224.「たけやぶやけた」 (2003/10/17)

回文と言うのをご存知ですか?上から読んでも下から読んでも、同じになる文の事です。「しんぶんし」や「たけやぶやけた」などは、どなたも一度は聞かれたことがあると思います。


インフォシークの国語辞典を引くと、回文歌・回文狂歌・回文俳諧などがあるそうで、昔から言葉遊びとして定着していたようです。


テレビの海苔のコマーシャルで、「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」と言うのがありました。普通回文は仮名ですが、漢字の場合でも同様に考えることが出来ます。


「新・たけやぶやけた」と言うサイトには、漢字の回文を集めたページがあり、「食間禁間食」「当日無日当」など、そのまま日常で使えそうな面白い作品が並んでいます。


回文のことを英語では、‘palindrome’と呼ぶそうで、探してみるとJim Kalb’s Palindrome Connectionなどに多くの例があります。


"A Toyota! Race fast, safe car. A Toyota"や、"A Santa at NASA"、あるいは"Sex at noon taxes"など、なかなか楽しい作品が集められています。


さて、ここまでは前置きです。


実は小生が中学生の頃、とあるオーディオ関係の雑誌に、「上から読んでも下から読んでも同じ文を、録音して反対に再生したら果たして同じに聞こえるか?」と言う記事がありました。


最近では見かけなくなりましたが、当時はまだオープンリール式のテープレコーダーがありました。もちろん逆再生などと言う機能はありませんが、一時停止のレバーを少し引いてキャプスタン(テープ駆動の為のローラー)を浮かし、手でテープを逆に回すと逆再生ができました。もちろんスムーズに回すのは難しいのですが、何回かやっているうちにだんだんとコツが分かってきます。


試しに「トマト」と録音して反対に再生しますと、「ぅおたもとぅ」のように聞こえます。何回やっても「トマト」とはまったく違った音に聞こえます。また簡単に「か」だけ録音して逆再生すると、「ぁくっ」みたいに聞こえます。


つまり、仮名は音節を表しており、音そのものではないと言う事なのです。そうすると「トマト」は、音で表すと"TOMATO"ですから、反対は"OTAMOT"となり、逆再生の音と近くなります。


「しんぶんし」や「たけやぶやけた」などの逆再生音は、何を言っているのか全く分かりませんでした。ところが、「あか」"AKA"ですから、逆再生は同じに聞こえるのです。


その雑誌には、反対に再生して同じように聞こえる例として、「赤坂」("AKASAKA")や、"No lemon no melon"が載っており、テープを手で回しながら確かめたものです。


今、先ほどご紹介したサイト、Jim Kalb’s Palindrome Connectionに同じ文を発見して、懐かしく思い出した次第です。

223.宇宙から万里の長城は見えなかった (2003/10/17)

中国の有人宇宙飛行が成功して、内外で様々な反応が見られるようです。中国の驚異の技術力を賞賛する声がある反面、軍事的な脅威としても捉えられているように、なかなかインパクトのあるニュースであったと思います。


中国はまだ発展途上国であると言っているようですが、旧ソ連や米国が有人飛行に成功した時には既に大国であったわけで、そのような経済的に発展しきっていない状態でも、宇宙に飛行してしまえる辺りがやはり大国なのでしょうか?


ところで、戻ってきた飛行士が、「万里の長城は宇宙からは見えなかった」と言ったそうです。万里の長城は、長らく宇宙から見える地球上の唯一の建造物とされてきましたが、宇宙は思ったより遠かったと言うことでしょうか。あるいは、近年風化が進んできていると言われている長城が、予想以上に崩れてきているのかもしれません。


宇宙からでも見えると言われると、「さすがは万里の長城だ!」と感心していたわけですが、根拠が無くても断言されると信じてしまうものです。そういえばだいぶ前になりますが、似たような話があったことを思い出しました。


まだ野球場に球速の表示がなかった頃、ある野球解説者が、当時最速と言われていた江夏投手のピッチングを見ながら、


時速200キロ新幹線より速い球を投げられるのは、江夏投手だけでしょう!」


と言っていました。その当時はその解説者だけでなく、一般的にそう信じられていたのです。最近になっていろいろなスポーツの球速が測定されるようになって、野球のピッチャーの球が時速200キロメートルを超えるとは誰も思わなくなりましたが、昔は遠ざかる新幹線にボールをぶつけられるのは、江夏投手だけだと信じていたのです。


データがすべて信じれるわけではありませんが、データのないものはさらにいい加減であることが多いようです。


さて、中国が誇る万里の長城が宇宙から見えなかったでは済まされません。次の飛行ではドデカイ望遠鏡でも搭載するのでしょうか?