58.アメリカ人の秘密:USに25セント硬貨がある訳 (2003/03/31)

早速ですが問題です:


(この問題の答えを求めることは重要ではありません。どのような問題であるかさえ見ていただければ十分です。)


次の8つの小数を、大きいものから順に並べ替えなさい。



  • 4.37
  • 1.98
  • 9.53
  • 5.56
  • 7.94
  • 3.97
  • 2.38
  • 6.35

答えは、 9.53, 7.94, 6.35, 5.56, 4.37, 3.97,
2.38, 1.98  です。


では次の問題です:


次の8つの分数を、大きいものから順に並べ替えなさい。



  • 11/64
  • 3/32
  • 3/8
  • 7/32
  • 5/16
  • 5/32
  • 5/64
  • 1/4

答えは、 3/8, 5/16, 1/4, 7/32, 11/64, 5/32,
3/32, 5/64  です。


少数は並べてみると、大きさの順になっていることがよく分かりますが、分数は並べてみても、本当に大きさの順になっているかどうか、よく分かりませんね。


では、分数の大きさの比較は、どのようにされたでしょうか?小学校で習うやり方では、同じ分母に通分して分子の大きさを比べるでしょう。


ところが、私が知るアメリカ人の多くは、これらの分数を通分するそぶりを見せずに、そのままで大きさの比較をしているように思えるのです。


単に、これらの分数が、日常の生活でよく使われているために、いちいち通分しなくとも順番がわかるのかもしれません。しかし、彼らが分数を使って話を始める時、私には彼らが分数が得意であるとしか思えないことが度々ありました。


この分数を良く使うことと、フィートやインチを使っていることは関連がありそうですが、具体的にどのように絡んでいるのかは解りません。


実は、アメリカ人が4分の1ドル硬貨である25セントを無理なく使える訳が、この分数が得意なことにあると思うのです。25セントとして認識しているのではなく、4分の1ドルと捉えているのではないかと想像しています。


ところで、最初の問題に使った数字は、いくつかの電気ドリルのビットの直径を、ミリメートルを小数で、インチを分数で表したものです。ミリメートルを分数で表すのを見たことがないので、やはり分数はフィートやインチに特有なものなのでしょうか?

57.パルマガ<トロッタ>に寄せて (2003/03/31)

2003-03-30 (Sun)付けのパルマガで、機長さんから当サイトに対してコメントを頂いております。また、当サイトのアクセスに関しまして、ふふふさんマサ村上さんからアドバイスを頂きました。どうも、ありがとうございました。


”議論の細かな整合性””議論の行間に漂う微妙な空気”など、サイトを初めて2ヶ月の私には、どちらもいつかは目指してみたい、甘美な香りのする目標であります。


確かに機長さんのおっしゃる通り、行間の微妙な空気が表現できれば楽しいだろうなと思います。


桜の花咲く季節になりました(すでに整合性なし!)。もし、桜の花について書いた時に、読まれた方それぞれの記憶にある桜の花、それは小学校の入学式の記憶かもしれませんし、海外旅行の記憶かもしれません、あるいは愛する人と別れた記憶かも知れません、その人それぞれの記憶にある桜の花を、ふっと思い出してくれるようなその人の記憶の中に、文章で書かれた桜の花すっと溶け込むようなそんな文章が書ければ良いなと思っています。


”そんなコーヒーにクリープみたいな文章そう安々書けるかい”と言うご指摘が聞こえて参りました。精進致したいと思います。

56.4つのハードウェアボタン (2003/03/30)

パームのハードウェアボタンは、便利なものです。とっさの時にすぐに使える事によって、パームの機能性が高まります。また、欲張らずに4つに限定した所に、デザインの巧さがあるように思います。


