502.スカイパーム計画2: 携帯電話に勝る携帯電話 (2005/05/16)

以前からパームが普及しない理由に、携帯電話が挙げられていました。確かに、携帯電話とパームの両方を普段から持ち歩くにはかさ張ります。


どちらかひとつに絞るとすれば、多くの人が携帯電話を選択するでしょう。携帯電話は、既に生活に欠かすことのできないアイテムになってしまったのです。


ですから、たとえすばらしい機能を持ったパームを数多く開発したとしても、買っていくお客さんは限られてしまうのです。


携帯電話を欠かすことができないならば、そして同時に2つの携帯端末を持ち歩く人が限られているならば、パームを携帯電話にするしかありません。


そのひとつの答えがスマートフォンです。しかし、スマートフォンをユーザーが自由に選べるようになるには、携帯電話キャリアが、端末の仕様を開放しなければなりません。


今の現状は、電電公社時代の黒電話と同じと言えるでしょう。


現状では、携帯電話のほとんどの機能は、携帯電話キャリアのサービスとして提供されています。端末そのものが持つ機能は限られているため、その都度サーバーにアクセスする必要があります。このようにサービスを回線経由で提供することは、携帯電話会社にとって重要な意味を持ちます。


では、一つだけ持ち歩く携帯端末として、多くの人にパームを選んでもらうためにはどうすればよいでしょうか?


パームが、携帯電話に勝る携帯電話になるしかありません。では、携帯電話に勝る携帯電話とは何でしょうか?


携帯電話会社の生命線は、キャリアです。携帯電話会社は、キャリアを維持するために、多くの投資をしています。当然、その投資をまかなう為にユーザーは課金されます。


ユーザーは、同じ機能なら少しでも料金の安い、お得な料金プランを設定している携帯電話にすぐに乗り移ります。機能・サービスと料金のバランスに敏感に反応するのです。


料金の安い電話としてIP電話がありますが、一定の回線帯域を確保するために、一般のインターネットとは別の専用回線を必要とします。つまり、携帯電話と同様に、キャリアの維持・管理が固定費として発生します。


ところが、今回取り上げるスカイプには、回線を維持する必要がありません。つまり、固定費が要らないのです。ソフトウェアも無料でダウンロードできますから、加入者間の通話なら世界中一切無料です。


スカイプを装備したパームで、携帯電話の牙城を切り崩すことはできないでしょうか?

501.スカイパーム計画1: スカイパーム計画とは? (2005/05/15)

これまでにもPalmTrotterでは、パームが普及するための販促作戦を展開して参りました。パソコンより小さいコンピューターを目指した「ダウンサイジング推進計画」や小学生にパームを使ってもらおうとした「パーム普及作戦小学生編」、あるいは紙の手帳との比較を試みた「パームが甦る日」など。


しかし、どれもパームの市場回復を促すには十分ではありませんでした。


以前は、日本で圧倒的に普及している携帯電話が、パームにとって最大のライバルであるという意識がありました。そこでパームが携帯電話に対抗するべく、対策を考えたこともありました。しかし、携帯電話会社によるユーザーの囲い込みは思いの外強力であり、そう簡単に崩せるものではありませんでした。


私たちは、ソニーが日本でのクリエ販売を中止するという決断を下したときに、大きなショックを受けました。パームOS搭載機が、日本で結局普及しきれなかった事を、残念に思いました。


しかし、ソニーがクリエをやめるのは、あくまでソニーの製品戦略上の話しです。パーム機を継続して提供していくことに、ソニーとしての意味を見いだせなかったからであり、他のソニー製品に比べてクリエの優先順位が低かったに過ぎません。


現に日本以外の海外では、パームOSを搭載したスマートフォンが普及し始め、PDA全体での出荷額も増加する傾向にあります。では、なぜ日本ではスマートフォンが普及しないのでしょうか?


それは、携帯電話会社が閉鎖的だからです。携帯電話会社がすべての機能を自分でコントロールし、端末機の市場を開放していないからです。これでは、昔、電電公社が黒電話を強制的に貸与していた時代と何ら変わりません。


勿論、PIMの機能を携帯電話に付加したり、スマートフォンのような機能が提供され始めてはいますが、所詮携帯電話会社のビジネスモデルの一部であり、キャリア側が必ず儲かる仕組みが組み込まれています。様々な機能を携帯電話のキャリアが提供することによって、ユーザーの囲い込みが続いているのです。


ところで、最近「日経コミュニケーション」「日経ビジネス」と言った雑誌に、新しいIP電話の記事が相次いで掲載されています。「スカイプ」(Skype)と名付けられたこの新しいIP電話には、これまでにない大きな特長がいくつかあり、海外はもとより日本国内でも普及し始めているようです。既に海外では、PocketPC用のスカイプを採用した機種が販売されています。


このスカイプパームに採用することによって、これまで携帯電話会社が築いてきた「キャリアの壁」を崩すことが出来ないでしょうか?


