144.少年犯罪と子供のしつけ (2003/07/11)

また悲惨な事件が起きてしまいました。これまでも類似の事件がありましたが、それらの教訓を生かせなかった事が残念です。このような事が繰り返し起こる事だけは避けなければなりません。


小泉首相が、安全な社会でなくなったと公言してからも、何ら対策が打てず、あらゆる場面で危険が増えてきています。子供の誘拐のみならず、引ったくり強盗窃盗婦女暴行と、ありとあらゆる犯罪が身近頻繁に起こっています。


町でパトカーを見掛けるのは、交通安全週間などのキャンペーン期間中か、サミットなどの特別な時だけ。たまに見かけても駐車違反を取り締まるミニパトカーだったりする事が多い様に思います。


昔は、もっと頻繁に町の中をパトカーが巡回していたように思うのですが、これほど治安が問題になってきているのですから、キャンペーン中の巡回だけでは治安は守れません。


USに住んでいた時、会社の同僚の新しい家に招待された事がありました。簡単な地図と住所をもらって車で行こうとしたのですが、一方通行の入り口が分からず同じ所で何回かうろうろしていると、知らない間にすぐ後ろにパトカーがいて、パトライトを光らせ始めたのです。


「うっ、いかん!へたに動くと撃たれてしまう」と、同乗者に身動きをしない様に注意して、警察官が来るのを待ちました。


パトカーを降りてやってきた警察官は私に、「どこに行きたいんだ?」と聞いたのです。私が住所を言うと、「パトカーに付いてこい!」と言って、先導して同僚の家の前まで行ってくれました。


これに限らずUSでは、スーパーの駐車場の車椅子の乗降用のスペースに一般の車が止まれば、すぐにどこからともなくパトカーがやってきて取り締まります。


ところで、日本とUSを比較すると、日本では小さい子供と親の距離が離れすぎているように思われます。USでは、3-5メートルが限界で、それ以上親と子が離れる事は、ショッピングセンターなどの公共の場所では許されない様に思います。


小さい子供の側には必ず親や引率者がいて、誰が親jか分からないような子供はいません。遊園地などでは、子供の腰にビニールの紐を付けて、親の腕とつないでいるのをよく見かけます。


親の声の届かない所へ子供が行ってしまう事は、親自身にも周りの他人にも許されない事なのです。これは、しつけの問題であると同時に、誘拐の危険性を防ぐ為なのです。


日本では、子供が一人でスーパーやショッピングセンターを歩いていて、親がどこにいるか分からない事は、珍しい事ではありません。これから徐々に人々の意識が変わってきて、手の届かない所に子供が行く事に、不安を感じるようになって行くのでしょう。それぐらい日本の安全は危ういものになったのかもしれません。

120.メイド・イン・ジャパン (2003/06/08)

最近日本製の製品を見直そうという機運が、高まりつつあります。品質の優れた製造工場としての日本の可能性を再認識して、競争力を取り戻そうとしています。


特に、以前から製造技術に一日の長がある企業の取り組みが熱心なようです。製造原価を下げるために、人件費の安い国に工場を作るのではなく、設計や製造行程を最適化することによって、コスト競争力を付けて行こうとしています。


6年前、USに住んでいたとき、Walmartのチョコチップクッキーが好きで、よく買っていたことがありました。そのパッケージには、次のようなメッセージか書かれていました。


「Walmartは、学力の不足している子供たちを支援し、USが国際競争力を取り戻す運動を支援しています。このクッキーの売り上げ金の一部は、学校教育の援助として寄付されています。」


WalmartSam’s Choiceと名付けられた商品のシリーズは、すべて売り上げの一部が同様に寄付されていました。Samというのは、社長の名前だったらしいのですが、一企業が、国の将来を憂いていた様子がよくわかります。


これとは別に、国を挙げて国産品を品質の良さをアピールしようとして、様々なMade in The USA製品に、星を形取った同じロゴをあしらったラベルを付け、「US製の製品を誇りを持って製造・販売しています」と唱っていました。


当時、東南アジアは言うに及ばず、南米や中近東からの低価格製品に押され、国産品の売り上げが低迷していましたが、国産品の品質を向上することによって、活路を見いだそうとしていたのです。


私たちも、もう一度日本製の製品を、見直してみる必要があるのではないでしょうか?

117.科学技術白書 (2003/06/06)

NIKKEI NETに、「日本の研究者、処遇は不十分・科学技術白書」と言う記事が掲載されています。2002年度版科学技術白書に基づいた記事ですが、一般事務職と技術職の賃金を、USと日本で比較しています。押し並べてUSのほうが、技術職に対する賃金が高く、日本の技術職の処遇が不十分であると言っています。面白いことに医師パイロットだけは、日本の方が高いそうです。


理科系は大学での履修科目においても、文科系に比較して負担が大きいとされています。ですから、それに見合う待遇がどこかで成されていなければ、苦しい思いをするだけ損だと感じるのは当然ですし、その結果優秀な人材が技術職を目指さなくなり、日本の技術力が低下すると言う理屈も分からない訳ではありません。


では、技術者の処遇を考え直して手厚くもてなせば、優秀な人材が技術職に集まって、技術力が回復するのでしょうか?USでは、技術職の賃金が高い為に、優秀な人材が集まり、その結果技術力が高いのでしょうか?


