USでアパートを借りて、すぐにしなければならないのは電気、ガス、水道、電話の契約などですが、それと同時にケーブルテレビの契約もしなければなりません。(別になくとも良いのですが、USに着くと情報から隔離されるのはつらいので、新聞とテレビは必ず契約したくなります。)
もちろんアンテナを上げて地上波だけで暮らしている人もいるのですが、一般にはケーブルテレビの契約をする人が多いようです。
都会では、日本からの放送もいくつかあるようですが、田舎の町で日本人があまり多く住んでいないところでは、日本語放送はありません。ですから、英語が分かりづらくても、現地の放送を見ることになります。それはそれなりに面白いのですが、ケーブルテレビでは日本でもそうでしょうが、チャンネルがやたらと多いのです。
チャンネルが多いと、選択肢が増えて自分が見たくなるような放送が同時にいくつもあるような気がしますが、そうでもなくてなかなか気に入った番組を探すのは一苦労です。似たような番組が延々と続く40チャンネルぐらいを一通りスキャンして、やっぱりさっきの26チャンネルにしようと戻ってみると、すでに時間がたってしまっていて違う番組になっていたりします。
ですから、数が多く代わり映えのしない番組の中をかき分けかき分け、探しまくるわけです。つまりチャンネルが多いけれど内容が薄い、ここまでが”薄いコーヒー"の話です。
情報の質と量の充実をしないで情報バスを太くしていけば、段々と情報が薄いものになって行きます。コーヒーなら香りがあるうちなら良いのですが、限度を超すと飲めないほどまずいものになってきます。
さて、いつものようにチャンネルをスキャンしていると、ノイズの走った画面から
ボソボソと日本語が聞こえてきます。”いの~ち~みじ~かし”、、、、絶句しました。志村喬の"生きる"ではないですか!
やってくれましたクラシック・チャンネル。いったいUSで誰が見るんでしょうか?私はさすがに日本語が恋しくて見ましたよ!、10分ぐらいは。でも、あまりにも、雰囲気が違いすぎて(解っていただけますか?)、それ以上見ることはできませんでした。
あるいは、かつては人気のあった映画を、週に何度も繰り返し放送するのです。例えば、最新のスーパーマンをこれでもかこれでもかと繰り返されると、何か安っぽいものに見えてきて、価値がなくなっていくような気がします。これは、お茶の出がらしの話です。
このような映画を放送する事ができると言うことは、多チャンネルだからこそだとは思いますが、逆にそれだけ放送するコンテンツがないからだとも言えます。
インターネットもどんどん帯域が増えてきていますが、情報(コンテンツ)の充実が本当は、大切なのではないでしょうか?
20.散髪の日米比較 (2003/02/22)
携帯電話の話が続いたので、ここらで話題を変えまして(変わりすぎですが)、日米散髪比較をしたいと思います。
散髪というのは、結構そのお国柄が表れます。一般にはあまりアメリカでの散髪はお勧めではありません。旅行ガイドでも、是非アメリカで散髪をして帰ろうと書いてあるのを見たことがありません。現地の人も、各家庭でされる場合が多いようです。
東海岸のとある田舎町に住んでいたとき、地元のローカル新聞に年間優秀店舗として載っていた散髪屋に行きました。これが、店舗の雰囲気から映画のセットのようなのです。すり減ったカウンター。使い古された椅子にシミの付いたミラー。その他、骨董品のような器具の数々。博物館そのものです。また、ノーマン・ロックウェルの世界に出てくるようなおじさんが、お客さんの頭をいじっています。
覚悟を決めて待っていると順番がやってきて、そのテカリの出た革張りの椅子に座らされます。どのぐらい切るのかといったような質問の後、でっかいバリカンを取り出しました。あの羊を丸刈りするようなぶっといコードの付いたやつです。
ここで注釈ですが、一般に日本では刈り上げる部分のみにバリカンを使い、それ以外ははさみを使います。私の頭は、日本でははさみだけで散髪してもらっています。
さて、唸りをあげてバリカンが襲ってきます。”いかん、このままでは丸刈りにされてしまう”と思ったのですが、なんとそのでかいバリカンとくしを巧みに使い、うまい具合に毛をすき取っていきます。ものの5分ぐらいで散髪は終わりました。
