277.ウッドコーンスピーカーを試聴する (2003/12/11)

「209.木の温もり」の雑記で、ビクターから発売される木で作られたスピーカーの話を紹介しましたが、昨日梅田のヨドバシカメラで試聴して参りました。製品を紹介しておきながらそのままになっていたので気にはなっていたのですが、素人の試聴レポートで参考にはなりませんが少し書かせていただきたいと思います。


EX-A1と名づけられたその製品は、DVDプレーヤー(DVD内蔵コンパクトコンポーネントシステム)として販売されており、ウッドコーンスピーカーはこの製品にセットとしてのみ販売されています。


売り場では、バイオリニストの高嶋ちさ子さんのプロモーションDVDが用意されていましたが、さすがにバイオリンの音が再生された時は、目を見張る、いや耳を疑う(それも違う!)、とにかく如何にもバイオリンがすぐそこで鳴っているような感じがしました。


強いて言うならば、木のきしむ音がするとでも言いましょうか。悪い意味ではありません。電気的に再生された音ではなく、木が本来の音源としての鳴り方をしていると言った感じなのです。


バイオリンと言う楽器は不思議な楽器で、主音に対してより強い倍音(高調波)が発生します。この倍音がバイオリンの音色を決定付けている訳ですが、これまでのスピーカーよりこの倍音の再現に優れているのではないかと思いました。


ただ、人の声などの再生では、スピーカーから離れると急に音圧が下がるように感じました。つまり、音のパワーが弱いのです。あと音の定位が安定しないと言いますか、聞く位置によって音源の位置が移動しているように感じました。


この製品に採用されているスピーカーは8センチの口径のものですが、木の薄板をプレスする工程を見るとあまり大きい口径を作るのは難しそうです。トールボーイタイプの製品が試作されているようですが、スコーカーツィーターだけにウッドコーンを採用したものも期待できそうです。


なんせ周りがうるさい売り場で聴いただけですから、静かな環境だとまた違った印象になったかもしれません。もし興味をお持ちの方は、是非ご自分の耳でお確かめになることをお勧めいたします。


ビクターと言えば、昔からソフトドーム・スピーカーを開発したり、独クルトミューラー社のコーンを採用したり、スピーカーの素材にこだわりを持ったオーディオメーカーです。今回のウッドコーンスピーカーも改良を重ね、名機と言われるようになっていく事を期待しています。

240.磁気嵐とオーロラ (2003/10/31)

と言っても、それほど実感として荒れていると感じるわけではありませんね。しかし、この磁気嵐を甘く見ると痛い目に会いそうです。


環境観測技術衛星「みどり2」の運用を断念したそうです。まだはっきりとした原因は分からないようですが、太陽フレアによる磁気嵐が原因ではないかと考えられているそうです。日本が740億円をつぎ込んだ衛星は、実際の供用が始まる前に宇宙の藻屑と散っていったのです。


他の国の衛星には、これまでのところ被害は出ていないようですから、磁気嵐が原因かどうかはっきりしませんが、もし日本製の衛星だけが影響を受けたのだとしたら、衛星の信頼性にも疑問が持たれ、ロケットとともに宇宙ビジネスに黒い影を落とすことになりかねません。


そういえば、宇宙大作戦(スタートレック)エンタープライズ号も磁気嵐には弱かったですし、映画「ファイナル・カウントダウン」で、空母ニミッツタイムスリップしたのも、磁気嵐が原因でした。磁気嵐には、何が起こるのかわからない魔力が潜んでいるのかも知れません。


太陽フレアは、太陽黒点の活動が活発化したときに多く発生するそうですが、この時にスポラディックE層 (Eスポ)と呼ばれる電離層が発生し、HF(短波)やVHF(超短波)の電波を反射してより遠くに届いたり、放送電波が混信したりします。


特にVHFは、普段は電離層で反射されないのですが、スポラディックE層では反射されるので通常と異なる経路で伝わり、聞こえるはずのない放送局が受信できたりするそうです。


このように、太陽黒点が活発になりフレアが発生するだけで、地球上で様々な影響が出ているのを見て、太陽の存在の大きさを改めて感じました。


ところで、低緯度でオーロラが見えると言うことで、日本でも観測されているようです。オーロラを見るためだけにアラスカまで旅行する人がいるぐらいですから、日本で見ることができた人はラッキーですね。

いろいろな所へ旅行して、もう見るべき物はすべて見てしまったと言う人が、死ぬまでに一度で良いから見たいと思うのがオーロラだと言います。地球がどんなを見ているのか、あなたも見てみたいとは思いませんか?




