皆さん、日本の刃物の産地で有名な所は、どこだかご存知ですか?恥ずかしながら、私は大阪の堺しか思い浮かべることはできませんでした。
関西のデパートのエスカレーター横で包丁の宣伝販売しているとすると、たいていは堺で作られた物を売っています。ですから、日本の刃物と言えば堺だと思い込んでいました。
ところが少し調べてみると、日本の刃物は岐阜県の関が有名だそうで、「西のゾーリンゲン、東の関」などと称されているそうです。更に、新潟の三条、高知の土佐刃物、福井の武生、兵庫の三木などが、刃物の産地として有名だそうです。
良い子の住んでる良い町にも、確か鍛冶屋さんがありましたね。生活に必ず必要だったものですから、町ごとに鍛冶屋さんがあったのが、伝統的な産業として根づいている訳です。堺は包丁が有名で、三木は大工道具が有名であると言うように、発達の歴史によって、今も産地ごとに得意な分野が違うようです。
これらの刃物の産地が集まって技術の発展や産業の振興を図る、「全国刃物サミット」が開かれているようです。伝統の上に安住するのではなく、常に前進して行く姿勢は評価されるでしょう。
また日本中の大工さんが集まって、鉋(かんな)で薄く木を削る技を競うコンテストがあります。テレビで紹介されたこともあるのでご存知の方もいらっしゃるでしょうが、削り出された極薄い鉋屑は、それだけで芸術的でさえあります。
よく研ぎ澄まされた鉋で削った木の表面は、どんなに細かく磨いた物より滑らかであると言われています。場合によっては、表面がツルツルしすぎて、塗料をはじいてしまうこともあるそうです。
普通、刃の先を横から見ると1本の細い線に光って見えるのですが、研ぎ澄まされた鉋の刃は、横から見ても光らないそうです。つまり、刃の先端の厚さが限りなくゼロに近いのです。
鉋の刃は、片刃、つまり片面はあくまで平面を出し、もう一方に刃を付けます。菜切り包丁なども、片刃です。出刃包丁は、両刃です。一般に片刃は削る為、両刃は切る為と言われます。
日本の料理では、大根やりんごの皮をむいたり、キャベツをみじん切りにしたりしますから、片刃の包丁も便利ですが、西洋ではあまりそのような使い方はしないようですから、両刃の包丁が主に使われています。
さて、西洋の包丁と言えば、ドイツ・ゾーリンゲンのヘンケル社が有名です。日本のほとんどのデパートでも扱っていると思います。学校でも、ゾーリンゲンの刃物は有名であると習いました。
そのゾーリンゲンのヘンケルに関して、ちょっとしたお話がありますので、次回してみたいと思います。