最近はデジタルカメラの普及であまり気にしないでよくなってきましたが、フィルムを使って撮影される方は、空港のX線検査で露光してしまうことが心配です。
従来の装置では低照度のX線によって検査を行っており、疑わしい場合は人手による検査をしていましたから、X線カブリが発生することは何回もX線検査を行わない限りありませんでした。
よく「ASA1000までのフィルムの場合は露光することはありません」、と書かれた検査装置がありますが、これは以前から使われている古いタイプのものです。
しかし、コダックが提供している情報によると、最近空港で採用されているX線検査装置は、怪しい物体が検出されるやいなや、強力なX線を自動的に発生させ、追加スキャンの機能によって徹底的に検査をするそうです。
特に、フィルム乳剤中のハロゲン化銀やフィルムの金属容器(パトローネ)は、追加のX線スキャンを起動してしまうのに十分怪しい影を映してしまうそうです。
以前は預託荷物(Checked Baggage)の検査にのみ使われていたそうですが、最近は機内持ち込み手荷物の検査にも使用されているので注意が必要だとしています。この最新のX線検査装置の名前は、インビジョン テクノロジーズ社のCTX-5000と言う装置で、手荷物検査エリアに、"InVision"のマークが付いていないか確認する必要があると注意を促しています。
さて対策としては、未現像のフィルムは必ず係官に申請して、人手によるマニュアルチェック、あるいは物理検査(Physical
Check)を要求することです。FAA(米国連邦航空局)の規定 「FAA規則108.17(第108部–航空機運用者の安全性)(e)」 の中に、旅客の権利についての記述があるそうですが、要約すると以下の2点になります。
- 機内持ち込み荷物や預託荷物が、X線によって検査されることを旅客に知らせる必要があり、また旅客にカメラやフィルムの検査が、X線検査システムを通さずに行えることをアドバイスする必要がある。
- 旅客が要求した場合、カメラやフィルムはX線検査システムを通すことなく検査されなければならない。
この装置にかかると、未現像フィルムはASA100程度でも1回でX線カブリを起こす事があるそうですから、必ず申請してマニュアル検査をしてもらうようにしなければなりません。
最新の装置では液体の場合、可燃性の危険な物かどうかまで判断できるそうです。燃料用のアルコールとテキーラをどのように区別するのか興味がありますが、そのノウハウは機密事項なのでしょう。
このFAAの規定は、米国内の航空旅客にのみ適応されますので、日本国内はこの限りではないようです。先月関空の手荷物検査所場では、ASA1000以下なら露光しないと言っていましたから、まだこの最新機種は採用されていないようです。
ただ何回もX線検査をする場合は、もっと低い感度でもカブリを起こす危険性がありますから、できる限りX線検査を通さないように心がける事が必要だと思います。