570.ミネソタ見聞録9: 「大草原の小さな家」 (2006/01/29)

昨日、1月28日(土)は大雨でした。大雪も困りますが大雨もまたいやなものです。記録的な暖冬によって、季節はずれの雨になってしまったようです。


NHKが繰り返し放送してきた「大草原の小さな家」は、それほど熱心に観ていた方ではありませんでした。しかし、ここに来てゆかりの地が点在しているのを知ってしまうと、旅行系パームサイトを自認する当サイトとしては無視するわけにも参りません。


本来冬場は雪と氷に閉ざされてしまう地域ですから、ローラ・インガルス・ワイルダー(Laura Ingalls Wilder)に関するミュージアムのほとんどが、5月ごろまで閉鎖されています。NHKのドラマを見ていた人にとって一番人気のあるウォールナット・グローブ(Walnut Grove)でさえも、平日のギフトショップを営業するのみで土日にはすべて閉まっています。


ミネソタ近辺で冬場の土曜日も営業しているミュージアムが、アイオア州の北東部にあるバー・オーク(Burr Oak)にあるというので、大雨の中行って参りました。


途中、ミネソタ州のスプリング・バレー(Spring Valley)に立ち寄ってみました。ここはローラの家族が一時的にアルマンゾの家族の家に身を寄せていたというところで、1年間ほど住んでいたそうです。


博物館としては教会と、その前に当時の別の人の住居が見学できるようになっていますが、5月までは閉鎖とのこと。博物館の場所を尋ねた大雨の中犬の散歩をしていた男性の方が、なかなか感じのよい紳士だったのが印象に残っています。こじんまりとして落ち着いた素敵な町だったと思います。


そこからバー・オークに向かいましたが、このあたりにはアーミッシュ(Amish)が住んでいるらしく、ハイウェイにも「馬車が通るので注意」という標識が立っています。なるほど馬の糞らしき物体が、所々に転がっています。


バー・オークは、州境から程近いアイオア州にあります。ここも今はとても小さな田舎の町ですが、当時は一日に200台の幌馬車(Wagon)が町の大通りを行き交ったと言います。


ローラの家族が住んだ住居のうち、現存するものは2軒しかありません。またそのうちの1軒は、場所を移転しているそうです。バー・オークにあるローラの父さんが共同のオーナーになったという「マスターズ・ホテル」(Master’s Hotel)は、同じ場所に現存する唯一の建物になります。


ホテルの向かいに建つ、バー・オーク・バンク(Burr Oak Bank)の建物が保存教会の建物になっています。それはそれで昔の銀行を再現した歴史的に面白いものですが、中はギフトショップになっていてホテルのツアーもここで申し込みをします。


私が訪れたのは14時過ぎ。ちょうど2家族にツアーの説明を始めたときでした。運良くそのツアーに参加することができ、早速ツアー料金の5ドルを支払います。


ローラの家族がアメリカを転々と移動しながら、生計を立てていた旅程が地図を使って説明された後、ホテルへと移動します。1階にはパーラーとフロント、それに金持ちが一人で長期間泊まっていたという寝室がありました。ローラの直筆の手紙や、当時の幌馬車の生活が壁や床に所狭しと展示してあります。


幌馬車では1日に10マイル(16キロメートル)ぐらいしか進めなかったそうです。当時ホテルは町に3件しかなく、ひとつのベッドに3人がいっしょに寝ていたそうです。ひとり1泊25セントという値段表が入り口に掛かっていました。


2階はほとんど屋根裏部屋といった感じですが、4つの客室があり、そのうちのひとつにはローラの先生が住んでいたそうです。当時の旅行かばんや靴、寝具などがそのままの形で展示されています。


階下には台所とダイニングがあり、ローラたちが暮らした部屋がその奥にありました。当時の風呂は金属製の大きなタライといった感じで、お湯を沸かしていた台所のストーブに近い所に置くため、ちょうどローラたちの部屋の前にあったそうです。宿泊客は同じお湯を使い回しながら入ったそうです。


ローラの部屋は8畳程の部屋で、当時は3姉妹がいて5人家族でしたから、ほとんど雑魚寝状態だったと思われます。マスターズ・ホテルでの生活がローラの回想録にほとんど登場しないのは、きっと思い出したくないほどつらいものだったに違いありません。


ローラの家族の4番目の子供は男の子でしたが、生まれて9ヶ月で亡くなったそうです。ウォール・ナットグローブからの途中マンケート(Mankato)の病院で亡くなったそうですが、その男の子のお墓は見つからないそうです。


