107.地震の強度 (2003/05/27)

一日経って、東北地方の地震の被害状況が、明らかになってきました。東北新幹線の橋脚でもかなりの被害が出ているようです。一日も早く復旧されることを心より願っております。


地震の強度を示すマグニチュードは、地震その物のエネルギーを表しています。また、各地点の地震の強度は震度で計るのですが、6弱と6強、あるいは6強と7ではかなり違いますし、同じ震度の場合でも、被害の程度に大きな差が出てくるようです。実際の生活にどのぐらい影響を与えるかを、もっと正確に表す指標はないものでしょうか?


最近になって、神戸で倒壊した阪神高速道路の高架部分が、最初の揺れで倒れたのではなく、最初の揺れから大分時間が経ってから、山岳などの反射波の影響で倒壊したのではないか、と言う研究結果が発表されています。


また、家屋の場合は、窓の破損外壁の損傷によって、倒壊に至らない場合でも多大な被害額になる場合があり、揺れの大きさだけでなく揺れ方にかなり影響されるようです。あるいは、古い家屋の中には、何度も続く予震の後に倒壊した物も多いそうです。つまり、瞬間的な加速度揺れの振幅だけでなく、時間軸で積分したトータルのエネルギー量も重要になってきます。


高層ビルの場合は、建物の固有振動数地震の周期の関係が、非常に重要です。もう、20年ぐらい前になりますが、東京から離れた震源地で起こった地震によって、新宿の高層ビルが予想以上に揺れてしまって、高層部のレストランのほとんどのお客さんが、帰ってしまった事がありました。


その時の解説では、震源地と東京の間の地盤が緩い地域によって地震の周期が長くなり、高層ビルの固有振動数に近くなった為に、予想以上の大きな揺れになったと言うことでした。しかもこの時、地表にいた人には、それほど大きな地震ではなかったのです。


震度は、地震強度の表現として有効であることに違いはないですが、実際の被害を出来るだけ正確に予想できる新しい指標の整備が、今後必要になってくるのではないでしょうか?