さて、ニッポン放送のフジテレビジョンに対する新株予約権の発行による増資は、昨日の東京地裁の仮処分決定によって、ライブドア側の主張が全面的に認めらました。
今回のニュースの特徴的なことは、街頭インタビューで質問を受けた人が、必ずはっきりと自分がライブドア派かフジテレビ派か明言していることです。
地裁の決定の対しては順当とする意見が多いものの、経済団体からは厳しい結果であるという見方をしているようです。また一般的には、ライブドアの堀江社長のやり方の対して、好きか嫌いかで意見が分かれているようです。
今多くのニュースで注目されているのは、「最終的にどちらが主導権を取る事ができるか?」になっています。「ニッポン放送の議決権の何パーセントを取るか?」というのははっきりと数字に表れますから、勝った負けたが誰の目にも判りやすいのでしょう。
応援している方の優劣に一喜一憂するところは、スポーツ観戦に似ているかもしれません。しかし、それはあとから考えれば、一過性のものである可能性が高いのではないでしょうか?
この出来事の本質は、テレビとインターネットの融合を目指すインターネット企業と、現状のテレビ放送業界に安住するテレビ局の戦いです。どちらが主導権を握るかによって、日本のテレビ放送の将来が、大きく変わる可能性があるのです。
実は一つ気になっていることがあります。新たな展開がある度に、ライブドアの堀江社長がテレビ局の報道番組をはしごしてインタビューに答えています。しかし、その中で一向にテレビとインターネットの融合に関する議論がなされていないのです。
もっとはっきり言えば、堀江社長がブログやインターネットの可能性を口に出しても、番組のキャスターは、それに対して全くと言っていいほど情報を持っていないように見えます。すなわち、インターネットのことを知らなさすぎるのです。これでは、馬の耳に念仏です。
通信とコンピューターの融合は、1980年代に始まって以来、多くの企業の淘汰を生んできました。やがて放送も、その潮流に飲み込まれることでしょう。しかし、今の放送業界に少しでも危機感はあるのでしょうか?
放送電波は公共のもので限られており、自分たちはそれを継続的に独占する事を許されている特別な存在であると、放送免許の上に胡座をかいているのではないでしょうか?
フジテレビジョンの日枝会長は、「テレビがなくなれば困る」と言っています。しかしこのまま、テレビ業界だけで視聴率競争をしているのでは、テレビ放送がなくなってしまうのもあり得るかも知れません。
堀江社長が力説されているコンテンツの大切さは、このような弱小サイトをやっていても強く実感します。しかし、番組製作を丸投げしている放送局には、コンテンツの重要性を理解しているとは思えません。
長い間、通信とコンピューターは誰でも簡単に使えるものではありませんでした。しかし、インターネットによって、今では多くの人がそれを利用し、身近に感じることが出来るようになってきました。
家庭の隅々にまで浸透してきた通信とコンピューターが、テレビ放送といつまでも乖離したままであるはずがありません。
テレビ業界が、これまでメディアの頂点に君臨してきたと言う自負があるのなら、今こそ新たな時代のメディアでも、頂点を取る姿勢を見せるべきではないでしょうか?