122.所変われば刃物も変わる1: 刃物の産地 (2003/06/10)

皆さん、日本の刃物の産地で有名な所は、どこだかご存知ですか?恥ずかしながら、私は大阪の堺しか思い浮かべることはできませんでした。


関西のデパートのエスカレーター横で包丁の宣伝販売しているとすると、たいていは堺で作られた物を売っています。ですから、日本の刃物と言えば堺だと思い込んでいました。


ところが少し調べてみると、日本の刃物は岐阜県の関が有名だそうで、「西のゾーリンゲン、東の関」などと称されているそうです。更に、新潟の三条、高知の土佐刃物、福井の武生、兵庫の三木などが、刃物の産地として有名だそうです。


良い子の住んでる良い町にも、確か鍛冶屋さんがありましたね。生活に必ず必要だったものですから、町ごとに鍛冶屋さんがあったのが、伝統的な産業として根づいている訳です。堺は包丁が有名で、三木は大工道具が有名であると言うように、発達の歴史によって、今も産地ごとに得意な分野が違うようです。


これらの刃物の産地が集まって技術の発展や産業の振興を図る、「全国刃物サミット」が開かれているようです。伝統の上に安住するのではなく、常に前進して行く姿勢は評価されるでしょう。


また日本中の大工さんが集まって、鉋(かんな)で薄く木を削る技を競うコンテストがあります。テレビで紹介されたこともあるのでご存知の方もいらっしゃるでしょうが、削り出された極薄い鉋屑は、それだけで芸術的でさえあります。


よく研ぎ澄まされた鉋で削った木の表面は、どんなに細かく磨いた物より滑らかであると言われています。場合によっては、表面がツルツルしすぎて、塗料をはじいてしまうこともあるそうです。


普通、刃の先を横から見ると1本の細い線に光って見えるのですが、研ぎ澄まされた鉋の刃は、横から見ても光らないそうです。つまり、刃の先端の厚さが限りなくゼロに近いのです。


鉋の刃は、片刃、つまり片面はあくまで平面を出し、もう一方に刃を付けます。菜切り包丁なども、片刃です。出刃包丁は、両刃です。一般に片刃は削る為、両刃は切る為と言われます。


日本の料理では、大根やりんごの皮をむいたり、キャベツをみじん切りにしたりしますから、片刃の包丁も便利ですが、西洋ではあまりそのような使い方はしないようですから、両刃の包丁が主に使われています。


さて、西洋の包丁と言えば、ドイツ・ゾーリンゲンのヘンケル社が有名です。日本のほとんどのデパートでも扱っていると思います。学校でも、ゾーリンゲンの刃物は有名であると習いました。


そのゾーリンゲンのヘンケルに関して、ちょっとしたお話がありますので、次回してみたいと思います。

121.血液型と性格 (2003/06/09)

117.科学技術白書 (2003/06/06)の血液型の話しに、パルマガの機長さんが、お目を留めて頂いたようです。ありがとうございます。そこで、少し補足説明をさせて頂きます。


理数系の人にB型が多いと言うのは、一般的に言われるようになってきました。コンピューター関係の会社などで簡単な統計を取ると、B型が通常の割合よりも圧倒的に多かったと言う話しは、時々耳にします。


ただ、血液型と性格と言った一般的な相関に関しては、血液型による性格判断が好きな人は「相関あり」と言うでしょうし、信じていないと言う人は「根拠なし」と言うでしょう。


いろいろな国民の血液型の分布を見ていると、面白いことに気づきます。A型の多い日本と似ているのがフランスです。フランスは、日本にも増してA型が多いのですが、日本人とフランス人の性格が似ているという認識は、一般的にあまりされていません。A型は几帳面でまじめだと言われてきましたが、フランス人にはどう見ても当てはまらないでしょう。だから、「血液型占いは当たらないんだ!」という人もいるでしょうね。


長い間、日本人は几帳面でまじめであると言われてきました。日本人には、A型が多かった為、几帳面でまじめであるのはA型の特徴とされてきました。はたして本当でしょうか?


日本人がまじめにコツコツ働いていたのは、性格がそうであったのではなくて、まじめに働かなければ、豊かになれなかったからではないでしょうか?今の日本人は、昔に比べてまじめな人が減ってきているように思いますが、血液型が変わったわけではありません。


学生の頃はおとなしかった人が、同窓会で久しぶりに会ったら、人が変わったように活発になっていた、と言うことは良くあることです。つまり、性格などと言うのは、先天的普遍的なものではなく、環境や必要性に応じて変化していくものなのでしょう。ですから、血液型と性格を関連付けることにそもそも無理があるのです。


ところで、性格は時が経つと変わることがありますが、血液型は変わらないのでしょうか?実は、骨髄移植をすると血液型が変わる場合があるそうです。


知り合いのB型の方が、骨髄移植をされました。その結果、今度はA型になりました。骨髄が正常に機能し始めて造血作用が確認され、A型の反応が出始めた頃、それまでは何も言わなかったのに急に病室に持ち込んでいたテレビの向きを気にして、「真っ直ぐに直してくれ」と言われたそうです。


血液型、恐るべし!

