602.インド出張6: クアラルンプールでトランジット (2006/09/30)

さて、夜の9時にホテルに帰ってきて、0時半のフライトのために帰国の準備をします。1時間ぐらいでホテルをチェックアウトしなければなりません。


自腹で払うのなら、夜中に出発する場合は朝からホテルはチェックアウトするのですが、帰りに1日マレーシアに寄らなければならないので、インドからのフライトに乗る直前にシャワーを浴びて行こうと、夜中のチェックアウトを選びました。


タクシーで空港に到着すると、空港は何をするのにも混雑していて、チェックインカウンターで搭乗券を手に入れるのに一苦労、イミグレーションで出国スタンプをもらうのにも一苦労。セキュリティーでまたまた一苦労。


やっと搭乗ゲート前の待合室に着いたのですが、そこもかなりの混雑です。申し訳程度の免税品店があるにはあるのですが、昔ながらのウイスキーやタバコなどの免税品が少しばかり並んでいるだけで、買っている人はいませんでした。


さすがにIT企業が多く進出していると見えて、エールフランスパリ行きや、ルフトハンザフランクフルト行きなどが次々と飛び去っていきます。ところがシンガポール航空マレーシア航空の便はどちらも1時間程度の遅れがあると言うアナウンス。


しばし、混雑した待合室で我慢するしかありません。と、その時、呼び出しのアナウンスが流れ始めました。マレーシア航空で最終目的地が大阪関西空港の搭乗客を呼びだしているみたいですが、よく名前が聞き取れません。少なくとも日本人ではなさそうです。


しばらくして、再びアナウンスが流れました。今度はよく聞いてみると、どうも自分の名前のような気がしてきました。どうも私がお呼びのようです。搭乗ゲートに行ってみると、チェックインで搭乗券を渡したときに航空券をもぎ取らなければならないのに、そのままになっていたとのこと。ホッチキスで一緒になっているわけでもなかったので変だなとは思っていたのですが、やはり間違いだったようです。


さらに数十分後には、再び同じ理由で呼び出されてしまう羽目になってしまいました。まあ、フライトの出発を待っている間時間を持て余していましたから、良い運動になったとでも思えばいいでしょう。


3時間半のフライトでクアラルンプールへ。さすがに寝不足ですが、早速マレーシアに入国してKLIAエキスプレスという特急列車でクアラルンプール中央駅に行きます。


まずはおきまりの観光ルートから、駅から歩いていける国立博物館(MUZIUM NEGARA)に行き、旧中央駅鉄道省の古い建物を横に見ながら国立回教寺院(モスク)に行ってみます。その後、イスラムの美術館(MUZIUM KESENIAN ISLAM MALAYSIA)を見学し、大雨が降っている中チャイナタウンに行きアンカサホテル(Ancasa Hotel)ワンタンヌードルスープを18リンギットで食べ、コミュータートレインでKLCCに行き、ペトロナス・ツインタワーを外から眺めました。


きれいな街並みを眺めながら、ショッピングの中心地にあるブギッ・ビンタンまで歩き、中国式足裏マッサージと試した後、今度は日本風ラーメンを食べ、少しのお土産を買ったのでした。クアラルンプールの定番コースを、足早に駆けめぐったといった感じになってしまいました。


モノレールで中央駅まで戻り、駅でフライトのチェックインをしてからKLIAエキスプレスで空港に戻りました。あっという間の1日観光でしたが、なかなか充実したトランジットになりました。


機中泊が2晩続き、しかもそれぞれのフライトが3時間半と6時間というのはさすがにしんどいです。ビジネス客は市内観光などしないで、空港にあるトランジットホテルで休憩するのが正しいのかも知れません。


しかし、もしもう一度同じルートで旅行するとしたら、やっぱりクアラルンプールに寄って市内観光をするでしょうね。エキゾチックな南国の首都は、とても魅力的でした。

601.インド出張5: ヒンズー寺院とコマーシャル・ストリート (2006/09/26)

さて、滞在予定の1週間は短いもので、あっという間に最後の金曜日になってしまいました。今日は、仕事が終わってから、USから来て2ヶ月間バンガロールに滞在しているエンジニアのCさんが、ダウンタウンのお勧めスポットを案内してくれることになりました。


聞くところによると、彼は普通のホテルには滞在せず、アパートメントを借りているそうで、賄いつきで一日70ドル。車は運転手つきのレンタカーで、一日30ドル。「一日100ドルなら普通のホテルより安いだろ」と言われれば、確かに170ドル+TAXで泊まっている身ですから、ごもっともと言わざるを得ません。


