412.KmartがSearsを買収する日 (2004/11/18)

”The New York Times ON THE WEB”に、KmartがSearsを買収すると言う記事が掲載されています。Kmartと言えば、少し前には倒産したと報じられていましたが、今度は積極的な拡大政策に打って出たようです。


現在、USの小売業で圧倒的に強さを誇っているのはWalmartです。2番手には日本で言うホームセンターであるHome Depotが続き、新しくKmartとSearsが合体すると、それらに次ぐ3番目の規模になるそうです。


プランではそれぞれのブランドは残すものの、Kmartの店舗のうちのかなりの数がSearsに変更されるそうです。同時にそれぞれが持っている独自ブランドを、それぞれの店舗で共有化することが計画されているようです。


新しい本拠地は、有名なシカゴのシアーズタワーになるそうですが、経費の節減の為にライバルのWalmartCostcoが開発してきたビジネス手法を、さらに飛躍する事が必要になるとされています。


KmartとSearsと言えば、長い間USの大衆消費を担ってきたのですが、19世紀に始まったとされるデパートの決まり文句であったキャッチフレーズが、この数十年間の郊外化が進む都市構造に対応しきれなくなっていたと指摘しています。


Kmartと言えば、ディスカウントストアーの草分け的存在ですが、あまりカスタマー主体の発想がなかったように思います。私の経験でも、問題があって返品されたものが、そのまま同じ状態でまた陳列棚に並んでいたことがあり、安心して買い物ができると言うには程遠いものがありました。


日本でも、一時は小売業日本一を誇ったダイエーが、解体の危機に瀕しています。それぞれ一時期はディスカウンターの覇者であった訳ですから、運命的にも共通したものを持っているのでしょう。


KmartとSearsが、過去の栄光から決別し、新世代のライバルたちと再び競い合うことができるのであれば、ダイエーもまた然るべき変革の後には、走り去ったライバルと相まみえることもできるのではないかと思えてくるのです。

411.印刷部数が示すもの (2004/11/18)

asahi.comに、「日本雑誌協会、400誌の印刷部数を公表」と言う記事が掲載されています。これまでの出版社による自己申告では曖昧さがあり実態が分からなかったため、印刷工業会のお墨付きのデータによって発行部数を正確に把握しようというのが狙いです。


発行部数が正確でないと、雑誌の影響の度合いを広告主が評価ができないため、統一した基準によるデータが長年求められていたそうです。印刷部数の公表によって、出版業界の勢力図に変化が起こるかも知れません。


あるテニス雑誌では、印刷部数が出版社の自己申告の10分の1近くになってしまったケースもあるそうで、これまでの発行部数のデータがいかにいい加減であったかを物語っています。


まだ経過措置が採られているため、印刷部数と自己申告による販売部数が共存して発表されるそうですが、2-3年のうちには全ての雑誌の印刷部数を公表することになるそうです。


雑誌の分野によっては印刷部数の公表に消極的なところもあるそうです。車、スポーツ、パソコン、コミックの4分野が消極的だったと言うことですが、こんなところにも日本的業界の馴れ合いによる悪癖が蔓延しているのでしょうか?


これまでの自己申告による発行部数より正確な印刷部数が発表されることによって、広告主が印刷部数の多い雑誌に優先的に広告を打つのは当然の事でしょう。しかし、雑誌の読者である私たちは、印刷部数の多い雑誌を読んでいれば安心などとは考えないで、これまで以上に本当に自分にとって価値のある雑誌はどれであるかを見極めていきたいものです。


雑誌の影響力を測るには、本来の発行部数、すなわち印刷部数ではなく実売部数で判断するべきでしょう。実売部数を増やすことに比べ、印刷部数を増やすことはそれ程難しいことではないからです。


今でさえ実売部数は印刷部数の7割と言われているそうですが、更に印刷部数に注目が集まることによって、売れもしない雑誌を大量に印刷だけして発行部数を水増しし、古紙として裁断・回収に回される読み手のない雑誌が増えて行くことがないよう、切に願うのであります。