486.独自ドメインを考える2: gTLDとccTLD (2005/03/16)

独自ドメインを考える上で一番気になるのが、トップレベルドメイン(TLD)でしょう。これによってドメインの登録や管理の費用が大きく異なってきますし、信用安定性もそれぞれに違いがあります。


最もよく知られている".com"(ドットコム)を始めとして一番馴染みがあるのが、gTLD (generic Top Level Domain)です。世界中の人が登録することができ、また歴史が長いだけあって、多くのドメインが登録されています。


社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンターのサイトには、ドメイン名に関する統計が掲載されていて、gTLDの統計も見ることができます。


現在2004年11月のデータが最新のものですが、主なものをリストにしてみました。














































TLD   総登録数  日本国内登録
.com 32,980,933
.org 3,346,608 35,279
.net 5,304,647
.info 2,934,331 43,745
.biz 1,104,363 14,588
.name 231,201 17,055
.pro 2,325 16


これを見ると、ドットコムが1桁違いで他を圧倒していることが解ります。また全てが日本国内の登録数を公表しているわけではありませんが、それぞれの1%前後が日本からの登録となっているようです。


gTLDにはさらに航空関連や博物館関連などの特殊なTLDがあります。またgTLD以外にも、米政府や米軍用等の特殊なTLDがあるようです。


一方、世界中の誰でも登録できるgTLDに対して、国や地域ごとに割り振られたccTLD (Country Code Top Level Domain)があります。国や地域ごとに管理する機関が異なっており、登録者の所在地などに制約を受ける場合があります。


日本の場合は、JPドメインが使われています。これには、大きく分けて属性型・地域型JPドメインと、汎用JPドメインがあります。2005年3月1日現在、属性型・地域型JPドメインの登録数は330,197汎用JPドメインの登録数は346,515となっています。


汎用JPドメインが始めて属性型・地域型を抜いたというニュースがありましたが、特に最近は汎用JPドメインの登録数が伸びているようです。


属性型JPドメインは、団体や組織ごとに1つのドメインしか登録できませんし、代表者の印鑑証明を提出しなければならなかったりと手続きが面倒で、登録数が今後も飛躍的に伸びる可能性は低そうです。


また、汎用JPドメインが登場する以前は、個人でJPドメインを取得する場合、地域型と呼ばれる所在地を含めたドメイン名を使わなければなりませんでした。結果として長いドメイン名になってしまい、使い勝手の良いものではありませんでした。


そこで、2001年から新しく登場したのが、汎用JPドメインです。所在地が日本国内でありさえすれば、誰でも数に制限なく登録できますし、".jp"が付くだけの短いドメイン名が可能ですから、個人での登録がこれまで以上に増える結果になったようです。


また、企業にとっても数の制限がなくなったため、製品名やキャンペーンごとに異なるドメイン名を取得するケースが増えているようです。これまでの".co.jp"には主に企業情報を掲載し、".jp"には製品情報を掲載すると言ったように、ドメインを使い分けている企業も増えています。


汎用JPドメインでは日本語をドメイン名に使う事も始まっていますが、WEBブラウザーやメーラーのサポートが必要ですから、思ったようには伸びていないようです。ただ、日本語を始めとする国際化ドメイン名は、日本語以外にも多くの言語をサポートしますから、今後は各国内のみを対象にしたサイトで需要が増えそうです。


日本語を使ったドメイン名は、汎用JPドメインに限らず".com"や".org",".net"でも登録できるようになっています。入力された日本語を変換してASCIIにするため、通常では使われることのないようなASCII文字列をドメイン名に使うことができますから、TLDの資産をより有効に使うことができるでしょう。


では次回は、JPドメイン以外のccTLDにはどのようなものがあるかを簡単に紹介した後、気になるドメイン登録・維持の費用を見て行きましょう。

485.独自ドメインを考える1: メリットとデメリット (2005/03/15)

1月末に当サイトが独自ドメインに移行して2ヶ月近く経ちました。


別に独自ドメインになったからと言って、アクセスが増えたわけでも、頂くコメントが増えたわけでもありません。ですから、ここで特に独自ドメインを皆さんにお勧めるするつもりはありません。


ただ、独自ドメインを取ってみようかと思っておられる方に、少しばかりの情報を提供することができれば良いなと思い、まとめてみる事にしました。


さて、独自ドメインは、オリジナルドメインとも呼ばれていますが、世界中に2つと同じものがなく、一度取得すれば一生使い続けることができると言われています。(もちろんインターネットやDNSが存続し続ければの話ですが。)


