるマニュアルチェック、あるいは物理検査(Physical
Check)
を要求することです。
FAA(米国連邦航空局)の規定 「FAA規則108.17(第108部–航空機運用者の安全性)(e)」 の中に、旅客の権利についての記述があるそうですが、要約すると以下の2点になります。



  1. 機内持ち込み荷物や預託荷物が、X線によって検査されることを旅客に知らせる必要があり、また旅客にカメラやフィルムの検査が、X線検査システムを通さずに行えることをアドバイスする必要がある。
  2. 旅客が要求した場合、カメラやフィルムはX線検査システムを通すことなく検査されなければならない。

この装置にかかると、未現像フィルムはASA100程度でも1回でX線カブリを起こす事があるそうですから、必ず申請してマニュアル検査をしてもらうようにしなければなりません。


最新の装置では液体の場合、可燃性の危険な物かどうかまで判断できるそうです。燃料用のアルコールとテキーラをどのように区別するのか興味がありますが、そのノウハウは機密事項なのでしょう。


このFAAの規定は、米国内の航空旅客にのみ適応されますので、日本国内はこの限りではないようです。先月関空の手荷物検査所場では、ASA1000以下なら露光しないと言っていましたから、まだこの最新機種は採用されていないようです。


ただ何回もX線検査をする場合は、もっと低い感度でもカブリを起こす危険性がありますから、できる限りX線検査を通さないように心がける事が必要だと思います。