20.散髪の日米比較 (2003/02/22)

携帯電話の話が続いたので、ここらで話題を変えまして(変わりすぎですが)、日米散髪比較をしたいと思います。



散髪というのは、結構そのお国柄が表れます。一般にはあまりアメリカでの散髪はお勧めではありません。旅行ガイドでも、是非アメリカで散髪をして帰ろうと書いてあるのを見たことがありません。現地の人も、各家庭でされる場合が多いようです。



東海岸のとある田舎町に住んでいたとき、地元のローカル新聞に年間優秀店舗として載っていた散髪屋に行きました。これが、店舗の雰囲気から映画のセットのようなのです。すり減ったカウンター。使い古された椅子にシミの付いたミラー。その他、骨董品のような器具の数々。博物館そのものです。また、ノーマン・ロックウェルの世界に出てくるようなおじさんが、お客さんの頭をいじっています。



覚悟を決めて待っていると順番がやってきて、そのテカリの出た革張りの椅子に座らされます。どのぐらい切るのかといったような質問の後、でっかいバリカンを取り出しました。あの羊を丸刈りするようなぶっといコードの付いたやつです。



ここで注釈ですが、一般に日本では刈り上げる部分のみにバリカンを使い、それ以外ははさみを使います。私の頭は、日本でははさみだけで散髪してもらっています。



さて、唸りをあげてバリカンが襲ってきます。”いかん、このままでは丸刈りにされてしまう”と思ったのですが、なんとそのでかいバリカンとくしを巧みに使い、うまい具合に毛をすき取っていきます。ものの5分ぐらいで散髪は終わりました。



これはこれで技術だと思いました。日本でバリカンをここまで細かく使いこなす人は見たことがありません。もし同じような散髪屋が日本にもあるとしたら大したものです。まあ、日本ではこのような散髪屋があったとしても、古いと言うだけで誰も行かないでしょうし、ましてやバリカンだけで刈られるのにも、抵抗があるかもしれません。



散髪が終わった後は、これもまたでっかい掃除機で、首や体に付いた毛を吸い取っていきます。もちろんひげ剃りはありません。でも、これと同じような散髪屋のチェーンが日本でも増えてきていますが、店の古さとバリカンは、なかなか真似のできない事だと思います。(何も真似をするほどの事ではないですが。)ちなみに、散髪料は1997年当時$10でした。これも、日本の散髪チェーンと同じですね。

19.電車の中での携帯電話 (2003/02/18)

ここ数年、携帯電話を電車内で使わないようにとアナウンスが続いていますが、皆さん従われていますか?



車掌さんのアナウンスが響き渡っている間でも、私が乗っている電車では無視している人がほとんどです。なぜでしょうか?




  • 私のはPHSに見えるから、携帯電話ではないと思ってくれているだろう。
  • スケジュールやメールを打ち込んでいるから、電波は出ないのでペースメーカーには影響しないはず。
  • そもそも、携帯電話は暇なときに使う物。電車の中以外は歩いていたり、友達としゃべったりで忙しいので、電車の中ぐらいしか暇がない。
  • 自分の周りには、ペースメーカーを頼りにしているような、弱々しい人は見受けられないから、電波が出ていても大丈夫だ。



ごもっともです。私は、携帯電話を持たない主義ですのでよく分かりませんが、こんなところが電車の中で携帯電話を持ち出す言い訳でしょう。



ちなみに、ペースメーカーを付けている人の中には、弱々しいどころか意外にビンビンに元気そうな人も多いらしいです。



それはさておいて、WorkPad 31Jと言う、PHS内蔵の機種が出たときに、このままでは私の30Jも電車の中で使えなくなると思いました。PDAから電波が出ているというのが一般常識になれば、PDAも携帯電話と一緒に電車の中で使用禁止になってしまうと。



いや、PDAを知らない人から見れば、携帯電話もPDAも同じに見えるかもしれません。パームでCrs-Medocを使っていても、他の人から見れば、”でかい携帯電話を電車の中で使っている悪いやつ”と見られているのでしょうか?

18.携帯電話型カメラの秘められた可能性 (2003/02/16)

昨年末、神戸のルミナリエに行きました。点灯の時間を並んで待っていました。30分ぐらい前から通りには大勢の人が集まってきて、今か今かと待っていました。



ちょうど時間になって、点灯し始めました。周りでは皆さんが感嘆の声を上げています。みんなぞろぞろと歩き始めました。その時、私は奇妙な光景を目にしました。多くの人が携帯電話を頭の上に掲げたのです。そのあまりの数の多さは、まさに雨の後のタケノコのようです。



実は、最初何をやっているのかよく分かりませんでした。何しろ、私が持っていた写真撮影の既成概念では、理解できなかったのです。カメラは覗いて撮る物と昔は相場が決まっていました。今はこのような写真の撮り方があるのかと改めて思いました。



ひょっとして、私が今まで駅などで携帯電話でメールを打っていると思っていた人たちのうち、いくらかの人は実は写真を撮っていたかもしれません。



今まで、カメラという物はカメラの形をしていたので、写真を撮る行為は周りにいる物にとって明らかでありました。ところが携帯電話に取り込まれたために、写真撮影という行為が、周りの人に気づかれないうちに成される可能性があると言うことに気づきました。



これは、写真の分野で街頭スナップや、あるいは隠し撮りと行った物も、撮られる側にカメラを意識させないことによって、自然な姿を映すことが重要なのですが、携帯電話によるスナップ写真には、これまでのカメラにない表現の可能性があると言えます。