ドメイン名は、早く取得したものに使用する権利が与えられるため、人気のある名前は既に取得されていたり、あるいはオークションで高い値段で売られているものもあります。


独自ドメインのメリットは、プロバイダーが変わってもサイトやメールのアドレスが変わらないということや、覚えやすい名前や好きな名前を選ぶことができると言うことが、よく言われています。


デメリットは、費用かかかると言うことと、ドメインの所有者情報が公開されてしまうということがあります。ただ、これらのデメリットも、最近ではあまり意識しないで済むようになって来ました。


まず費用に関してですが、以前に比べればドメインの取得や管理は、格段に安くなってきました。取り扱い業者によって価格に大きな違いがありますが、一番安いものは1年で800円ぐらいからあります。


次に所有者情報とは、ドメインの所有者の住所電話番号メールアドレスなどを指します。ドメインの登録者の権利を明確にするための登記的な意味合いがあり、匿名やウソの情報を使っていることが判明した場合、ドメインの登録が抹消される可能性があります。


しかしこれに関しても、個人情報を公開する代わりに、ドメインの管理を依頼した業者の住所や電話番号を公開すると言うオプションが提供されることが多くなってきました。つまり、ドメイン取得におけるデメリットは、ほぼなくなったと言えるでしょう。


数年前の古いデータですが、個人で運営されているウェブサイトのうち、独自ドメインを使っているのは、約2割だったと言われています。


しかし、最近個人でのドメインを取得が増加傾向にあり、またこの傾向は、世界中で同時に進行しているようです。


ドメイン自体が商品としての市場を形成し、世界をひとつのマーケットとしたドメイン間の競合が始まっています。各ドメインのレジストリは、価格サポート体制をより魅力あるものにして、世界中のユーザーを取り込もうとしています。


今日本では携帯メールが普及していますが、一部では既に独自ドメインを使ったメール配信サービスが始まっています。携帯電話を変更するたびにメールアドレスを変える煩わしさから開放されたい人には、独自ドメインを使った携帯メールアドレスは、是非欲しいサービスとなるでしょう。


今後日本では、個人でドメインを取得する人が、爆発的に増える可能性があるのではないでしょうか?

484.教室に生きた経済が入ってくる (2005/03/15)

3月12日に第5回日経Stockリーグの表彰式があったそうです。Stockリーグとは、中学生、高校生、大学生を対象とした株式学習コンテストで、1チーム3-5名で経済を学び考え、体験するものです。


第5回の参加者は計7,577名1,917チームに及びます。株式投資の基本的な考え方の「長期保有」「分散投資」を理解するために、500万円の仮想株式投資権が与えられ、各々決めた投資テーマに沿った複数の企業の株を、インターネットを使って実際の株価で仮想的に購入します。一定期間が終了した時点で、株による利益の順位がチームごとに発表されます。


審査は単に株による利益が高かったかどうかではなくて、株式投資に対する理解、ポートフォリオの独創性、表現力・文章力、熱意、論理性などが総合的に判断されます。


主催・後援には、日本経済新聞社文部科学省金融庁が名を連ね、最優秀賞のチームはメンバー全員が米国研修旅行に招待されます。


中学生から大学生までが、同じ条件で独創性を競い合うのもユニークですし、これほど生きた経済を学ぶことができる機会はめったにないでしょう。


教室での教育は、過去にこだわりすぎる嫌いがあります。過去の経験を教科書で学ぶことは、確かに重要なことですが、ともすれば化石のような古い知識考え方を押し付けてしまう可能性があります。


ある程度のルールを知らなければならない「国語」や「算数」(数学)とは異なり、「社会」や「理科」はダイナミックに変化します。特に「社会」は人間の日々の営みがテーマですから、社会構造や価値観、自然現象から大きく影響を受けます。


そして、知識や学問としての「社会」には、過去と現在を正しく認識することによって将来を予測し、それを望まれる形に近づけていくことが求められています。


社会活動のひとつである経済を、生きた教材にして学んだ1,917チームから選ばれた入賞レポートは、どれも力作ばかりで、たくさんの若いアイディアで溢れています。


ひょっとしたら、その中にパーム復活のヒントが隠されているかもしれません。

483.静かなブームもまた楽し (2005/03/14)

Palm OS Users Meeting 2005 in Tokyoも、盛況のうちに無事終わったようです。主催者の皆様と参加された方々はお疲れ様でした。


ソニーがCLIEの販売中止を決めた後だけに、大変意義のあったイベントだったと思います。いろいろなサイトで報告されているように、大変盛り上がったようです。


恒例のじゃんけん大会もあったようで、パームの新旧さまざまな機種が登場していたようです。新機種が次々と発表されている時なら旧機種の人気は新型には及ばないでしょうが、今後新機種が望めない今の状況では、本当に必要な機能が搭載されていれば、新しかろうが古かろうがあまり気にならないかも知れません。