元来、西洋では偶数が好まれます。対して東洋では奇数が好まれます。おそらく宗教的なものと思われますが、根深く生活に息づいています。


日本では、セットで食器などを買う場合、5つセットが多いようです。湯呑み茶碗やコーヒーカップは、5つが基本になっています。


USでは、セットの物は、4つで1組の物が多いと思います。コーヒーのマグカップや、お皿の類、ナイフとフォーク等のセットは4つ1組が基本です。


まあ、だからといってパームに4つハードウェアボタンがあるのが、同じ理由だとは言い切れませんが、4つのハードウェアボタンはパームのデザイン上も、特徴的なポイントになっていると思います。


ところで、ザウルスにも4つのボタンが同じ様に配置された機種がありますが、意匠的に問題にならないのでしょうか?パームとザウルスのどちらが先に作ったかは知らないのですが、今ではパームのオリジナルと言う認識が一般的だと思います。その昔のハンディビデオカメラの、レンズ・ファインダー・テープ駆動部の位置関係で争いがあった事を考えれば、同様の争いが起こっても不思議ではありません。


その時は、カメラを手で構えファインダーを覗く動作と、レンズなどの機構上の制約から、必然的にその配列になってしまうと言う事が指摘され、後発メーカーが模倣したとは言い切れないと言うような議論がありました。


PDAとして、同じ位置に液晶画面を配置するとか、ボタンを手前に配置するとか、ボタンの下に電池を配置するなどの、デザインをする上での必然性の出てくる部分は確かにあります。


しかし、パームと同様に、上下スクロールボタンをはさむ形で左右2個ずつ、計4個のボタンを配置することには、PDAの設計上の必然性と言うより、明らかに意匠としての模倣性を感じます。


この似てる似てない論争は、最近では発泡酒のパッケージの争いがありました。先発メーカーは真似をされたと言い、後発メーカーはしてないと言うのに決まっていますので、争いがすっきりと解決することはほとんどありません。しかし、日本におけるPDAの盟主たるザウルスのメーカーには、明確なポリシーを持つ独自のデザインを継承してもらいたかったと思います。


独自のデザインと言っても、ボタンの数日本的に3つとか5つにするだけでは駄目ですよ!どうせするなら、3重の塔5重の塔型取ったボタンデザインなんていかがですか?縦に配置した3つか5つのボタンのように見えるのです。ザウルス東洋の伝統美シリーズ。最強機種は7重の塔をアレンジしましょう!(余計なお世話でした。)

55.補足:なぜ2000円札は流通しないのか? (2003/03/29)

昨日の雑記は、書いている時から思っていたのですが、最後まで読んでくれる人がいるかなと思っていました。それから、若干注釈をしたいところがありますので、補足として追加させていただきます。


まず、昨日の長い雑記を読む程暇がなかった方のために、昨日の結論をまとめておきます。(読まれた方が暇だと言っているわけではありません。)まとめてみると:



  • なぜ2000円札が流通しないのか?
  • 貨幣の種類を決めるのは、指数関数的に金額を捉えると良い。
  • 1000円と10000円の間で、2000円札は理想から離れている。
  • よって、2000円札が流通するのは困難である。

と言う感じです。2000円札が流通しないわけは、いくつかあるのでしょうが、その中の一つとしてこのようなことが考えられるのではないかと言うことです。


もし、最後まで読まれて、疑問に思われた方がいらっしゃったかもしれませんが、1000円と10000円の間の、理想的な貨幣を今更求めて見ても意味がなく、5000円札が既に存在している事を前提にしなければならないと言う意見も、あると思います。


実際その通りなのですが、1000円から10000円で考えてみることで、2500円札の可能性、5000円札の流通量が少ないことの説明、さらにUSの25セント硬貨に結びつけたかった、などの理由で敢えて5000円の存在は考慮しませんでした。


1000円が103で、5000円が103.7ですから、その指数的な中間は103.35で、2239円になります。理想的な金額は、昨日より下がりましたが、現実的には、やはり2000円札か2500円札になります。


2000円札が使えると、確かに支払いの時の貨幣の数は減らすことができます。そこで、昨日は”それ程改善されない”とか、”大きくは減らない”などと書いているのです。しかしそれより、2500円札の方が効果があると言うことを示しておきたかったのです。