スカイプによってパームを再び甦らせ、さらにパームが携帯機器の主役に躍り出ることは不可能でしょうか?


この特集では、スカイプとパームの融合を「スカイパーム計画」と呼び、その可能性を探って行きたいと思います。

500.401から499の雑記を振り返る (2005/05/14)

PalmTrotterの雑記も、500回目の更新を迎えることが出来ました。これも、サイトを訪れて頂く方々がいらっしゃるお陰でございます。どうもありがとうございます。


このサイトに来ていただけるのは極小数の方々ではありますが、だからこそまたありがたさもひとしおでございます。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。


恒例になっていますが、過去100回の雑記をカテゴリー分けしてみたいと思います。BLOGはカテゴリーが既に分かれておりますから、これまでのように必至に数えてテーマ分けしなくてもよいので助かります。



パーム
22
サイエンス

サイト・メインテナンス

テクノロジー

教育

海外

社会
18
雑談
26

パーム業界では、ソニーのクリエが日本市場から撤退した事が大きなニュースでしたし、社会的には大きな地震が相次いだのを始めとして、多くの悲惨な出来事がありました。


また、ライブドアとフジテレビのニッポン放送争奪戦は、メディア強者が弱者を飲み込む新しい時代の訪れを感じさせました。これまでの既得権の上に勢力を保っていたものが、新しい挑戦者と相まみえるのは世の中の常であると言うことでしょう。


さて、ソニーPDAからの撤退を発表した後、パームを含むPDAには将来性がないと言った雰囲気が蔓延しています。ただ、クリエが販売中止に追い込まれたのはあくまでソニーの企業戦略上の決断であって、決してすべてのPDAの可能性が否定されたわけではありません。


現に日本以外の国々では、スマートフォンを始めとする新しいPDAの市場が注目されていますし、PDA全体の販売も再び上昇する傾向にあります。


そこで、500回更新を記念いたしまして、次回から恒例のパーム販促作戦の特集を考えてみたいと思います。これまでもいくつかの販促作戦を提案して参りましたが、今回は本命です。ご期待ください!(でも、おそらく期待外れに終わるでしょう。)

499.「真の力」と言う名のキーボード (2005/05/09)

最近のキーボードは、どれもパソコンが基準になっているからか、タッチの軽いものが多くなりました。私が入社した頃は、コンピューターもキーボードもヘビーデューティーだったため、結構力を入れてキーを叩く人が多かったように思います。


また、昔はバッチ・ジョブをサブミットする時に、キーを強く叩くと実行順序が早くなるといった迷信が信じられていたものです。(本当か?) 


そんな訳で、もともとキータッチが強いところへ、オフィスのキーボードが古くなったために頻繁に使うキーの動きがぎこちなくなっており、なおさらハードヒットしなければ入力できなくなって来ていた為か、「キーインの音がうるさい」との苦情を頂いてしまいました。


それならばと、うるさい音を古いキーボードの所為にして、新しいキーボードを経費で購入することにし、どうせ経費で買うのなら、最高級のキーボードを狙うことにしました。


仕事の帰りに梅田のヨドバシカメラに寄って、音の静かなキーボードを探して展示品のキーを試してみるのですが、今ひとつ気に入ったものがありません。


しかもお値段がどれもお手ごろです。個人では手が出ない高額なキーボードはないものかと探したのですが、店頭にはなさそうでしたのでインターネットで検索することにしました。


そこで発見したのは、銀行や旅行会社で採用されているという、Realforceなるキーボードです。プレス屋さんが作った分厚い鉄板がキーの土台に入ったキーボードというところが気に入りました。そういえば、昔のキーボードのボディーは、鉄板でできていたものでした。


キータッチは現物がありませんから試すことができませんが、インターネットでは比較的静かであるとの評価がありましたので期待することにしましょう。


さて、見積もりを取ってみると、何と17,000円もします。十分最高級と言えるでしょう。自分で買うのは躊躇しますが、経費で買うなら安いもの!ポチッと押してしまいました。1週間ほどで入荷するとの事。