2ベッドルームと言いますからホテルより広そうですし、賄いも自分で食べたい料理を朝頼んで食材代を渡せば、材料を買い出しに行って時間に合わせてアパートメントに調理をしに来てくれ、後片付けもしてから帰るそうです。ベッドメークもしてくれるそうです。


案内をしてくれるのはCさんのお抱え運転手、アンサーさん。仕事が終わったCさんは運転手とともに迎えに来てくれました。まだ明るいうちにこの街で一番ファンシーな建物をみたいとリクエストすると、アンサーさんは夕方の渋滞をうまくすり抜けながら、街の中心部にあるヴィダナ・スーダー(Vidhana Soudha)という州の庁舎を案内してくれました。


確かにかなり立派な建物であり、その向かいには赤く塗られた州最高裁判所(the Supreme Court.)があります。2つの建物はどちらも立派なものでありながら対照的でもあり、周りの公園の美しさも加わってすばらしい景観をもたらしています。さらに、庁舎の拡張に伴って、まったく同じ設計・外装の、まるでコピーのような建物がすぐ横に建てられています。


さて、車窓から建物や公園を眺めた後、ヒンズー教会に案内してもらいました。"Bull Temple"と呼ばれており、数あるヒンズー教会の中でも最も古いものだそうです。


階段になった参堂を上っていくと、境界の入り口の前で靴を脱がなければなりません。中に入ると正面にデーンと牛の石像が構えています。どこからともなく案内の少年が現れ、英語で説明をしながら教会の中へと導いてくれます。


500年経っている割りに荘厳な感じがしないのは、牛というキャラクターのためでしょうか。ひとつの岩の塊から掘り出された高さ5メートルほどの牛の石像は、黒い油がにじみ出ています。石像に触ると幸せになるということで、訪れる人が全員ありがたそうに牛の足をさすって行きます。


神父(Priest)が何やらお祈りをしてくれて、眉間に赤い粉を擦り付けてくれます。しばらくその神父さんにヒンズー教について聞くことができました。彼は、3代に渡ってここの神父を続けているそうで、ヒンズー教の神父は結婚をしてもいいそうです。また神父になりたくないという自由も残されているようです。


ヒンズー今日は、誰が訪れても受け入れるらしく、そのためか夜も20時半まで見学が可能だそうです。しかし、Cさんはこのような話題が好きですね。ヒンズー教のことをあれこれと聞いていましたが、私は何を質問したら良いかほとんど思い浮かびませんでした。


さて、最後に連れて行ってもらったのは、コマーシャル・ストリート。最初これは通称だと思っていたのですが、実際の通りの名前だそうで、一部のモールやMGロードが高級品を扱うのに対して、庶民的な値段で買い物ができるエリアです。


お決まりの服屋かばん屋ワイシャツの仕立て屋や如何にもといった感じの民芸品屋が並んでいます。またジーンズ屋では900円ほどでジーパンを売っています。


この通りからさらに細い路地が延びていて、そちらはさらに安くなるそうですが、それなりにダーティーな世界になっていくようです。かなりの人通りで、ここでは本当に買い物をする人が多いようです。


私も、ノートパソコンが入るビジネスバッグを1275ルピー(約3800円)で買いました。それほど安いわけではありませんが、記念にもなる実用品は無駄がなくてよいでしょう。


さて、時間を見るともう4時間が経とうとしています。ドライバーのアンサーさんは、最低4日なければこの街をすべて見て回ることはできないと言ったのですが、彼のおかげで4時間のかなり凝縮した観光をすることができました。


ホテルまで送ってもらい、2人にさよならの挨拶をした後、3時間後の飛行機に乗るための準備に取り掛かったのでした。


いやー、しかしインドはおもしろかった!

600.インド出張4: 本格的インド料理に舌鼓 (2006/09/22)

バンガロールでの3日目,お昼ご飯はオフィスのフードコートにある本格的インド料理のレストランです。メニューの選択は同僚に任せていたのですが,典型的なインド料理が食べてみたいと希望してみます。


まず,出てきたのがタンドリーチキン。肉類といえばチキンかエビに決まっているようです。3種類のスパイスで味付けされたチキンは,なかなかのお味でした。


次に出てきたのがドライカレー。中にはこれもチキンが入っていてかなりのボリュームです。これがまたおいしいのです。辛さの種類は,かなり胡椒が入っているように思うのですが,鋭さのある辛さは癖になりそうです。


これがインドにおけるピクルスだと教えられたのは,レモンの皮をスパイスで漬け込んだもの。こちらのレモンは,日本で言えばゆずのような形をしています。


一口で食べたらその塩辛いこと!それを見た同僚は一口に食べてしまったのかと驚いています。どうも,梅干しのような食べ方をするらしく,少しずつご飯と混ぜながら食べるのが正解だそうです。


大変満足した昼食を,しかも奢りでしたからもう言うことなし!インドに来てよかったと思いました。(いかにも単純!)