処遇を良くすることは、必要なことの一つではありますが、それだけではないと思います。このことはUSの研究所の様子を見ると良く分かります。研究者の多くは、母国で大学を卒業した後、母国からの補助をもらってUSの大学院に留学し、卒業した後はそのままUSで研究を続けているのです。IEEEなどの学会に論文を出している研究者は、かなりの高い確率で中国や、インドの出身者ですし、台湾ベトナム韓国からの研究者も、相当数に上るでしょう。


USの研究開発力は、彼ら移民に頼るところが大きいのです。昔の日本で、大陸からの技術者に頼っていたのと同じです。実績のあるUSの大学院を卒業し、一時的かもしれませんが母国を離れて研究に従事する人たちの給与を日本と比較するだけでは、問題は解決しないと思います。


ところで、なぜ理工系に従事する人に、中国やインド系の人が多いのか?これには、明快な訳があります。もし、皆さんの周りに理科系の人がいたら、血液型を聞いてみてください。B型が多い筈です。日本人では、およそ20%がB型ですから、もし20%以上なら理科系にB型が比較的多いと言えるでしょう。


日本人には、A型が一番多いのですが、アメリカ人O型が一番多く、中国インドではB型が多いそうです。中国とインドから研究者として人材が集まって来るのには、このような理由もあるのではないでしょうか?

107.地震の強度 (2003/05/27)

一日経って、東北地方の地震の被害状況が、明らかになってきました。東北新幹線の橋脚でもかなりの被害が出ているようです。一日も早く復旧されることを心より願っております。


地震の強度を示すマグニチュードは、地震その物のエネルギーを表しています。また、各地点の地震の強度は震度で計るのですが、6弱と6強、あるいは6強と7ではかなり違いますし、同じ震度の場合でも、被害の程度に大きな差が出てくるようです。実際の生活にどのぐらい影響を与えるかを、もっと正確に表す指標はないものでしょうか?


最近になって、神戸で倒壊した阪神高速道路の高架部分が、最初の揺れで倒れたのではなく、最初の揺れから大分時間が経ってから、山岳などの反射波の影響で倒壊したのではないか、と言う研究結果が発表されています。


また、家屋の場合は、窓の破損外壁の損傷によって、倒壊に至らない場合でも多大な被害額になる場合があり、揺れの大きさだけでなく揺れ方にかなり影響されるようです。あるいは、古い家屋の中には、何度も続く予震の後に倒壊した物も多いそうです。つまり、瞬間的な加速度揺れの振幅だけでなく、時間軸で積分したトータルのエネルギー量も重要になってきます。


高層ビルの場合は、建物の固有振動数地震の周期の関係が、非常に重要です。もう、20年ぐらい前になりますが、東京から離れた震源地で起こった地震によって、新宿の高層ビルが予想以上に揺れてしまって、高層部のレストランのほとんどのお客さんが、帰ってしまった事がありました。


その時の解説では、震源地と東京の間の地盤が緩い地域によって地震の周期が長くなり、高層ビルの固有振動数に近くなった為に、予想以上の大きな揺れになったと言うことでした。しかもこの時、地表にいた人には、それほど大きな地震ではなかったのです。


震度は、地震強度の表現として有効であることに違いはないですが、実際の被害を出来るだけ正確に予想できる新しい指標の整備が、今後必要になってくるのではないでしょうか?

106.地震お見舞い申し上げます (2003/05/26)

今日、東北地方の広い範囲で地震があったそうです。お見舞い申し上げます。今回の東北地方の被害状況は、まだ把握されていないようですが、大きな被害にならないことを、そして一日も早く復旧されることを、心から願っております。


神戸地区では、震災後8年を経て喉元過ぎれば何とやらで、地震保険の契約率が低下してきているそうです。しかしながら、21世紀半ばまでに南海地震が予想されており、さらなる防災体制の整備が必要とされています。


阪神大震災は、直下型で震源が地下20キロメートルと浅かった為、揺れの周期が短かったのですが、南海地震は長い周期の地震が長時間続くと予想されています。


すなわち、高層ビルにより大きな被害をもたらすと言われています。そう言えば、グアムの地震では、平屋の民家よりにはあまり大きな被害がなく、高層ホテルの壁面や内部に大きな亀裂が走ってしまいましたから、耐震構造と言っても安心は出来ません。


また、南海地震における被害の多くは、数十メートルの高さになるとされる津波によると予想されています。阪神間では、南海地震の津波に備えて、地震発生後30分以内にすべての水門を閉じる訓練をしていましたが、不法駐車などによって、うまく機能しなかった例があったようです。


地震は、いつやってくるか分かりません。日頃から、物心両面の備えを欠かさないように、準備をしておきたいものです。