今までのカメラでは、撮られる側に気づかれないようにするために、小型カメラを使ったり、作動音の小さいカメラを使ったりしました。プロカメラマンなら、わざわざローライやライカと言った高級カメラを使ったりするのですが、携帯電話によるスナップ写真は、もっと自由度が高まり、スナップ撮影の新しい手法になる可能性があります。



今後高画質カメラを内蔵した携帯電話が、すなわちカムフラージュしたカメラと言う位置づけで、写真の世界に新しい表現をもたらすかもしれません。

17.携帯電話が開発プラットホームを考える時 (2003/02/14)

さて携帯電話も、機能が豊富になってきて、カメラ機能や通信機能、PIM機能など、電話以外のソフトウェア開発にコストがかかってくるようになってきているようです。



そろそろ、共通化された開発プラットホームが必要になってくるでしょう。そして、電話の基本機能以外の機能を実現するソフトウェアは、OEM調達する事も考えられます。特徴あるベンチャー企業のPIMが採用されたりする事もあるかもしれません。



そこで、共通の開発環境となれば、そのOSの選択が重要になります。パームを始め、WindowsCEと今後注目されるLinuxの3つで考えたとき、どのOSが採用されるでしょう?



実は、ここに私の今一番の心配事があるのです。つまり、携帯電話会社は、開発のコストを削減する目的で採用するわけですから、汎用性があり、長期的にサポートが期待でき、安全であるOSを選択するでしょう。OSのサイズ的には、今PDAで使われているOSが適していると思われ、先ほどの3つの戦いになるに違いないでしょう。



WindowsCEは、なんと言ってもマイクロソフト派には絶対の信頼がありそうで、何も考えなければ一番リスクが少ないように思います。Linuxは、PDAとしては実績がないですが、適応範囲の広いOSであり、汎用性やオープン性でなかなか強くなりそうです。



一方、パームOSですが、PDA分野での実績や豊富なパームウェアなど、携帯電話に組み込めるソフトウェアが多いことなど、十分に対抗できると思います。



携帯電話会社の社長さんが、開発プラットホームを選択しなければならないとしたら、パームを知っているかどうかです。WindowsCEをもし知らなくてもマイクロソフトは知っているでしょうし、Linuxを知らないと言えば恥をかきます。



もし社長さんが、3つのOSの中から1つを選ばなければならないとしたら、パソコンを使ったことがあったらWindowsCE、コンピューターのことを知っていればLinux、パームの愛用者ならパームを選ぶでしょう。
うーん、パームを選択する可能性は低そうですね。



これら2つのOSに較べて、パームOSは少しマニアックというか、知らなくても許されると言うか、携帯電話会社の重役会議で”パームOSが絶対に良い!”と言う取締役は、少数派(あるいは変わり者)でしょう。しかし、ここでパームが優位に立たなければ、携帯電話のプラットホームになることはできません。



私は、これから始まるLinuxとの競争がパームOSの今後を決定づける事になると予想しています。まだLinux for PDAに大きな動きがないですが、1年後ぐらいにはパームOSの新たな競争相手になっていると予想しています。

16.PDA第3次普及期はいつ来るか? (2003/02/13)

巷では、パソコンショップのPDA売り場が縮小されつつあるらしく、確かに私の近所でも店に行くたびに、なんとなく売り場が寂れてきているような気がします。



ソニー以外は、製品の数が少なくなってきていますし、並べる製品の数が少なくなれば、展示スペースを小さくするしかありません。



そもそも、本当に必要で買いそうな人は一通り買ってしまったので、新規需要を掘り起こすか、買い換え需要を期待するかしかないのですが、新製品がいまいちアピールできていないのか、新しい購買層が誕生してように思います。ここらで、一発インパクトのある新製品でも投入しないと、せっかく築いてきたPDAという存在自体が、大衆から忘れられてしまいます!!



 第1次普及期が電子手帳と呼ばれたザウルスの黎明期、第2次普及期はPDAと呼ばれたパーム&WinCEの黎明期とすれば、第3時普及期はいつ、どんな形でやってくるのでしょうか?



近い将来、OSとしてはLinuxが登場し、シャープが盟主として第3勢力を形成してIBMが新しいWorkPadを引っさげて再度登場、パーム陣営とWindowsCE陣営と、三つ巴の戦いをするぐらいでなければ、世間の注目を集めることはできません。パームを含めたPDAの発展もあり得ないでしょう。



今までにない新規機能としては、電子財布、電子ID(電子鍵)ぐらいはネットワーク接続と共に包括されていて欲しいです。そのためには頑丈なセキュリティ機能を、OSとして供給できるかどうかが鍵となります。



IBMがLinuxを採用して再度登場となれば、全く新しい展開が繰り広げられる可能性もあります。IBMはパームを採用したWorkPadである程度経験をし、PCの付属品という位置づけで失敗をしています。次にこの分野に殴り込むときは、失敗をまたする訳にはいきません。



問題は携帯電話ですが、日本に於いては携帯電話のシェアがそのままPDAのシェアになってしまうかもしれません。たとえば、3つの携帯電話会社が、それぞれパーム、CE、LinuxとOSで組むと、それぞれの携帯電話のシェアが、そのままPDAのシェアになってしまうと言うことです。PIM機能がどうのこうのと言っても、携帯電話の使い勝手を差し置いては考えられません。



こう考えていくと、第3世代のPDAこそ、携帯電話を巻き込んだ勢力争いになるでしょう。携帯電話が標準のプラットホームを目指す時、PDAの真価が問われる事となるでしょう。