560.年の瀬雑感 (2005/12/29)

今朝の大阪の向かう通勤電車は、昨日までの3分の1の乗車率と言ったところでしょうか。さすがにこれだけ空いていると年の瀬を感じます。楽に通勤ができるのはうれしいのですが、まだ仕事をしているのは悲しいところです。


9月ごろから仕事上でばたばたしておりまして、久しぶりの海外出張があるとかないとかで、その準備や心構え(?)で忙しくしていた関係で、サイトの更新も頻度が低下傾向です。こりゃイカンと思い、出張中は現地レポートの特集でもやろうかなと思っております。


よりによって一番寒い時期に、USの冷蔵庫と言われている地域には行きたくはないのですが(ちなみにUSの冷凍庫はアラスカ)、こればっかりは逆らえません。まあ、アフターファイブは個人的な趣味で、USを楽しんでみたいと思います。


昨日のニュースによりますと、USではアパレルの年末商戦の売り上げが伸び悩んでいるとの事。そしてその原因がiPodXboxなどの電子機器の売り上げが伸びていることにあるそうです。


アパレルと電子機器が競合すると言うのも不思議な感じがしますが、どちらも日常のファッションの一部であると考えれば、おしゃれを楽しむと言う点で一致しているとも言えます。


ところで流通業界において、セブン・イレブンイトーヨーカ堂の共同体が、そごう西武百貨店を飲み込んでしまいました。


百貨店同士、スーパー同士の合併や提携は珍しくありませんが、伝統ある百貨店を、コンビニを筆頭とする企業グループが支配すると言うのは、以前なら考えられなかったでしょう。


また、クレジット業界においても、流通系セゾンカード銀行系UCカードを、1月1日付で吸収合併するそうです。長らく、「クレジットカード会社は銀行系が流通系より上」という考えがありましたが、逆転現象が起こりつつあります。


ここはひとつ、パームにもスマートフォンで頑張ってもらって、来年はパーム携帯電話会社買収するぐらいになってもらいたいものです。(抱負にしてはかなり無謀だと思われる。)

559.パソコンの代わりにW-ZERO3はいかが? (2005/12/18)

「新世代モバイルコミュニケーション端末」としてついに発売された“W-ZERO3”ですが、徐々にパーム系サイトでも使用レポートが掲載され始めています。


もし、これが純粋にパームOS搭載機であったならば、おそらくパームコミュニティーはもっと盛り上がったことでしょう。ソニーCLIEの開発をまだ継続していた頃ならば、それは十分あり得た事だったでしょうが、今となっては叶わぬ夢となってしまいました。


W-ZERO3は、スマートフォンと呼ばれる新しいモバイル機器を、広く展開していこうという意欲的な製品です。ウィルコム、シャープ、マイクロソフトという、それぞれの分野で確固たる地位を築いてきた企業が、スマートフォンの日本における市場性に、確信を持って投入してきた自信作と言えましょう。


この製品は、携帯電話の新製品という捉え方も出来るでしょうし、PDAの発展型と捉えることもできます。発売当日に行列が出来るほどの人気ですから、携帯電話やPDAを越えた魅力を持った製品である事に、間違いはなさそうです。


ところでこの製品に対して、これまでコストの問題でパソコンを導入できなかった企業からの引き合いが、予想以上に多いそうです。ノートパソコンより機動性があり、ネットワークへのアクセスも容易で、しかもコストを押さえることが出来ますから、これまで二の足を踏んでいた企業がこぞって採用を検討しているそうです。


このノートパソコンを置き換える分野こそが、パームが真っ先に進出しなければならなかったのですが、日本の市場ではその前にパームが力尽きたと言ったところでしょうか。


これから日本では、本格的なスマートフォンの普及が始まるでしょう。戦いはまだ始まったばかりです。ひょっとしたらまた再びパームが、新しいスマートフォンを携えて、日本の市場に戻ってくる日が来るかも知れません。


ダウンサイジングは、これからだ!(いつまで言ってんねん!)


558.修繕費は貸手の責任 敷金訴訟で最高裁 (2005/12/16)

asahi.comに、「修繕費は貸手の責任 敷金訴訟で最高裁」という記事が掲載されています。今年7月の神戸地裁での判決に続いて、最高裁でも同様の判決が出たことは喜ばしいことです。


しかし、どちらも逆転判決であると言うことが、まだ日本の司法においては、敷金訴訟について統一した見解がなされていないことを物語っています。


退出時に敷金が貸主によって強制的に取り上げられてしまうと言う、ある種の恐怖感が賃貸契約には付きまといます。「どうせ取られてしまうものだから仕方がない」と諦める人も多いかもしれませんが、同じようにきれいに使用していたつもりの部屋の改修費が、貸主によって異なっていたのでは、いつまで経っても健全な賃貸住宅の市場が形成されません。


その結果として、不動産は怪しいものだという認識が、蔓延ってしまうのではないでしょうか。


敷金に関しては、全国でいくつもの訴訟が起こされているそうですが、賃貸契約と言う、もっとも人々の生活に密着した社会の営みにおいて、筋の通らないことが何ら改善されずに放置されてきたのは残念なことです。


