700.最終回 (2009/09/20)

さて、6年半に渡りまして続けて参りました当サイトも、最終回の更新を迎えることになりました。これまで、このサイトを訪れていただいた方々に、厚く感謝いたします。

 

このサイトは当初、旅行系パームサイトを目指しておりました。旅行するときの必須アイテムとして、パームを紹介して行こうという趣向でしたが、なかなかそれらしいテーマが見つからず苦労しました。

 

ちょうど子供が小学生だったこともあり、教育関連や理科の話も多くなってきましたし、テクノロジー関連のテーマもできるだけ取り上げようとしました。

 

700回の雑記における、各カテゴリーごとの更新数は以下の通りです。

Palm 121件
インターネット 29件
サイエンス 22件
サイトメインテナンス 29件
テクノロジー 70件
教育 24件
海外 135件
社会 94件
雑談 176件

更新数が100件を超えたのは「Palm」「海外」「雑談」の3つのカテゴリーでした。

 

「Palm」と「海外」についてはサイトが目指したとおりでよろしいのですが、雑談がそれらのテーマを抑えて堂々一位に納まっているあたりに、テーマ探しに苦労した日々が表れています。

 

2003年2月2日から今日まで、6年7か月19日、総日数は2423日でした。日当たりの通算更新率は、2割8分9厘。 

 

平均すると3.5日に1回更新してきたことになりますが、最初の1年で300回以上更新しましたから、その後の更新頻度はかなり低かったと言えましょう。

 

最初にサイトを開設した時は、Lycos無料サーバーを利用していました。途中からプロバイダーのサーバーに移り、またMovableType化する時に現在のレンタルサーバーに移動してきました。このサイトを開設したおかげで、インターネットの世界も少しは知ることができました。

 

この間のPalmの趨勢は皆様ご存じのとおりです。一世を風靡したPalmの世界も縮小を続け、今は一部のスマートフォンにその流れを残すのみとなりました。さびしい限りです。

 

私の中で一番のPDAは、Palm m100。これほど手帳代わりになるハンディ機器はありませんでした。シンプルを信条とするPalmの完成系の一つではないかと思います。

 

儲からなくてもいいからというメーカーから、いつか手軽な手帳代わりになるPalm
m100のような製品が出てくることを期待しています。(キングジムさん、お願いできませんか?)

 

このサイトは今日で終了いたしますが、今度は雑談だけを気軽に書きなぐることができるようなサイトを作ってみたいと思います。また、皆様にはどこかでお世話になると思います。

 

それではこれにて失礼をばさせていただきます。

 

お元気で、またどこかでお会いいたしましょう!!

699."People walk by much too fast!!" (2009/09/13)

先月、携帯電話機種変更をしました。相変わらず分厚い使用説明書が付いてきました。


最初に携帯電話を持った時は、懸命に説明書を読んですべての機能を確認しようとしました。しかし、結局複雑な操作が必要になる機能は滅多に使うことはありませんでしたし、その時まで覚えていられるほど操作は簡単ではありませんでした。


携帯電話に限らずデジタルカメラやDVDレコーダーなど、デジタル家電と言われるものは簡単に機能を追加しやすいため、どんどん機能が増えて気が付けばメタボリック家電になってしまいました。


もう少しスリム化して、シンプルで健康的な昔のPalmのような製品が増えてくれば良いのですが、、、


さて、複雑化する家電にも搭載されているLSIを見てみると、半導体プロセスが微細化するにつれて設計工程が格段に複雑化してきています。


例えば、以前なら設計ルールを逸脱しているかどうかだけをチェックしておけばよかったのですが、今ではそれに加えて製造工程における微小部分での不適合をチェックするDFM(Design For Manufacturing)やDFY(Design For Yield)なども考慮しなければならなくなりました。


同様に論理設計を行うフロントエンド設計においても作業の複雑化に設計環境が対応できなくなってきています。特に複雑な回路の検証にかかる時間が飛躍的に増大してきたため、品質にかかわる問題も多くなって来ているように思います。


本当に、ここまでの複雑な機能を製品に詰め込む必要があるのでしょうか?


買っても使いこなせないユーザー、売っても儲からないメーカー、達成感を感じられない設計者。(それは私!)


「もっとゆっくり納得できる仕事をしたい」、「ゆったりとした日常の時間を過ごしたい」といった基本的な欲求を満たすことが難しい世の中になってしまいました。


USのバーモント州ストウ(Stowe)という小さな町があります。州内で一番高い山、マウント・マンスフィールドの麓にたたずむ美しいところで、冬はスキー、夏はハイキングやサイクリングで賑わいます。


バーモント州は"Green Mountain State"と呼ばれていて緑豊かな山がたくさんありますが、地ビールの名前にもなっている"Long Trail"と呼ばれる登山道がバーモント州を縦断していて、マウント・マンスフィールドの頂上まで登ることができます。


ストウには「サウンド・オブ・サイレンス」で有名なトラップ一家が移り住んで、今もその場所には"Trapp Family Lodge"があります。本館の一階にはライブラリーがあり、宿泊しなくてもロッジの雰囲気を味わうことができます。


ゆるやかに差し込んでくる日の光と、オーストリアに似ているという周りの山々の景色。知らぬ間に忘れかけていた「時が流れる」という感覚を、久しぶりに感じることができました。


そのライブラリーの壁に、1枚の色紙が掛けられています。


「休養のためにやって来たホテルの中を、人々は早足で歩きまわっている。もっと花を眺めて、その美しさを感じる余裕を持ったらどう?」


時の流れよりも早く急いで突き進もうとする私たちに、警告を促しているのではないでしょうか?