同じツアーに参加していた家族には、それぞれ小さな子供が2人ずついて、どうも御知り合いのご様子。しかもどちらの奥様も、黒い布でできた帽子を付けておられました。(アーミッシュの方たちだったようです。)


ツアーで説明してくれた女性は、ここのローラ・インガルス・ワイルダー保存教会の方で、ボランティアではなく給料が出ているそうです。日本からも多くの方が見学に来るということでした。観光客が少ない冬場は、ミュージアムの運営が資金的に困難であり、他の町にあるローラのミュージアムでは休業のところが多いそうです。


さて、バー・オークを後にしてぺピン(Pepin)へと向かいました。先週ぺピンの隣町まで行きましたが、再度ワバシャ(Wabasha)からミシシッピー川を渡りました。


ネルソン(Nelson)の町にある、前回は通り過ごしてしまったネルソン・チーズ・ファクトリー(Nelson Cheeese Factory)に立ち寄ってみました。ウィスコンシン州は酪農が盛んだそうです。


地元のチーズを試そうと思い、それらしいチーズ(Brie)を手に取ってウィスコンシン州産かどうか聞いてみたところ、それはヨーロッパからの輸入品だと言われてしまいました。そこで、ラベルにはっきりと”Made in Wisconsin”と書かれた"Smoked
Farmer"
というチーズを、4ドルほどで買いました。


さて、そろそろ日没も近づいてきました。ぺピンに行くと案の定、ミュージアムは5月からでないと開いていないとのこと。ただしローラの生家を再現した建物(Littele Hose wayside)は見学できると聞いていたので、近くのガソリンスタンドで場所を確認して行ってみました。


7マイル山奥に入っていったらありました。うーん、マイエンフェルトで見たハイジの家にそっくりです。建物は典型的な丸太小屋で、外から覗くと3つの部屋に分かれているようでした。「大きな森」とローラが回想した周りには森と言えるような木々はなく、開拓されたあとの姿が広がっていました。


そこに書かれていた説明には、ローラの父が、確かにここの土地を所有していたという記録が、地元の裁判所に残っているそうで、1867年2月7日ローラがこの地で産声を上げたことは、間違いなさそうです。


ミネソタに住んでいる人に聞くと、ほとんどの人がローラの話は知っていても、ローラゆかりの地を訪れた人は、私が聞いた範囲では(とても限られた範囲ですが)一人もいませんでした。近いのでいつでも行けると思うからかもしれません。


あるいは、自分のおじいさんやおばあさんがローラと同じ世代で、同じような話をよく聞かされ続けて来たのでしょうか?「大草原の小さな家」に登場する話は、ミネソタに生きる人たちにとっては遠い過去のお話ではなく、ごく身近な親族が体験してきた現実なのかもしれません。

569.ミネソタ見聞録8: ミシシッピー川を見に行く (2006/01/26)

ミシシッピー川と言えば北米を流れる代表的な川ですが、その源流はミネソタにあるそうです。先週の日曜に、なんとなく見に行きたくなって、ドライブがてら出かけて参りました。


ミネソタの南東部、ウィスコンシン州との境をミシシッピー川が流れています。ミネアポリスから1時間と少しと言うところにワバシャ(Wabasha)という小さな町があり、州道の60号線で小高い丘に登れば、悠々と流れるミシシッピー川を一望に眺めることができます。


このあたりには比較的多くの橋がかかっていて、川をどちらの側からでも眺めることができます。ミネソタ側のワバシャから橋を渡ってウィスコンシン州に入ったところにあるのがネルソン(Nelson)で、町の中心に(といってもまばらに建物があるだけですが、)結構有名なチーズやみやげ物を売る店があります。


店に看板も何も掛かっていないのでそのまま通りすごしてしまいそうですが、ここを通る車は必ずといっていいほど立ち寄っていくようです。すぐ横には,これまたアメリカ人が好きそうなキルティングやトールペイントなどのクラフトショップがあります。


この町を貫くのがウィスコンシン州道35号線で、ローラ・インガルス・ワイルダー・歴史街道(Laura Ingalls Wilder Historic
Highway)
として整備されています。ネルソンから川を遡ると、すぐに大草原の小さな家のローラの生まれ故郷、ぺピン(Pepin)があります。「大きな森」としてローラの回想録に出てくるところです。


