160.データー入力は面倒臭い? (2003/08/01)

ここで、なぜパームを含めたPDAが、携帯電話や電子辞書の様に普及しないかについて、考察してみたいと思います。(少しやけくそ!)


一言で言えば、そんなに世間の人々は自分ではデータを作らないと言う事です。


確かに、メールアドレスなど一過性のデータは携帯電話でも入力します。しかし、それはデータと言うよりはコミュニケーションであり、データを価値のある情報として長い期間保存しておくといった類いの物ではありません。


電子辞書の場合も、大量のデータが予め詰まっていますから、自分でデータを作る必要はありません。


パームを初めとするPDAは、データを作成し保存するところに特徴があります。備忘録であったり、データベースであったり、DOCであったり形式は様々ですが、データを情報として保存しておき、必要に応じて取り出す事ができます。


問題は、このデータを作成すると言う事が面倒な事です。スケジュールやアドレスやToDo等、それらを忘れると困るから、面倒でもデータとして記録しておくのですが、困る度合いと面倒臭さの度合いを天秤にかける訳です。困る度合いが高ければ面倒でもデータを作成するのですが、世間一般には面倒臭さが勝る方が多いと言う事なのでしょう。


例えば、楽器演奏と音楽鑑賞。鑑賞する為の機材はどこでも手に入りますが、楽器屋はそれ程多くは見かけません。楽器を演奏できれば楽しいと思っていても、なかなか実際にはできないものです。


仕事で使うパソコンでは、無理矢理データを作成しても(それでも切り貼りが多いでしょうが)、仕事以外でデータを作成・入力するのは、好きでないとできない事かもしれません。キーボード付きのPDAが好まれたりするのも、データ入力が面倒臭いからに違いありません。


つまり、面倒臭くない携帯電話や電子辞書は普及して、面倒臭いPDAが普及しないと言うことなのです。音声入力以心伝心(?)が実現しないと、これ以上の普及は望めないのでしょうか?

159.電子書籍も携帯電話が主役か? (2003/08/01)

日経エレクトロニクス7月21日号に、「読書端末からベストセラー -ケータイが開く電子書籍の新局面」と言う記事が掲載されています。電車の中等の暇な時、昔は本を読む事しかなかったが、今ではメールやインターネット閲覧やゲームをしながら時間をつぶす事が多くなったと、現状を説明しています。


ところが、これまで読書の敵であった電子機器によって、新たなベストセラーが電子書籍と言う形になって出現しようとしていると言っています。これまでも電子書籍の試みは、専用端末やPDA、パソコンによって幾度となく行われてきたのですが、すべて不発に終わったと言っています。


今、電子書籍としての利用が期待されているのは、携帯電話電子辞書です。これらに採用されている液晶の進化によって、文字を見るから読むへ、写真を見るから鑑賞するへと変化しつつあるそうです。文庫本の1ページと同じ文字を同じ品質で、一画面に表示できるようになって来たようです。


一方電子辞書は、元々辞書と言う本を表示する為にありますから、電子書籍としての機能に問題はなさそうです。携帯電話と電子辞書を電子書籍として利用する以外にも、読書専用端末の開発もされており、完全にPDAは、電子書籍の蚊帳の外にいるように感じます。


特に気になるのは、PDAは電車の中で書籍を読むのに、ちょうどよい大きさであるのに、電子書籍の主役に慣れなかった理由です。それは、PDAでの電子書籍の購読者の8割が、30-50代の男性だったそうです。あまりにも読者が偏っている為、書籍ビジネスとしては大きく展開していく事ができなかったそうです。


そもそもPIM機能などを使おうとする人は、30-50代の男性に多いように思われますから、パームなどのユーザーに偏りがあるのは仕方がないでしょう。


PDAに電子書籍が載らなかった理由が、ユーザー層の偏りにあるのだとしたら、皮肉な話しですがPDAからPIM機能を取り除く事が、PDAの普及に一番効くのかもしれません。PIMのないPDAを、PDAと呼べるかどうかは別ですが。

158.スケールフリーネットワーク (2003/08/01)

月刊日経サイエンス 2003年9月号に、「世界の“なぜ”を読み解く スケールフリーネットワーク」と言う記事が掲載されています。


インターネットは言うに及ばず、電力網、交通網、人間関係から生命の本質まで、すべてネットワークであると言えますが、ネットワークを研究していくと様々な発見があるそうです。


曰く、ネットワークには多くのノードと接続された比較的少数のハブが存在し重要な役割を担っており、このようなネットワークをスケールフリーネットワークと呼ぶそうです。


特徴として、突発的な障害には非常に強いが、ハブを攻撃されるとネットワークが分断され脆さを呈してしまうそうです。


面白いのは、「隣の6人」と呼ばれる実験です。USのある地方に住む人々をランダムに抜き出し手紙を出し、その手紙をボストンのトレーダーに渡るように依頼しました。その手紙は、平均6人の人を経由して届けられたそうです。つまり、6人の知り合いを介すれば、世界中の任意の人とネットワークでつながっていると言う事だそうです。


現在、世界には30億ものWEBページがあるそうですが、ある一つのページからスタートして、そこからわずか19回のクリックでリンクを辿る事で、30億ある中の任意のページに行き着く事ができるそうです。


ネットワークを研究する事によって、コンピューターウイルスの対策を講じる事ができたり、電力網の災害復旧に役立てたり、伝染病の感染メカニズムが解明されたり、様々な分野に応用ができるそうです。


一つ記事の中で気になるのは、ネットワークのハブが成長する過程と、お金持ちが更にお金持ちになる過程が似ていると書かれているのですが、貧乏から脱却する方法は、ネットワークの研究からは導けないのでしょうか?