そういえば、30年程前には電卓ブームがありました。多くの企業が参入し新機種が次々に投入され、それらもひと月もすればすぐに旧型扱いになりました。テレビや雑誌の広告にも必ず登場し、「答え一発!」などのコピーが流行り、ルート計算ができる電卓が登場した時は、かなりセンセーショナルだったのです。


しかし、ブームはいつか必ず通り過ぎていくのです。


今でも電卓は売られていますが、昔と違って売り場の片隅にぶら下がっています。また100円ショップでも十分実用に耐えるものを見かけることがあります。


USでZireが発売された時、ブリックパックによる簡易包装が採用され、ディスカウントストアーのレジの横にぶら下げて販売されるようになりました。この如何にも安っぽい販売方法が、実は無駄を省き、細く長く販売を続けるためには不可欠なのかもしれません。


これからも日本語版パームの定番機種を、継続的に入手できるようにならないものでしょうか?どこかのベンチャー企業によって、英語版パーム本体にJ-OSをプリインストールした機種や、J-OSか日本語版パームOSをROMに焼き付けたチップを搭載した機種が廉価で販売されることは、あり得ない事でしょうか?


ブリックパックに入った昔ながらのパーム機が、電卓売り場の横に並ぶようになることを、期待したいと思います。

482.ニッポン放送争奪戦3: 家庭にネットワークは2つも要らない (2005/03/13)

テレパソと言う商品が以前から販売されています。一台でパソコンとテレビ受像器を兼ね備えており、液晶やCRTを共有して有効に使おうと言うものです。


どちらかといえばパソコンが主体で、テレビも見ることが出来ると言うものですが、同様にテレビが主体で、パソコンも使えると言うコンセプトの商品も可能でしょう。


パソコンが家庭に普及してきたと行っても、テレビにはまだ及びませんから、テレビ主体で必要な時にだけパソコンに切り替わる事ができる製品があれば、それはそれで面白いかも知れません。


テレビと通信・コンピューターの融合は、ケーブルテレビから始まったと言えます。双方向通信を実現しており、同じ回線でテレビ放送と、パソコンへの通信を提供します。


本来はケーブルテレビの普及に伴い、オンデマンド放送やテレビショッピングにおけるe-コマースの実現が期待されていました。


ところが、ケーブルテレビがテレビ番組の多チャンネル化や、難視聴エリアの解消などの、ユーザーに直感的に理解されやすい利点のみを売り込んだ為に、ケーブルテレビの大きな特長である双方向通信を活かすことなく、今に至ったのです。


これは、既存の放送局側がケーブルテレビの普及に積極的でなかった為であり、あるいはUSのCNNのようなケーブルテレビ専門の有力な放送局が育たなかったのが、原因だと考えられます。


既存の放送局は、既得権として電波法上の局免許を独占的に与えられていますから、電波を必要としないケーブルテレビは、電波が届かない地域を視聴エリアにするため以上の意味がなかったのです。


ただテレビ局も、これまでにいろいろな試みを重ねてきました。報道番組に連携させて電話でアンケートを取り、結果をリアルタイムで集計して番組で見せる等の例は、以前からありました。


また、地上デジタル放送でも、放送の画像や音声以外にデジタル多重信号を使って、これまでにない新しい情報提供の試みを実験しています。


ブロードキャスティングの言葉通りに放送電波が一方的に垂れ流されてきた時代は終わり、放送のオンデマンド化通信との融合がようやく始まろうとしていたのですが、しかし通信とコンピューターは、それに優る勢いで進化していたのです。


これから放送が通信を取り込もうとしても、その時は既に、インターネットのネットワークが家庭の隅々に構築されているのです。


結局、放送がデジタル化によって家庭にネットワークとして入り込むのが、数年遅かったようです。これほどまで通信ネットワークが家庭に普及してしまった以上、放送はその後を追うことは出来ないでしょう。


放送が、これからの新しい時代のニーズに応えるためには、膨大なコストの掛かるデジタル放送を推進していくより、インターネットとの融合を目指すのが妥当ではないかと思います。


家庭にネットワークは、2つも要らない。


本当にユーザーが必要とする放送と通信のあり方を提案し、放送を含めたIT社会をどのように実現するかを真剣に考えていくことが、今求められているのです。