159.電子書籍も携帯電話が主役か? (2003/08/01)

日経エレクトロニクス7月21日号に、「読書端末からベストセラー -ケータイが開く電子書籍の新局面」と言う記事が掲載されています。電車の中等の暇な時、昔は本を読む事しかなかったが、今ではメールやインターネット閲覧やゲームをしながら時間をつぶす事が多くなったと、現状を説明しています。


ところが、これまで読書の敵であった電子機器によって、新たなベストセラーが電子書籍と言う形になって出現しようとしていると言っています。これまでも電子書籍の試みは、専用端末やPDA、パソコンによって幾度となく行われてきたのですが、すべて不発に終わったと言っています。


今、電子書籍としての利用が期待されているのは、携帯電話電子辞書です。これらに採用されている液晶の進化によって、文字を見るから読むへ、写真を見るから鑑賞するへと変化しつつあるそうです。文庫本の1ページと同じ文字を同じ品質で、一画面に表示できるようになって来たようです。


一方電子辞書は、元々辞書と言う本を表示する為にありますから、電子書籍としての機能に問題はなさそうです。携帯電話と電子辞書を電子書籍として利用する以外にも、読書専用端末の開発もされており、完全にPDAは、電子書籍の蚊帳の外にいるように感じます。


特に気になるのは、PDAは電車の中で書籍を読むのに、ちょうどよい大きさであるのに、電子書籍の主役に慣れなかった理由です。それは、PDAでの電子書籍の購読者の8割が、30-50代の男性だったそうです。あまりにも読者が偏っている為、書籍ビジネスとしては大きく展開していく事ができなかったそうです。


そもそもPIM機能などを使おうとする人は、30-50代の男性に多いように思われますから、パームなどのユーザーに偏りがあるのは仕方がないでしょう。


PDAに電子書籍が載らなかった理由が、ユーザー層の偏りにあるのだとしたら、皮肉な話しですがPDAからPIM機能を取り除く事が、PDAの普及に一番効くのかもしれません。PIMのないPDAを、PDAと呼べるかどうかは別ですが。