オーロラ それはオーロラ 地球も夢を見るんだ

あなたの残したものは 世にも美しい

地球が 夢を見ている写真と それからこの私と

オーロラ それはオーロラ なんてせっかちなあなた

オーロラに愛されて オーロラになってしまった



ー さだまさし 極光(オーロラ)より ー 


237.充電池のウソ・ホント (2003/10/29)

私のm100には、ニッケル水素電池を入れて使っています。この電池はアルカリ電池より容量があり、充放電を500回繰り返すことができると言われていますので、大変経済的です。


パームの説明書には、アルカリ電池のみを使用するように書かれています。しかし、パームは様々な電池に対応した電池残量表示に切り替えができるので、ニッケル水素電池も問題なく使えると解釈して、WorkPad30Jの頃から数年間使用しています。しかし、充放電サイクルが500回使えると言う割には、150回ぐらいで充電できなくなるのです。


ニッカドやニッケル水素電池はメモリー効果があるので、完全に放電してから充電するように指示されています。ですから、パームが電池切れの警告を表示するまで使ってから、充電するように心がけていました。


ところが最近になって、ニッケル水素電池の場合は完全に放電するのは、かえって電池にとって良くないと書かれているのを見つけました。パームで警告が出るのは、かなり使い切った状態であったのかもしれませんから、寿命を縮めていた可能性があります。


あるいは、パームのような弱い電流を流し続けるような機器には、ニッケル水素電池は向いていないのかもしれません。いずれにしても、ニッケル水素電池の場合は、あまり最後まで無理して使い切らない方が良さそうです。


サンヨーニッケルカドミウム電池を、サンヨー・カドニカの名前で発売したのは40年ほど前になるそうですが、その頃はメモリー効果などがあるとはわかっていなかったようです。メモリー効果などと呼ぶには、かなり後になって判った現象だと思われます。


昔は、電池といえば懐中電灯かラジオぐらいにしか使わなかったですから、当初のカドニカ電池は機器に組み込まれたものだけで、一般的な規格サイズが出てきたのはだいぶ後になってからでした。


充電池は、過放電と共に過充電も寿命を縮めると言われています。ニッケル水素電池の場合は、充電が完了すると端子電圧が少し上がるので、そのタイミングで充電器をストップさせて過充電を防ぐそうです。


最近よく使われているリチウムイオン電池の場合は、電池内部の温度が充電完了時に少し上昇するので、そのタイミングで充電を止めなければならないのですが、この温度上昇を検出するのは難しいようです。


リチウムイオン電池はメモリー効果がないと言われていますから、充電をする前に使い切る必要はないそうです。特にノートパソコンは、モバイルで使ったりデスクで使ったりしますから、電池の残量をあまり気にしないで充電を開始することが多くなります。


ところが、問題は満充電から少しだけ減った状態から充電を開始すると、温度の上昇がうまく検出できず、充電完了後も充電を続けてしまう為過充電になり、結果的に電池の寿命を縮めてしまうことがあるそうです。


ノートパソコンで、残量が95%ぐらいから充電を始めると、100%になっても充電ランプがついたままになることが多いのはこの為です。携帯電話もほとんどがリチウムイオン電池を使っていますから、同様の事が起こりやすいと思われます。


ある程度使ってから充電した方が、温度上昇を確実に検出でき、過充電を防ぐことができるそうです。


実際の充電器では、温度上昇端子電圧だけではなく充電電流も測定して、確実に充電完了を検出するものもあるそうです。

たかが電池、されど電池。これからも新しい電池が登場するたびに、使い方をマスターしていかなければなりませんね。

229.SSBとテープレコーダー (2003/10/20)

(今回の内容は、アマチュア無線や電波に興味のない人には全く面白くないと思われますので、予めお断り申し上げます。)


さて、先日の“224.「たけやぶやけた」”で、オープンリールのテープレコーダーを使って逆再生の実験をしていたと言う話を致しましたが、今日の話もテープレコーダーを使った内容です。無線に興味のある方には、なかなか面白い話のはずです(たぶん)。