特に今回の訴訟の被告は、大阪住宅供給公社でした。大量の賃貸住宅を、公の立場で提供するところでさえこのような問題を抱えていますから、民間の不動産業者ではさらに悲惨な状況が起こっているかもしれません。


神戸地裁の判決に関してのPalmTrotterの雑記にも書いていますが、USでは契約書そのものに、州の法律で敷金(デポジット)に関する条件が書かれていることがあります。借主が自然な汚れや経年変化に対しての補修を負担しなければならないとすると、毎月一定額の賃料を徴収することに矛盾が生じてくるのです。


今回の判決では、借主の具体的な負担が明示され認識されていれば、敷金からの補填が可能だとされています。今こそ、賃貸住宅業界で統一した具体的な基準を明確にするべきでしょう。


例えば、「壁紙の汚れは借主の負担とする」などといった曖昧なものではなく、「壁紙に油性ペンでの落書きは×」とか、「画鋲の穴は何ミリを何個まではOK」といったような、客観的に判断できるような基準を設けるべきでしょう。


今回の最高裁の判断によって、敷金に関するトラブルが減少していく事を、期待したいと思います。

557.「算数」で成り立つ掛け算の交換法則が、「社会」では成り立たなかった。 (2005/12/14)

65万円 × 1 = 65万円

1円 × 65万 = 65万円


小学校で習った交換法則は、掛け算や足し算では成り立つことになっています。ただし、これは「算数」の時間だけのこと。「社会」の時間では、次のようなことが実際に起こります。


65万円 × 1 = 65万円

1円 × 65万 = 数百億円

一体最終的な損失がいくらになるのか、よく判らない状態になっています。簡単な入力ミスだからこそ、日常的に起こりうる可能性が高いといえます。警告が表示されてもいつもの事と全く無視してしまい、間髪入れずに実行キーを押してしまって失敗したことは、誰しも経験したことがあると思います。私も何回ディスクの中身を消し去って、リカバリーに時間を費やしてきたことか。


ましてやすぐに気付いて取り消そうと必死にしがみつくも、一向にコマンドを受け付けない時の焦りようは、大変なものだったに違いありません。


ニュースによると、多くの担当者が株の売買での入力ミスを経験しているそうです。今回のケースでは初めて上場された会社だったために、通常の取り消し作業ができなかったと言われています。数億円で済んだはずの被害が、数百億円に膨れ上がってしまった事で、非常に大きな問題になってしまいました。


今回は、市場に実際に流通している株数を大幅に超えた売り注文が出てしまった訳ですが、大量に買っている側に大手証券会社が名前を連ねているのは、如何なものでしょうか。


証券会社は、購入した株数が流通している株数を大きく超えているのですから、何らかの手違いがあったことは容易に想像ができるはずです。しかも、システムの不備によって取り消しができなかったことが判ってきた以上、当然のようにその利益に与ろうとする姿勢には疑問を感じます。


これは証券会社の社会的信頼性に関わる事件なのですから、業界を挙げて二度と同じ過ちが起きないように、システムやオペレーションを改善していくことに、力を合わせて行くべきではないでしょうか。

556.近況報告 (2005/12/12)

だんだんと年の瀬も迫ってまいりました。お正月気分が薄れてきて久しくなりましたが、お正月前のせわしなさは、昔とあまり変わらないような気が致します。


今年の9月ごろから長期の出張の予定があったのですが、手続き上の問題から時期が延び延びになっておりまして、何となく落ち着かないまま年末を迎えております。


世間では新しいスマートフォンが発売され、新しいモバイル時代が訪れようとしています。携帯電話やPDA、あるいはノートパソコンといったこれまでの垣根が消え去ることによって、単なる製品間の融合に留まらない新しいモバイル機器の利用方法が提案されようとしています。


一方、耐震強度偽装問題は、いったいどのように決着するのかさえ見えないほど泥沼化しており、建築業界全体の問題としてさらに広がっていく気配です。日本を土建国家を言わしめたように、建築と土木をあわせた業界は就業人口で最大であり、全就業者の10人に1人を占めると言われています。


特に今回のマンションやホテルにおける偽装問題は、生活の基幹のひとつである「住」を脅かしているのですから、徹底的な原因の解明と対策が望まれるところです。


また、最近頻繁に起こっている小学生を対象とした悲惨な事件に関しても、抜本的な対策を早急に施す必要があります。社会全体的に安全性が低下している傾向が顕著であり、自動的に子どもたちの居場所をメールで通知するサービスが始まっていたり、地域の危険情報をメールで配信するサービスがあったりします。


危険を避けることは大切であり、まず自分から身を守ることを実践しなければならないのは当然のことですが、継続的に社会そのものの安全性を高めていくことも必要でしょう。


世の中で良くなっている部分は確かにあるのですが、それ以上に悪くなってきている部分が多いような気がします。結果として昔からあった住み良さが損なわれてきているのではないでしょうか。


新しいテクノロジーによって新たな価値を生み出すと同時に、過去の財産に磨きを掛けて行くことができれば良いなと思います。