120.メイド・イン・ジャパン (2003/06/08)

最近日本製の製品を見直そうという機運が、高まりつつあります。品質の優れた製造工場としての日本の可能性を再認識して、競争力を取り戻そうとしています。


特に、以前から製造技術に一日の長がある企業の取り組みが熱心なようです。製造原価を下げるために、人件費の安い国に工場を作るのではなく、設計や製造行程を最適化することによって、コスト競争力を付けて行こうとしています。


6年前、USに住んでいたとき、Walmartのチョコチップクッキーが好きで、よく買っていたことがありました。そのパッケージには、次のようなメッセージか書かれていました。


「Walmartは、学力の不足している子供たちを支援し、USが国際競争力を取り戻す運動を支援しています。このクッキーの売り上げ金の一部は、学校教育の援助として寄付されています。」


WalmartSam’s Choiceと名付けられた商品のシリーズは、すべて売り上げの一部が同様に寄付されていました。Samというのは、社長の名前だったらしいのですが、一企業が、国の将来を憂いていた様子がよくわかります。


これとは別に、国を挙げて国産品を品質の良さをアピールしようとして、様々なMade in The USA製品に、星を形取った同じロゴをあしらったラベルを付け、「US製の製品を誇りを持って製造・販売しています」と唱っていました。


当時、東南アジアは言うに及ばず、南米や中近東からの低価格製品に押され、国産品の売り上げが低迷していましたが、国産品の品質を向上することによって、活路を見いだそうとしていたのです。


私たちも、もう一度日本製の製品を、見直してみる必要があるのではないでしょうか?

119.ウッドコーンスピーカー (2003/06/07)

日経ビジネスに、ビクターのウッドコーンスピーカーの話が載っています。


実は最近知ったのですが、ビクターはコンポーネント・ステレオ関連は、もうスピーカーしか作っていなかったのですね。ビクターと言えば、「His Master’s Voice」犬と電蓄で有名なステレオメーカーですから、ステレオは今でもフルラインで揃えていると思っていたものですから、残念ですが時代が変わっていたようです。


そのビクターから、木のコーンを使ったスピーカーが出されるということで、注目を集めているということです。


ヴァイオリンピアノは、言うまでもなく木でできていますから、音源と同じ素材を使ったスピーカーは、これらの楽器の音を再生するのに、優れた特性を持つそうです。アイデア自体は、20年前からあったそうですが、プレス成形の技術がなかなかできなかったそうです。


おもしろいのは、一度目のプレス時に木が割れないようにするために、日本酒に浸してからプレスするそうです。いっそう良い具合に音楽に酔えそうな感じがします。甘口の酒の方が、歩留まりが良かったと言う話は微笑ましいですね。


木の種類はカバを使ったそうです。カバ桜などとも呼ばれ、桜の木に似た美しい木目を持ち、北海道家具などに使われています。


ヴァイオリンやピアノ、ギターなどはよくスプルースを使いますが、おそらく木質が粗な為に、薄くスライスするのが困難だったのではないでしょうか。


木の種類によって、再生を得意とする楽器が違ってきたりするでしょうから、もしカバを使ったスピーカーが好評を博したら、木の種類を変えて異なった音質を狙ったバリエーションも出してもらいたいものです。


デジタル時代に、いかにもアナログ的なこだわりも、面白いものです。是非、発売されたら視聴してみたいものです。

118.無敵のブランド (2003/06/07)

日経メカニカル2003年6月号の特集に、「無敵のブランド」と言う記事が載っています。この中で、「ブランドは高く売る為の武器である」と述べています。


今まで、いかに安く売るか、安く売る為にはいくらで作らなければならないか、と言うような思考でうまく行っていたのは、大量消費時代、つまり欲しいものはたくさんあるけれど、お金があまりないと言う時代であったからです。とにかくいっぱい買いたかったのです。まだ、お腹が空いていて栄養失調の状態だったのです。


しかし、そのうちに欲しいものも一通り買ってしまい、それでも買いあさるのが癖になっていた為、ガレージセールで売り飛ばしながら、また買ってしまっていました。今度は、拒食症のようです。「安物買いの銭失い」とは、良く言ったものです。


実は、私はバイキングを食べに行くと、必ず元を取らなければならないと考える性分ですので、いつも後で体調が悪くなるのです。そろそろ、高くてもおいしいものを、適当な量だけ食べてみたいと思うようになりました。もちろん、ブームに乗ってみんなと同じ物を食べに行くのではなくて、自分の好みに合ったものを、じっくりと味わいたいのです。


ブランドは、絶対的な信頼を保ち、決して選んだ人を裏切ってはいけません。記事では、ルイ・ヴィトンを優れたブランドの例として取り上げています。ルイ・ヴィトンは、最近の調査で、店員の応対サービスで、最高の評価を得ています。また、その製品の価値は、他の多くのブランドと比較することさえ無意味に思えます。


よく、プライスリーダーと言いますが、これは周りの似たような製品があり、まだ切磋琢磨している段階でのことです。本当のブランドになれば、他との比較を必要としない程の、絶対的な価値を与えなければなりません。


日進月歩のテクノロジー製品においては、製品そのもので絶対的な価値を目指すことは、困難なことかもしれません。しかし、企業の姿勢などは、1年2年で変化するものではありません。長い年月を掛けて築いた企業のイメージが、消費者を裏切らず信頼を勝ち得た時、ブランドといえるのではないでしょうか?個性豊かなブランドを確立していく日本企業が、これからはもっと必要になってくると思います。