アマチュア無線は、空中線電力に制限がありますから、限られた出力で遠くに電波を飛ばすために工夫をします。そのひとつにSSB(Single Side Band:単側波帯)があります。振幅変調の電話(音声)通信をする方式のひとつです。


振幅変調は、入力によって電波の振幅を変化させ信号を伝えます。周波数変調(FM)に比べ、帯域を狭くすることができるので、主に短波帯までの低い周波数で使われます。


電波の波を三角関数で表現し、その振幅の項を入力波形で変調を掛けると、キャリアと呼ばれる搬送波と、信号情報を含む2つの側波帯が生成されます。


送信電力を有効利用するため、復調時に注入できる搬送波は削除し、2つの側波帯は同じ情報を含むため上側(Upper
Side Band:USB)か下側(Lower Side Band:LSB)のいずれかだけを送信します。
信号の伝達に必要な電波だけを送信することによって、限られた電力でできるだけ遠くに届くようにしています。


USBとLSBは、互換性がありません。その為、周波数帯ごとにUSBを使うかLSBを使うかルールが設けられており、そのルールに従って送信と受信は同じ側波帯を使うことになっています。


私が高校生だったある日、交信仲間と実験をしようと言うことになりました。


USBで送信された電波をLSBで受信すると正しく復調されず、「モガモガ」とした音声しか聞こえません。それをわざとUSBで送信したものをLSBで受信し、一旦テープレコーダーに録音してから、再度LSBで送信しUSBで受信するのです。


当然途中の録音された音声は、全く何を言っているのか分かりません。ところが再度送った信号を逆の側で復調を掛けると、何と正しく再生されたのです!


振幅変調は搬送波を中心にして対称に側波帯が発生しますから、逆の側で復調すると高低の周波数が逆になります。しかし、再度逆に変復調を掛けることによって元に戻るのです。アナログ的な音声信号の暗号化と言ったところでしょうか。


振幅変調の原理が分かっている人にとっては当たり前の事なのですが、このような馬鹿らしいことを、夜中に真剣に「ああでもない、こうでもない」と実験しながら、議論に熱中していたことを懐かしく思い出しました。

227.膨潤タイプのくっつきにご用心 (2003/10/19)

同じくアサヒカメラの11月号に、「あなたのプリントがくっつく!?」と言う記事が掲載されています。ある種のインクジェットプリントされた写真用紙がくっついてしまい、無理に剥がそうとすると写真が台無しになってしまうと言うのです。


そもそもの発端は、アサヒカメラのコンテストに応募される写真に、最近はインクジェットプリンターから出力されたものが増えてきて、他の応募作品と重ねた時にくっつくことが増えて来たと言うのです。


またフォトコンテストと言う雑誌は、主にコンテスト応募によって構成されているため写真作品の応募が多く、こちらの方でも最近のインクジェットプリンターからの作品のトラブルが増えているそうです。


写真雑誌にとっては、印画や印刷された写真は、雑誌を作る上での大切な原稿でありますし、作品を作者に返す必要がある場合、その損傷は雑誌社の信頼を損ねる事になります。


調べてみると、インクジェットプリンターの写真用紙には2種類のタイプがあり、そのうち「膨潤タイプ」と呼ばれるものに被害が多いそうです。


「膨潤タイプ」は、表面に寒天のような水分を吸収する樹脂が塗布されており、インクの水分を吸収し同時に染料を定着させるそうです。欠点として湿度に弱い、顔料タイプのインクに対応できないなどがあるそうです。


その湿度に弱いという特性によって、湿度の高い状態で放置されると樹脂層が柔らかくなってしまい、他のものと重ねたりするとくっついてしまうのです。


もう一つの「多孔タイプ」は、これまでは主に業務用として使われていましたが、最近は一般消費用に多く出回ってきているそうです。このタイプの場合は、くっつく事はないそうです。


問題なのは、写真用紙の名前にも説明にも、どちらのタイプであるか表示がされておらず、取り扱いの注意も明確にされていないと言う事です。


カメラ雑誌では、インクジェットの用紙で応募する場合は別個の袋に入れて応募するように呼びかけているそうですが、なかなか徹底できていないそうです。また、膨潤タイプの場合には印刷後に24時間以上の乾燥をする事を推奨しているそうです。


個人的に写真として保存する場合、湿度によって知らないうちに他の写真とくっついていては大変です。写真は、長期保存性が重要です。これまでの印画紙以上に湿度管理が重要であるようです。