さて,前回のショッピングツアーはいまいちだったので,今度は地元の人が行く店を見てみようということで,フォーラム・モールというところに行って見ました。


オフィスを出て,オートリキシャを見つけて値段の交鈔をしてみます。50ルピーで行くというので乗り込みます。これが正に遊園地の乗り物よりスリルがあります。迫りくるバスや車をかき分けかき分け,クラクションをけたたましく鳴らしながら,少しでも隙間があれば割り込もうとします。


周りの景色もさることながら,このバトルを見ているだけで飽きません。うまいことに後ろはまったく見えないようになっていますから,自分がどれほど追突されそうになっているかは分かりません。


オートリキシャを降りたところにスーパーマーケットがあり,どんなものを売っているのか見てみる事にしました。コルゲート歯磨きが150円,コーラが一缶60円,ビールの大瓶が180円と言ったところでしょうか。カップヌードルも売っていました。


さてモールですが,ブランドとしてはアディダスベネトントミー・フィルフィガーなどがありました。値段は日本とあまり変わらないので,かなり高級店と言えるでしょう。あまり実際に買っている人は少ないようです。マクドナルドもありますし,一番上のフロアには映画館が10スクリーンほどあります。


昼ご飯をたくさんいただいたので夕食を食べる気にもなれず、モールにあったマクドナルドでソフトクリームを食べてみました。小さいのは8ルピー(24円)で、普通の味がしました。(それはそれで意外!)


さて,帰りに先ほどのスーパーでビールを買いました。フォスターというオーストラリアのビールと、キャッスルという南アフリカのビールを買いました。ただ、輸入品ではなくインド国内でライセンス生産されたものだからでしょうか、味はブランドに関わらずほとんど変わらなかったように思います。


さて,帰りもオートリキシャを探したのですが,ホテルの名前を知らなかったのでとりあえず”Inner Rind Road"を走ってもらい近づいたら合図するということになりました。値段は80ルピー。行きよりかなり込んでいて30分ぐらい掛かりましたが,バトルが面白いので退屈しません。


後で同僚に聞くと,その距離なら25ルピーで行ける距離だとのこと。やっぱり簡単にぼられてしまいますね。


実は,昼ご飯に食べたカレーのスパイスがまだ効いていて、お腹がジンジンとしてきます。また、ニンニクがかなり入っていたようで、自分の息は言うに及ばず、頭の中までニンニクくさいのです。


本格的インド料理の真髄を見た気がしました。

599.インド出張3: バンガロールで初仕事 (2006/09/20)

疲れているのになかなか寝付けなかった長い夜が終わって,やっと朝がやってきました。ずっと気になっていた外の景色を見るためにカーテンを開けてみました。


うーん,かなり殺風景でありますな。確かに南方系の地域に多い景色ですが,やたら瓦礫が目に付きます。昨晩、空港から見た景色と,明るくなっても印象が変わらないのは見事です。


すごいのは交通渋滞。渋いのを通り超えてえぐいですね,今日は現地の社員が自分の車でホテルまで迎えに来てくれたのですが,その運転のすごいこと。単に運転が荒いというのを越えていて,運転は格闘技,道路は競技場と化しています。


バイク自動車オートリキシャバスが,同じ速さで道路を区別なく走り回っています。大阪の運転の荒さを1としたら,イタリアのフィレンツェが3,バンガロールは8ぐらいでしょうか。ここでは運転技術もさることながら,性格と根性を適応させなければならないでしょう。


さて,オフィスに着いたのですが,まだできて2,3ヶ月しかたっていないはずのビルなのに古ぼけて見えます。以前から使われていたビルかと聞くと,間違いなく新しく建ったばかりだと言います。


不思議に思ってじっくり見てみると,壁やタイルが汚れていたり剥がれたりしています。日本なら真っ白であるはずの壁が,薄汚れているのです。その他立て付けがずれていたり,外装のガラスの継ぎ目が汚れていたりして,それらが原因で古びたビルに見えているようでした。確かに,周りにあるオフィスビル以外でも,新しく建築中の建物と古くなって解体中の建物の区別がつきません。


民家らしき建築現場では,コンクリートブロックを主に使っているようですが,日本のようにブロックに鉄筋を入れることのできる穴が開いていませんから,ただ重ねてモルタルで引っ付けるだけで建物を作っているようです。いかにも地震に弱そうです。


また,7階建てぐらいのオフィスビルの工事が進んでいるのですが,日本でその規模なら、まず鉄骨を組みますが,わずかな鉄筋(太い針金)を入れているだけで,あとはブロックを積んでいくようです。


