282.電波はブレーキをダメにする (2003/12/15)

違法無線機の高出力電波によって、バスのブレーキが利きにくくなり事故につながった事があるとして、バスのメーカーがブレーキ部品の交換に応じているそうです。最近のバスは電子化が進んでいますから、強力な電磁波によって制御回路に余計な電流が流れてしまったのだと思われます。


もう30年近く前のことですが、今はほとんどの車に採用されている電子式燃料噴射装置で、同様のトラブルが起こった事がありました。当時、まだキャブレターが主流だった気化器が、電子化され始めた頃でした。


EGI(Electronics Gas Injection)EFI(Electronics Fuel Injection)などの呼び方で、一部の先進的な車種に採用されていたのですが、アマチュア無線などの電波を近くで発射されると、エンジンに異常をきたすことが報告されていました。違法電波に限らず通常の出力の無線機を積んだ車が隣に並ぶだけでも、問題が発生したそうです。


電波によって回路に起電力が発生すると正常な機能が損なわれますから、電子機器には電波を浴びないように、電磁遮蔽(シールド)などの処理が必要になる事があります。


今回の問題は、特別に大きな出力の違法無線機が原因らしいですが、大きい出力の電波と言えばこんな話もありました。


大阪の生駒山上には多くの放送局のアンテナがあります。その中で最も出力の大きいものがラジオのNHK第一・第二放送局でした。500Kwの出力で放送すると、生駒山の近くの街灯が音声に合わせて灯っていたそうです。


また、そのような電界強度の強いところでは、ワンターン(ワンタンではありません)ランプと言うものが光るのです。ワンターンと言うのは1回のターンと言うことで、豆電球の両端子に、銅線を直径10センチぐらいの輪にしたもの(腕輪のような感じです)を接続した物を、ワンターンランプと言います。


この輪になった銅線の中を磁界が時間的に変化すれば、銅線に電流が流れて電球が光るのです。直感的には有り得ない様に思うのですが、電池も何もない銅線だけで電球が光るのです。


電波が存在すれば、共振した回路には起電力が生じます。携帯電話を掛けると、妙に頭が冴えるとか、古いことを思い出したりする人はいませんか?