スカイプは、これまでの電話の世界を大きく変える可能性を秘めています。すでに1億回のダウンロードを記録し、多くの人々が世界中でオンライン状態になっています。企業で採用するIP電話としての需要も、今後高まってくることでしょう。
ただ、スカイプが電話システムの主流に躍り出ることができるかどうかは、まだしばらく様子を見る必要があるようです。日本では、NTTもYahoo
BBも、スカイプは恐れるに足らないものをして片付けているようですが、海外ではブリティッシュ・テレコムのように、スカイプのIT技術に強い関心を持っているところがあるようです。
スカイプの通話が無料になるという特徴は、単に電話料金の負担が減らせるだけでなく、同時に生活に変化が起こることを予感させます。
インターネットがADSLによって固定料金でつなぎ放題になったために、放送との垣根が崩れてきたのと同じような事が必ず起こるでしょう。常に電話をつないでおくことによって、全ての生活音を遠隔地にいる人と共有できるようになります。
例えば在宅勤務の場合なら、あたかもパートナーが隣の席にいるように意識しないで打ち合わせができたり、子どもの学校の授業参観を家にいながらすることができたり、あるいは単身赴任中のお父さんと、あたかも同じテーブルに座っているように夕食の会話を楽しむことができるようになるのです。
日経ビジネスExpressには、スカイプの実際の使用例が載っています。
留学でUSにいる夫と、東京にいる奥さんの間をスカイプでつなぎっぱなしにしておくと言うのです。そして、奥さんが「犬の散歩に行ってくるわね!」と言えば、USにいる夫が、「行ってらっしゃい。気をつけてね!」と言うのだそうです。
そしてしばらく無音が続いた後、しばらくして「ただいまー!」と奥さんが帰ってきたら、夫は「ああ、お帰り。暑かったかい?」なんてね。(このような生活に憧れる人もいれば、面倒くさいと思う人もいるでしょうね。)
スカイプは、今はパソコンやPDAがなければ使えませんから、広く普及させるためにはもっと扱いやすい専用電話機が開発されなければなりませんが、モトローラがスカイプ対応の携帯電話機を開発中との事ですし、日本ではBUFFALOが専用の固定電話機を販売する予定だそうです。
今後スカイプが、無料あるいは格安料金によってどこまで勢力を伸ばしていくか、注目したいと思います。
さて、話を「なぜ現時点でパームOSがサポートされていないか?」に戻してみましょう。
過去にも、Project Palmで機長さんが紹介されていたように、昨年の9月ごろにはパームOS用のスカイプが発表されると言う噂が広がっていたのですが、今になっても発表されていません。また海外の嘆願サイトには、Skype for PalmOSのページに多くの希望が寄せられています。
PalmOneから新しく発表された、mobile managerシリーズのLifeDriveにはWiFiとBluetoothが内蔵されていますから、ぜひともスカイプをインストールしたいところです。
しかし、ここまでパームOSのサポートをしないのには、何か訳があるのでしょうか?パームのスマートフォン契約の中に、他の方式の携帯電話との契約を禁止する条項があるとか、スカイプのパートナーが圧力をかけてパームへのサポートをさせないとかが考えられなくもありません。
スカイプと同じような技術を、独自に開発しようとする企業もあるそうです。今は平静を保っている電話会社も、今後の動向によってはいつまでも安泰でいられるとは限りません。
スカイプの登場によって、電話業界は大きく変わるに違いありません。通信キャリアや機器メーカーは、激動の電話業界の中でもう一度シャッフルされることでしょう。
そこに、パームが大きく飛躍する可能性が秘められていると思うのは、私だけでしょうか?