昼ごはんはオフィスの中にあるフードコートに行きました。サンドイッチやピザもあるのですが,まずはインドらしい料理を食べてみます。料金は30ルピー(約90円)。


もっとびっくりするような味かと思ったのですが,確かにスパイシーではあるものの,十分許容範囲です。中国で食べたものは一口で満腹になったことが多かったのですが(つまりとてもまずかった),ここでは完食。ただ確かにどの料理もすべてカレーで,しかもベジタリアン食でした。


赤道に近いのでもっと暑いところかと思っていたのですが,22度Cと日本並みかそれ以下でしょうか。標高が930メートルあるのですごしやすいとは聞いていましたが意外でした。


さて,夜はホテルに閉じこもってしまうのも面白くないので,タクシーを頼んでみやげ物や巡りをしてみました。タクシー代は2時間ほどで430ルピー(1200円ぐらい)。ただしこれは失敗。カシミールの絨毯シルク製品像の彫り物などが並んだ店を何軒も回る羽目になってしまいました。昔の香港ツアーのようです。


夜のダウンタウンにも人がいっぱいいるのですが,賑やかかというとそうでもなくて,単に雑踏に見えるのはまだ目が慣れていないからでしょうか。一見しただけでは何を売っているか分からない店がたくさんありました。


人口が570万人と言われていますから,かなり大きな町です。それなりに立派な建物もあるようですが,夜タクシーから見ただけでは良く分かりませんでした。


でも,薄暗い夜の街は,20年前の南京や武漢の町にとても雰囲気が似ていると思いました。

598.インド出張2: インドに到着 (2006/09/18)

「近くて遠い国」とは韓国のことを指しますが,「結構遠くてやっぱり遠い」のはインドでしょう。


クアラルンプールまで関空から6時間半,4時間の乗り継ぎ時間があってそこからさらに3時間半のフライトでした。家を出てから延べにすると20時間ほど掛かってしまいました。アメリカの東海岸に乗り継いで行って24時間でしたから,同じアジアの中といってもかなりの距離感があります。


クアラルンプールでもかなりヒンドゥーやイスラム的な雰囲気がありましたが,インドへのフライトはかなりスパイシー。機内食も「ベジタリアン」「ノンベジタリアン」のチョイスで,ノンベジタリアンのカレーはなかなかのお味でした。これはインドのカレーが楽しみです。


バンガロール空港に着いたのは23時半。真っ暗の中に浮かぶ建物は,それだけでここがインドであることを気づかせるには十分で,これから飛び込んで行く街が、ただものではないことを暗示しています。


確かに,すでに入国審査に並んでいるところでかなりインド的で,列はぴったり後ろについてかばんはボンボンぶつけて来るは,でかい声で携帯電話でしゃべっているは,最近は西洋諸国にしか行ったことがない身には堪えます。


バッゲージクレイムエリアもかなりの混雑で,やっと出てきたかばんを持ってさて両替をしようとしたら,怪しい感じのする窓口がありましたが,クレジットカードからのキャッシングはできないようです。税関の係官に聞いたら外にATMがあるというので,いったん外に出ます。


ATMでルピーを手に入れてから,プリペイドのタクシーを予約します。ホテルの名前を言って300ルピー(約900円)を払い,係りの人について建物の外に出ました。


うーん,すごい人だかりです。このときはこんなに物貰いがいるのかと驚いたのですが,後から聞くと予約したタクシーの運転手がお客の名前をカードに書いて持っていたらしいです。あまりの多さに(ざっと1000人はいたでしょう。)勘違いをしてしまいました。


空港の前はすごいことになっています。ちっさい車とバイクと歩行者が渾然一体となってうねっています。クラクションの洪水です。しばらくするとタクシーが来たみたいで手招きされた車に乗り込みます。


ものすごく小さい車で,人とバイクと車にほとんどぶつかりそうになりながら,かき分けかき分け進んでいきます。クラクションの応酬とバトル。イタリア人も真っ青の運転テクニックです。ひとたび他の車を引き離したら,もう制限速度なしの世界。真っ暗な大通りをすっ飛んでいきます。


さて,大通りから人気のない通りに入って行きます。確かゴルフ場の近くのホテルだったはずですが,どう見ても廃墟の中を進んで生きます。するとしばらくすると,そこだけが別世界のようなホテルが目の前に現れるのです。


しかし,空港からのタクシーの中では,どんな街なのか思わず乗り出して周りをきょろきょろ見てました。それほどエキサイティングな街に見えました。日本にはこんなところはないです。(当たり前。)21年前に行った中国に少し似ていると思いました。


これは,明日明るくなってから見る街が楽しみになってきました。