2000円と言う単位は、今までの1,5,10という体系になかったものですから、使い慣れて行くには、数年はかかるのでしょう。それも流通していての話ですが。ユーロには20と言う単位の貨幣がありますが、以前からフランスの20フラン硬貨などがあったので歴史があります。


それから、指数関数的に貨幣の種類を揃えると効率が良いというのは、確か聖徳太子から福沢諭吉に変わったときに、新聞か雑誌に解説されていました。


2000円札が使われない理由の一つに、自動販売機や、ATMの未対応がありますが、やはりこれが一番大きい理由かもしれません。流通しなければ、いつまでも対応されません。まず無理矢理にでも、流通させてしまう事が必要ではないでしょうか?


昨日の10%増量は無理でも、例えば映画館で、1800円の映画とポップコーンと飲み物で、2000円札で払った人だけ2000円ポッキリなんてのはできそうな気がします。しかし、結局そこまでして流通させる必要がないと誰もが思っているのかもしれません。

54.なぜ2000円札は流通しないのか? (2003/03/28)

“35.なぜデビットカードが普及しないのか?”“53.なぜクレジットカードが使われないのか?”と来ましたので、その次はキャッシュについて語らなければならないでしょう。つまり紙幣・硬貨で失敗の代表として、2000円札がなぜ流通しないかと言う疑問に、私なりに答えてみたいと思います。


2000円札は使いにくいという意見をよく耳にしますが、なじみがない券種は、支払いの時に計算するのが面倒ですから、使いにくいのは確かです。


そもそも日本の紙幣や硬貨は、1、5、10の単位のものしかなかったのですから、急にの単位を使いこなすのは難しいですね。


紙幣や硬貨の種類は、どのように決めるのがよいのでしょうか?要するに、支払いが簡単にできればいいのですが、そのためには2つの条件があります。



  1. できるだけ少ない数のお金で払えること
  2. できるだけ少ない種類のお金を用意すること

例えば、798円を支払わなければならないとき、798円玉があれば1つの硬貨で支払えますが、同様に392円とか945円を支払うには、392円玉や945円玉を作らなければなりません。お金の種類が多くなりますし、いつも財布にすべてのお金を持っておくのは困難です。


あるいは、すべて1円玉で支払えば、お金の種類は1種類で済みますが、798円を支払うのに798個の硬貨が必要になります。数多くのお金を持ち運ばなければなりませんから、財布が大きくなってこれもまた不便です。


つまり、いろいろな金額を、できるだけ少ないお金の数と種類で表現できればよいのです。


今、1円と10円硬貨だけが既にあります。それらの中間的な硬貨を、新たに作るとしたら何円の物を作ればよいでしょうか?


そこで、次のような10円までの簡単なシミュレーションをやってみました。


既に1円、10円の硬貨はありますから、新しい硬貨は、2円から9円までのいずれかになります。


その新しい硬貨があったとき、何個の硬貨で、それぞれの金額が払えるかを表にしてみました。少ない数の硬貨で払うことができる方が、良いとします。


”1円のみ”は、1円硬貨と10円硬貨しかない場合、”2”から”9”はそれぞれの硬貨を新しく作った場合の、支払う金額ごとの必要枚数を示します。
























































































































































支払う金額 1円のみ 2 3 4 5 6 7 8 9
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 2 1 2 2 2 2 2 2 2
3 3 2 1 3 3 3 3 3 3
4 4 2 2 1 4 4 4 4 4
5 5 3 3 2 1 5 5 5 5
6 6 3 2 3 2 1 6 6 6
7 7 4 3 4 3 2 1 7 7
8 8 4 4 2 4 3 2 1 8
9 9 5 3 3 5 4 3 2 1
10 1 1 1 1 1 1 1 1 1
合計枚数 46 26 22 22 26 26 28 32 38




この結果から見ますと、2円玉や5円玉を作るより、3円玉か4円玉を作ったほうが、少ない数の硬貨で支払うことができるようです。


ここでは、1円から10円までを支払う場合について考えましたが、10円から100円、100円から1000円、1000円から10000円まででも同様です。1000円から10000円の場合は、1000円未満は硬貨で支払うので、1000円単位で考えればよく、3000円札か4000円札を作るのが一番支払う枚数が少なくなります。