同じ頃、我が敬愛するちん様は、メロウライフにてキーボードを新調されたらしく、その後キーボードの品評会まで掲載されておられましたが、Realforceというキーボードはそこでも取り上げられるほどの定番商品だったようです。


さて、Realforceをまだ少ししか使っていないのですが、確かに他のキーボードとは違いを感じます。ただ、その違いが好ましいかどうかは、人それぞれの好みによって評価が分かれるかもしれません。


キーが軽く、そのためかキーインが速くなるような気がします。しかしクリック感が余りないため、節度があるタッチを好む方には物足りないかもしれません。


ただ、速く打っていると、キー自体の重さを感じます。実際はキーが重いのではなく、キーのベースに頑丈な鉄板が入っているために、叩いたときにしっかりとした感触があるのです。キーを押す力自体は軽いにもかかわらず、キーの重さを感じある辺りが、このキーボードの非凡なところでしょう。


デザインは大変地味です。これ以上地味なキーボードはないでしょう。ですから、17,000円もするのに、オフィスでは誰もキーボードが新しくなったことに気が付きません。(うまく行ったな!)


さて、今時珍しい"Made in Japan"のキーボード、Realforce。あなたも経費で買ってみませんか?(別に自腹でも良いですが、私には買えません。)

498.アーバンネットワークの功罪 (2005/05/08)

今年は連続して休んだ為、明日から出勤です。休みが長くなればなるほど、休み明けの出勤は気が重くなるものです。通勤に使っているJR宝塚線の復旧も、まだ全く目処が立っていないようです。


今回の事故原因の一つに、列車のスピードアップが挙げられています。確かに、速度が増せば増すほど危険性が増すのは確かです。安全性の向上が、速度を上げる上での必須条件であることは言うまでもありません。


以前、新幹線の運転を紹介したテレビ番組を見たのですが、時速200キロメートルを超える新幹線の場合、運転手は列車の前方を見なくても良いそうです。つまり、前方の確認義務がないのです。


人間の視界に障害物が入ってからブレーキをかけても、全く意味がないのでしょう。運転手が注視するのは、運転台の表示灯や速度計、運行計画表と時計です。新幹線の安全性は、従来の鉄道と全く違う次元で保たれているようです。


JR西日本の、在来線におけるスピードアップ過密ダイヤによって、日常的な遅延が発生していることに疑問はありません。しかし、遅延にはそれら以外にも多くの原因があります。特に、旧東海道・山陽線は、姫路エリアから米原に至る長距離を走り抜けるため、そのどこかで発生したトラブルが全体に影響を及ぼすことが頻繁にあります。


濃霧や積雪の影響、早朝に起こった人身事故、踏切での無理な横断、車両や信号機の故障、九州から来る夜行列車の遅れ、架線事故、等々。他の私鉄に比べて圧倒的に長い距離を一つの列車が走る事によって、遅延につながる原因の発生頻度が高くなってしまうのです。


また、JR尼崎駅で2つの線が合流するため、それぞれの遅延が互いに影響を及ぼしあい、さらに遅延が頻発することになります。


しかし、長距離路線によるメリットも見逃すわけにはいきません。観光のために兵庫県の姫路から滋賀県の長浜まで、新快速で訪れる人は決して少なくはありません。また、これまでは通勤・通学が不可能だった地域が、JRのアーバンネットワークによって可能になったケースもあります。


ニュータウンをいくつも抱える三田市が、人口増加率で全国トップを誇ったのも、JR福知山線の電化がなければあり得なかったでしょうし、これまで大阪地区から通学が困難だとされていた奈良の学校も、今では通学圏内に入っています。


JR西日本のアーバンネットワークに対抗するように、阪神電鉄、山陽電鉄と近畿日本鉄道を結んで、姫路ー奈良直通特急が計画されているようです。


従来、神戸方面から奈良方面に抜けていく直通ルートがなかったため、京都に比べて奈良は実際の距離に比べて遠い印象がありました。新しいルートによって、奈良と神戸の実質的な距離が縮まる事でしょう。


日本の都市の発達において、鉄道は大きな役割を果たしてきました。しかし、この事は逆に考えれば、鉄道の安全性の崩壊は、同時に都市機能の崩壊を意味すると言うことではないでしょうか?


今回の事故の経験を踏まえ、理想的な鉄道とは何か?都市機能のあるべき姿は何なのかを、真剣に考える事が大切だと思います。