ぺピン湖のほとりにあるとされていますが、実際は湖ではなく、ミシシッピー川の幅がひろくなっている部分当たります。


さて、ネルソンから川を下っていくと、アルマ(Alma)というこれまた小さな町に着きます。ここにはミシシッピー川にダム(といっても堰(せき)という方が分かりやすいですが)があり、"Lock and Dam 4"と呼ばれています。このあたりは火力発電所が町ごとにあり、特に石炭で発電をするためか長い貨車を引いた貨物列車をよく見かけます。


ダムなどで川の水位が上がり動植物の生態系に影響を与えていたため、2005年に水位を下げる工事が行われたようです。確かに川の中や岸に多くの低層の植物が群生している個所が多く存在しています。


しばらく行くと、ミネソタ側にウィノナ(Winona)という少し大きな町に橋があり、ミネソタ側に戻ることができます。このウィオナから、テレビの「大草原の小さな家」で主な舞台となったミネソタ西部にあるウォールナット・グローブ(Walnut Grove)を結ぶのがUS14号線で、沿線にはマンケート(Mankato)など、テレビで何度か登場したことのある街が存在しています。


半日でドライブしたのですが、やはりミシシッピーという独特の雰囲気があり、トム・ソーヤーの映画のひとコマを思い浮かべながら、「オー・リバー!」と叫んでしまいました。


ところで、この辺りのお店で買い物をすると、"Have a good one!"とよく言われるのですが、何のことかよく分かりませんでした。地元の人たちに聞くと中西部の方言だそうで、"Have a nice day!"と同じなのですが、最初は"One"が何をさしているのかとても気になりました。


また、初めて会った人が自分の名前を紹介するときに、スウェーデン系だとかドイツ系の名前であるという説明を付け加えることがあるのですが、開拓者であった先祖に誇りを持っているのでしょう。


のんびりして控えめでありながら、どこかに頑固さを秘めているのが、ミネソタの人の気質であるように感じました。

568.ミネソタ見聞録7: ミネソタにメイヨークリニックあり (2006/01/22)

ミネソタを特徴付けるものとして、モール・オブ・アメリカワイルドライスだけでは、少し物足りないと感じられる方も多いことでしょう。そこで、ミネソタならではの取って置きのものを紹介いたしましょう。


ミネソタで世界に名だたるものと言えば、メイヨークリニック(Mayo Clinic)に他なりません。ミネソタ州の東南部にあるロチェスター(Rochester)という街にあります。


ロチェスターと言えば、コダックの本社があるニューヨーク州の街が有名ですが、アメリカ全土にロチェスターと言う街は、なんと19もあるそうです!ミネソタのロチェスターは、人口が8万5千人ほどでけっして大きな街ではありませんから、19もあるロチェスターの中では埋もれてしまっていても当然でしょう。


この片田舎の小さな街に、世界中から多くの人たちがメイヨークリニックを訪れるそうです。もともとは竜巻で被害のあったロチェスターの街に、メイヨー兄弟が診療のためにやって来たのが始まりですが、今や世界でトップレベルの医療を提供する総合医療施設となっています。


その医療が高度であることから、世界中の有名人が治療のためにやって来るそうですが、自家用飛行機で来る金持ちのために、近くのロチェスター空港は、小さいながらも国際空港になっているそうです。


また、治療を受けた金持ちの寄付によって、大きなビルが建てられており、それぞれに寄付をした人の名前が付けられたビルが林立しています。市内の主要な建物の約80パーセントが、メイヨークリニック関連の施設だといわれています。


市内のダウンタウンは寂れ、ショッピングモールもそれほど賑わっているわけではないのに、病院は朝6時半のオープンとともに人々が押しかけ、7時にもなればロビーは多くの人たちで溢れかえるのです。


それほど世界中から治療のために人が集まるのなら、余程すばらしい医療が提供されているに違いありません。ぜひ一度どのような医療が行われているのか、試してみたくなりました。


海外医療保険診察の予約方法を、一つ一つ調べながら進んでいくのですが、結構手続きが大変です。なんせ旅行者の身ですからスケジュールも自由ではありませんが、うまい具合に事が運び、何とか診察していただくことができるようになりました。


実は明日の月曜日に予約がとってあり、どのような顛末になるかまだ判らないのですが、海外医療の一例として、一部始終を別の特集にてご紹介させていただきたいと思います。ご期待ください。(期待に応えられるほどおもしろくなれば良いのですが。)

567.ミネソタ見聞録6: ミネソタには卵よりワイルドライスがお似合い (2006/01/22)

