ついに日経産業新聞の「あの商品は今」の記事として、パームが取り上げられてしまいました。「この商品」ではなく「あの商品」です。
ワークパッドについて書かれている部分も多いので、過去の消え去った製品として対象になっているのはあくまでワークパッドであって、現行のパームやクリエの製品全体を指していないのかもしれません。
しかし、小型化されたノートパソコンや高機能化された携帯電話との競争に敗れたという話の流れからは、PDA全体が既に商品としての価値を失っているかのように書かれています。
ノートパソコンと電子手帳の中間的な存在として一時的に人気があったとされていますが、その役割を高機能化する携帯電話が徐々に奪っていったとしています。
元来通信機器である携帯電話が、メールやインターネットの機能をうまく取り込んで行ったのに対して、もともと通信手段を持たないPDAが苦戦をしたのは当然ですし、データ通信に適しているとされたPHSが携帯電話ほど普及しなかったことも、PDAにとっては不運でした。
また、高機能化した携帯電話がPIM機能を取り込むことによってPDAの市場を奪ったと言っていますが、携帯電話にとってPIM機能はおまけでしか過ぎず、電卓つきの携帯電話が電卓の市場を奪うことはないのと同様に、携帯電話の機能拡張がPDAの市場を奪ったとは言い切れないでしょう。
確かに携帯電話はモバイル機器の筆頭ですから影響が全くなかったとは言えません。ですからPIM機能を搭載した携帯電話に対抗して、携帯電話機能を搭載したTreoにはこれからもがんばってもらいたいのですが、それとは別にPDA本来の姿としてのPalmにも踏ん張ってもらいたいと思うのです。
と言うのも、パームが消えそうになっているのは携帯電話に負けたからではなく、パームが自滅したからではないかと考えているからです。
今年も年末に近づいて、去年と同じように来年の手帳が本屋で売られています。パーム売り場は衰退の一途をたどっていますが、紙の手帳の売り場にはほとんど変化がないように見えます。そればかりかある雑誌の最新号では、仕事での手帳の使いこなし方の特集を組んでいるぐらいです。
携帯電話のPIM機能をみんなが使っているのなら、手帳の市場も消えてなくなるはずですが、紙の手帳を持ち歩く人がいまだに大勢いらっしゃると言うことは、一体どういうことでしょうか?
「PDAは携帯電話に負けたのではなく、紙の手帳に勝てなかったのだ」と言うことではないでしょうか?
ここは原点に戻って、紙の手帳ともう一度真剣に勝負をする必要がありそうです。今回の特集は連続ではなく少し間を空けながらお届けしたいと思いますので、気長にお付き合いください。(ネタをこれから考えるのがバレました?)