実は、この支払いを少ない硬貨・紙幣で支払うと言う問題は、金額を指数であらわすと簡単に求めることができます。まず、最小の貨幣を1円、最大の貨幣を10000円と決めた時、それぞれ100と104になります。次にあれば便利な貨幣は、指数的に1円(100)と10000円(104)の中間である、100円(102)になります。


その次にあれば便利なのは、1円(100)と100円(102)の中間の10円(101)と、100円(102)と10000円(104)の中間の1000円(103)です。ここまでで、1円、10円、100円、1000円、10000円が揃いました。


さて、その次にあれば便利なものを考えますが、1000円と10000円の間を例として考えると、1000円(103)と10000円(104)間で103.5になりますから、1円未満を切り捨てると3162円です。


ただ、実際の問題として、他の額面の貨幣と交換する時に、単純な整数枚で交換できなければ互換性に欠けますので、2000円、2500円、5000円が妥当な候補になります。


5000円(約103.7)、2500円(約103.4)、2000円(約103.3)のうち、理想である103.5に一番近いのは2500円になります。2000円と5000円は同じだけ理想から離れています。


もし、2500円札を発行していれば、支払い枚数を減らすことができたでしょう。しかし、2500円はどうも中途半端です。日本では、クォーター(4分の1)は昔からそれ程親しみがありません。最近になって会社の業績が四半期ごとに発表されていますが、これもUSに合わせたのでしょう。ですから、2500円札は残念ながら没です。


そうすると、5000円札はすでにありますから、2000円札しか新しく発行できる券種はありません。そこで2000円札が発行されたと言う事だと思います。そして、その後どうなったかは皆さんご存知の通りです。なぜ2000円札は流通しないのか?これでやっと結論にたどり着きます。


もうお察しの方もおられると思いますが、さっきも指摘したとおり、2000円札と5000円札は、紙幣の券種の理想から同じだけ離れているのです。つまり、2000円札が新たに発行されても、支払いに必要な枚数はそれ程改善されないのです。このことが、2000円札が流通しない原因のひとつであると考えられます。


確かに、1000円札、5000円札、10000円札に加えて、2000円札が増えたのですから、支払う時に使う紙幣の組み合わせ方が増えたのは確かです。しかし、結果として2000円札ができたからと言って、支払う紙幣の枚数は大きくは減らないのです。


もちろん、全ての券種がいつも財布に十分な数が用意されているとは限りませんし、おつりをもらう場合も考えなければならないでしょう。支払いの必要になる金額も、ランダムに発生するとは限りません。実際はもっと複雑な要因が絡むと思われます。


そもそも5000円札は、1000円札や10000円札に比べ、以前から流通量が少なかったのです。それだけ使いにくい券種なのです。そこへ、同じような2000円札を投入したのですから、今の結果は当然のことかもしれません。


敢えて、2500円札を発行していたら、どうなったかと言うことには興味があります。計算が難しくなるため、やはり使われなかったでしょうか?それさえ我慢できれば、2500円札の方が5000円札より流通していたかもしれません。


2000円を流通させると言っても、もともと素性の良くない券種ですから、自然と流通が増えるのは無理だと思います。やはりここは、キャンペーンでも張って、無理やり使ってもらうしかないでしょう。例えば、今なら2000円札が10%増量、2200円分の買い物ができるキャンペーンなどいかがでしょうか?一気に銀行に眠っている2000円札を流通させることができるのは請けあいます。無茶な話ですが。


ところで、ここまで読んでこられた方の中で、USの25セント硬貨(クォーター)のことを思い浮かべられた方も多いかもしれません。25セント硬貨は実際にも使いやすく、このためかどうか解りませんが、50セント硬貨はほとんど使われません。ただ、この4分の1ドルを使いこなしているアメリカ人には、使いこなせるだけの秘密があるのです。それは、また別の機会に書いてみたいと思います。