1997年に始まったロボカップ世界大会の第9回世界大会が、今年の7月13日から7月17日までインテックス大阪で開催されました。
「西暦2050年までに、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」事を目標に掲げ、ロボットの研究を通じて人工知能やロボット工学の発展を支えていく事が、ロボカップの趣旨です。
最終日の17日に会場に行ったのですが、会場内には大勢の人が詰めかけ、ロボットサッカーの試合が行われているフィールドはどこもすごい人だかりでした。
そもそも競技大会ですから、広い会場と言えども半分ぐらいの面積は競技参加者の為の準備エリアになっていますから、見学者はその間を縫って見て回ることになります。
中学生以下は入場が無料になっており、たくさんの子どもたちが目を輝かせて、真剣にロボットに見入っている姿が印象的でした。
さまざまな競技部門があり、サッカーだけでもソニーのアイボを使った4足走行ロボット、車輪走行の小型・中型ロボット、2足走行ヒューマノイドなどの部門があります。
メインはサッカーロボットですが、そのほかにもダンス部門や迷路を走るレスキュー部門など、ロボットの可能性に挑戦する部門がたくさんあります。
ロボカップ・ジュニアには小学生の参加者もいて、キットで手に入れることのできるロボットをベースに、テレビカメラを追加したりソフトウェアを書き直すなどの改良を施し、その技を競い合っていました。
どの部門も見ごたえ十分です。ボールを探し回るアイボの愛嬌あるしぐさは微笑ましいですし、ロボットが高速でボールに向かって突進する様は迫力満点です。
ヒューマノイドがバランスと取りながらシュートをした後ボテッと転ぶ姿に、会場は拍手喝さい、動きの一つ一つに驚きの声を上げ、シュートが外れるとため息が漏れます。
さすがに世界大会と言うだけあって参加者には海外組みも多く、中国の大学チームやPhillipsのチームなど、かなり力が入っている様子です。
また、人工知能の研究を目的とした一見テレビゲームのような競技がありましたが、サッカーの11人の選手それぞれが別々のコンピューターによって制御され、全体としてひとつのチームを構成し、局面ごとに11台のコンピューターが独立して判断し、チーム全体として如何に戦略を維持できるかを競い合っていました。これなどは、実際のサッカーの試合で使う戦略開発に使えるかもしれません。
会場にはデモンストレーションとして、大学の研究室や企業の出品もあり、ピンク色のスーツを着た女性アンドロイドがインタビューをする実演では、ゾクゾクッと寒気を感じるほどでした。それほど人間に近づいてきていると言うことでしょう。
来年の第10回大会は、サッカーのワールドカップ開催にちなんで、ドイツのブレーメンで開催されます。ロボットが人間にサッカーで勝つのは、まだだいぶ先のこととしても、サッカーとしての面白さではロボットサッカーも負けていません。
本物のワールドカップ・サッカーの前座としてロボット・サッカーが登場する日が来るのは、それほど遠いことではないのかも知れません。