「ミネソタの卵売り」について、「日本で昔そんな歌があったのだが、」と同僚に話すと、「ミネソタと卵か、それは鶏の卵か何かほかの動物の卵か?」と聞かれてしまいました。ミネソタと卵はあまり関係がないのかもしれません。


彼は続けます。「ミネソタの名物といえば、ワイルドライスかなぁ。ワイルドライス入りのスープがポピュラーだからね。」と言います。しかし他にも農産物なら何でも作っているので、特にワイルドライスが有名になるほどのことではないようです。


昨日もミネアポリス近郊のモールオブアメリカ(MOA)に行って来ました。本当は予定には入っていなかったのですが、先週注文した品がホテルに届いたら、型番が違っていて交換しに行ったのです。


すでに場内にある遊園地は、「キャンプスヌーピー」という看板を下げていて、"The Park at Mall of America"という名前に変わっていました。新しいスポンサーが名乗りを上げれば、その名前を冠したものになるだろうと思われます。


園内の売店では、スヌーピーグッズのセールが始まっていて、一番値引き率の高いものでは6割引になっていました。ただし、遊園地に来ている人たちの中で,遊園地の名前からスヌーピーが消えた事を知っている人は少ないかもしれません。


相変わらずモールオブアメリカの繁盛ぶりはすごいものがあります。これだけの規模がありながら、どこに行っても人が多く賑わっています。


ミネアポリスの近くには、いくつかのアウトレットモールがあります。日本でもおなじみのチェルシープレミアムアウトレットが最大のもので、ミネアポリスから北西に30分ぐらい行ったアルバートヴィレ(Albertville)にあります。


そこに先週行った時に、英語に続いて日本語で案内がアナウンスがされていたのに驚きました。それほど日本人が大挙して訪れる場所ではないだろうと思いますが、ミネアポリス・セントポール(MSP)の空港を中継地点にするツアーも以前はありましたから、その名残かもしれません。


また、ミネアポリスから1時間南に下ったところにある、メッドフォード(Medford)にもアウトレットがありますが、規模や取り揃えるブランドではプレミアムアウトレットの方が充実しています。ただ、地元の人には人気が高いようで、週末には近くの町から続々と車でやってくるようです。


今年は記録的に暖かいそうで、だいたい朝晩で-3℃前後ですから鼻毛が凍るようなこともありません。しかし、昨晩は雪の吹き溜まりが強風で高速道路上に堆積し、通りがかっただけで横転した車を2台見ました。道路状況が急に変化するのには注意をしなければなりません。


とにかく寒い地方ですから、冬の間はどうしても屋内でできることが中心になります。買い物のための施設は、そんな冬の長い地域にすむ人の唯一の楽しみなのかもしれません。

566.ミネソタ見聞録5: Treo700wをUSA Todayに見る (2006/01/16)

滞在しているホテルでは、フロントに毎朝新聞が積んであり、自由に持ち帰ることができます。週末だけはローカル新聞が置かれているのですが(私はこちらがお好み)、ウィークディはUSA Todayが置かれています。


USではどこでも手に入る全国紙で、毎週木曜日には"Personal technology"として、新製品の紹介記事などが掲載されています。1月12日号の記事で、Palm Treo 700wが取り上げられていたので、少しご紹介したいと思います。


結論から言えば、総評として4つ星が満点として3つ星の評価です。2年間のモバイル契約付きで399ドル、Verizonのネットワークが使えてGoogle Searchも利用でき、マイクロソフトのモバイル・オフィスとブルートゥースが内蔵されておりところが良い点。


悪いところは、PalmベースのTreoとは同じように使えないところ、すなわち何らかの動作には必ずPalmベースに比べて多くのボタン操作を必要とすることとされています。


Treo 7000wの最大の特徴は、マイクロソフトのOSで稼動するということより、Verizon Wirelessの高速ネットワークに接続することができることで、400-700Kb/sの通信速度を得るとしています。


画面の精度が240x240となるため、Treo650の320x320より解像度が落ちることと、画面が暗いことが指摘されています。また、直接太陽光を浴びると、認識が困難になるようです。今すでにTreo650を使っている人なら、Treo700wに切り替える程の魅力はないと断言しています。


これまでのPocket PCが、よりシンプルなPalmOSと同じようなユーザーフレンドリーなインターフェースを持つに至るには,大きなハードルを超えなければならないだろうと言っています。


初めてPCのOutlookと同期を取ろうとしたら、如何にもwindowsらしい訳のわからないエラーに見舞われたとのこと。PalmOSは、USでは健在と見ました。