461.温暖化が氷河期を招く? (2005/01/19)

日経サイエンスの2005年2月号に、「温暖化が氷河期を招く 海洋大循環が止まるとき」と言う記事が掲載されています。地球の温暖化のメカニズムには解らない部分が多く、温暖化によって逆に氷河期が訪れる時期を早めることもありうるとしています。


映画「デイ・アフター・トモロー」の中で、氷に凍てついた自由の女神が登場したのを覚えておられる方もいらっしゃると思いますが、なぜ温暖化で騒いでいるのに氷で閉ざされるのか、誰でも疑問を持つと思います。


今、世界中で地球の温暖化が議論され、温室効果を持つ二酸化炭素の国ごとの排出量に規制を掛けようとしています。この大気中の二酸化炭素の増加による地球の温暖化は、緩やかな変化によって徐々に温暖化へ向かうと考えられています。


グリーンランドに堆積している厚い氷を調べることによって、11万年もの間の地球の気温や大気の変化を知ることができるそうです。樹の年輪と同じように、1年ごとに堆積した氷に刻み込まれた記録を辿っていくと、意外な事実が判明したそうです。


数百年から数千年のサイクルを持つ氷河期には、平均気温が20℃下がっていたそうですが、その半分の10℃下がるのに、たった6年ほどしかかかっていない時期があったそうです。


つまり過去の地球では、想像よりはるかに急峻な平均気温の変化があったと言うことになります。なぜ平均気温がそれ程急激に変化することがあるのか?これには水面に浮かぶカヌーを例えとして、説明がされています。


カヌーを左右に小さく揺らしてもすぐに元に戻ろうとしますから、正常な状態なら大きく傾くことはありません。しかし、大きく傾いた状態で同じ小さな揺れが来たら、そのまま転覆するかも知れません。そしてどちらに転覆するかは、加えられた小さな揺れと同じ向きだとは限らないのです。


今緩やかに進行している地球の温暖化によって、氷河期が突如として襲来する可能性があると警告しています。


地球の気象は海流によって大きく影響を受けます。海底から湧き上がる塩分の多い海水が陸地に近づくと、川から来る真水によってさらに軽くなり、大きな対流となっていきます。地球の自転さえも揺すぶるほどの大きな流れが、地球の気象をいとも簡単に変化させてしまうそうです。


バイキングたちが造った住居跡がグリーンランドに残されているそうですが、突然の氷河期の訪れによって生活ができなくなったため、移住を余儀なくされたと考えられているそうです。また古代文明の遺跡の中にも、急激な気温の変化によって滅びたとする説が有力になっている所があるそうです。


近年台風や竜巻など、日本でも気象が激しくなってきている事を実感しますが、地球規模で気象がどのように変化しているかを解析するのは、大変難しいことのようです。


地球シミュレーターなどの科学分野がさらなる発展を遂げ、現在の温暖化が地球全体にどのような変化を及ぼすのか、解る日が来ることを期待します。

460.阪神大震災から10年を迎えて (2005/01/18)

阪神・淡路大震災から10年が経ちました。兵庫県各地では、1月17日に多くの追悼の集会が開かれたようです。神戸の町には、新しい住宅やビルがかつての活気を取り戻しているように見えますが、生活面や経済面での復興は、なかなかはかどっていないようです。


昔から「地震・雷・火事・おやじ」は怖い物の代表でしたが、おやじの怖さが消えていく反面、地震の恐怖は年を追うごとに増してきています。

新潟・中越地震インドネシア・スマトラ島地震がごく最近発生しましたし、今後近いうちに東海・東南海・南海地震が起こる事が予想されていますから、地震対策の重要性は高まるばかりです。


近畿地方ではこれまで300年周期で大地震が発生してきましたが、最近の調査の結果、阪神大震災で動かなかった危険な断層がいくつかあり、それらは今すぐにでも地震を起こす可能性があることが判ったそうです。


それらの断層によって地震が発生すると、神戸市の広い範囲で震度6から7の揺れになるだろうと言われています。10年前に被害が少なかった地域も多く含まれており、前回と同様の被害が出るだろうとの予測があります。


10年前に大きな地震があったからと言って、これから290年間は地震が起こらないと言えないところに、地震対策の難しさがあるように思います。今は阪神大震災から10年経ったと同時に、次の大地震があと数年に迫ってきていると考えなければならないのでしょう。


南海地震による津波も心配です。警報システムばかりに注目が集まっていますが、いくら正確な予報が可能になっても、津波にどのように対応しなければならないかを、すべての住民が理解していなければ意味がありません。


警報を出して津波から避難しろと言われても、その前に大きな地震で被害が出ていたり、強い余震が続く中、そう簡単に逃げられるわけではありません。第一、都会の臨海部で津波から逃げることが出来る場所があるのでしょうか?


地震予知や津波警報システムなどの目新しい技術に予算をつぎ込むだけでなく、津波から逃げるための施設を、地道に整備していく必要があるのではないでしょうか?


今年の7月には津波に備えて、多くの地域で大規模な避難訓練が行われるそうです。過去の経験を活かして、これからの大地震には万全の体制で臨めるように、知恵を絞っていきたいものです。