The flowers do their best to bloom,

the people walk by much too soon~



The flowers do their best to last,

but people walk by much too fast~



They ought to stop and drink it in,

to walk so fast by is surely a sin ~



The flowers plead to be admired:

"Enjoy our beauty – and don’t be tired!"




(Emilie Johnson, at 100, in 1992)






698.ハイブリッドカー競争 (2009/09/02)

手帳替わりにPalmを使ってきた私にとって、Palm centroは少し機能が多すぎて使いづらいという感じがしています。また、以前よりノートパソコンを持ち歩くことが多くなったこともあり、パソコンのデータをハンディに持ち歩く必要性も薄らいできています。


以前愛用していたPalm m100の方が、シンプルで私には使いやすかったです。最近のエコ感覚にも合っているように思います。


そういえば、最近のテレビCMではやたらとエコカーを宣伝しています。以前のように大型の乗用車の広告は影を潜め、エコカー減税などの効果もあって、街中で新型のプリウスやインサイトを見かけることが多くなってきました。


一口にエコカーといっても、燃費性能が良いとか二酸化炭素の排出量が少ないなど、いくつかの特徴があります。


ヨーロッパでは二酸化炭素の排出量の観点からクリーンディーゼルが普及しているようですが、日本や米国ではディーゼルには黒いばい煙のイメージがあるからか、ハイブリッドカーが普及し始めています。


プリウスのように、動力にエンジンとモーターの両方を使うハイブリッドカーをパラレル型と呼ぶそうです。比較的リスクが低く、これまでの自動車の技術を生かすことができることがメリットです。基本的に、低速域はモーターを主に、高速域はエンジンを主に走るように想定されています。


しかし、これらの走行モードがバランスよく組み合わされることはむしろまれで、使用者によってどちらかに偏ること場合が多いのではないかと思われます。


また、両方の動力を搭載することによる重量の増加は致命的で、本命が登場するまでのつなぎ的技術であることは否めません。


よく省エネには「アクセルをゆっくり吹かすのがよろしい」と言われますが、BMWなどに言わせれば、一定速度まで一気に加速した方がより省エネになるとのこと。


高速道路を多用するドイツならではの結論でしょうが、省エネのための方法も時と場合によっては使い分けなければならないのが難しいところです。


もう15年ほど前になるでしょうか、とある車の雑誌に省エネカーの特集が掲載されたことがありました。


その頃は二酸化炭素による地球温暖化の問題はそれほど騒がれていませんでしたが、石油枯渇問題は重要視されていて、ハイブリッドカーに加えて、燃料電池車水素エンジン車など、いろいろな将来の自動車の可能性について解説されていました。


トヨタのハイブリッドカーもまだ発売されていない当時は、どの方式のエコカーが主流になるかまったく予想することさえできませんでした。


その紹介されていたプロトタイプ社の中で私の目に留まったのは、VolvoECCEnvironmental Concept Car, http://www.greencar.com/articles/volvo-hybrid-environmental-concept-car.php)でした。


基本的に動力源はすべてモーターで、小型のガスタービンは発電するためだけに使われていました。


もちろん搭載する電池に十分な電力がある場合は、燃料を使わず電気だけで走ることができました。しかし、タービンを回すことによって、これまでのガソリン車を凌駕する走行性能を得ることもできました。

当時、ほとんどの省エネコンセプトカーが、押し並べて省エネのために性能を犠牲にしていたのに対し、ボルボのコンセプトカーだけは、ホイルスピンを起こすほどの性能と省エネを両立させていたのに、感心したことを覚えています。

内燃機関を様々な負荷のもとで効率よく働かせることは、一般的に困難だといわれてきました。回転や負荷の状況に合わせて、排気ガスの浄化方法も変えていかなければなりません。


ところが、発電のためには一定の負荷と回転数でガスタービンを回すため、一番燃焼効率の良い条件で運転させることができ、省エネや排気ガスのクリーン化に効果があるとされています。

全くクリーンと思われている電気自動車でも、その電気を作るどこかの発電所がクリーンであるとは限りません。システム全体でのクリーン化と省エネ化を同時に考えた場合、エネルギー効率が良いことは大きなメリットになるでしょう。

雑誌で見てから10年以上が経ち、その後どうなったのか興味があったのですが、2007年のフランクフルトモーターショーで、"ReCharge Plug-In Hybrid C30"と称して再びコンセプトカーが登場したようです。


基本的にモーターだけを動力源としていますが、発電用のガスタービンが1.6リッターのエンジンに置き換わっています。さらに、プラグイン方式も採用し、市販されればプリウスやインサイトと真っ向から競合しそうな雰囲気です。


燃料電池車や水素エンジン車、あるいは電気自動車に対して実用化で一歩先を行くハイブリッド車ですが、そこで市販車としての実績を蓄積してきたトヨタやホンダに対して、ボルボが今後どのように製品として展開していくか楽しみです。