これはこれで技術だと思いました。日本でバリカンをここまで細かく使いこなす人は見たことがありません。もし同じような散髪屋が日本にもあるとしたら大したものです。まあ、日本ではこのような散髪屋があったとしても、古いと言うだけで誰も行かないでしょうし、ましてやバリカンだけで刈られるのにも、抵抗があるかもしれません。
散髪が終わった後は、これもまたでっかい掃除機で、首や体に付いた毛を吸い取っていきます。もちろんひげ剃りはありません。でも、これと同じような散髪屋のチェーンが日本でも増えてきていますが、店の古さとバリカンは、なかなか真似のできない事だと思います。(何も真似をするほどの事ではないですが。)ちなみに、散髪料は1997年当時$10でした。これも、日本の散髪チェーンと同じですね。
14.アメリカ人は、古い物好き? (2003/02/10)
先日のZireの話で思うのですが、Zireが歳末セールで一番売れたと言うことは、確かに安い価格が理由の一つであると思います。日本でも、m100が4900円だったときは、ベストセラーといえるほどかは別にして、結構店頭で売れているように見受けられました。
古い技術、枯れた技術は、安く作れるから、価格も安い。これは、当然として、日本では枯れた技術で作られた製品を我慢して使うから、お金をたくさん出さないと言う理屈があるような気がします。つまり、低スペックに対する我慢代と言うことです。
一方米国では、安い理由は安く作れるからで、低スペックに満足したから買うのだ。つまり我慢して安いのを買うのではなく、自分が必要な性能を満たしている製品の中で、一番買いやすい物を買うを言う考え方をしているのではないかと、最近思います。
他人の目を気にしないから、平気で古い物を持つことができるのかもしれません。米国では、ペンタックスやミノルタのマニュアル・フォーカスの、日本では15年ぐらい前の製品が、まだ現役で(中古でなく)売られていたりする事があります。
日本的に見ると、どう見ても時代遅れと言った製品を新品として買っているのです。時代遅れと言われても気にしないだけなのかもしれませんし、ひょっとして古さに魅力を感じているのではないかと思うことさえあります。
小さな町の博物館に行くと、おじいさんの古時計に出てくるような、100年たった時計みたいな物があって、それを見に来た人は、”オーベリーオールド!!”などと叫びながら感激していたりします。
3・4世代遡れば、開拓者の先祖に辿り着く国では、100年もたった物は十分古いと言え、それなりの価値を持つとしたら、わざと古いスペックのものを、古さがいいと言って買っていく人もいるのかなと想像してしまいます。
それとも、古いか新しいかに関係なく、ただ単に値段が安いから買うのでしょうか?この辺のUSの価値観について、未だに良く理解できないのであります。
9.クレジットカードが駐車券? (2003/02/05)
フランスのリヨンに旅行で行った時のことです。ベルクール広場という市の中心にある公園の、公営地下駐車場に車を停めました。入り口の自動ゲートで前の車の運転手は、どうもクレジットカードのようなものを機械に差し込んでいます。
自分の番になって自動ゲートに近づいてよく見ると、その機械には磁気ストライプのあるカードを差し込む事を促すイラストが書かれていますが、使えるカードの種類や説明が表示されていません。試しに手持ちのJCBカードを差し込むとゲートが開きましたが、駐車券も何も出てきません。
取りあえず車を開いたスペースに停め、出るときに係員に聞けば何とかなるだろうと思い、観光に出かけました。このときは、地元の人が持っている特別な駐車場で使える磁気カードがあって、それを入れなければならなかったが、たまたまJCBカードでゲートが開いてしまったのだと思い込んでいました。
さて、2・3時間後駐車場に戻り、駐車場脇にある日本と同じような料金支払いの機械の前で、まず全てフランス語でのみ説明が書かれていること、さらに係員は出口ゲートも含めどこにもいない事に気づきました。駐車時間によって料金が違うように書かれているようですが、入場のときに使ったクレジットカード以外には、何もありません。試しに、機械にクレジットカードを入れても、訳の分からないフランス語らしきエラーメッセージと共に、すぐに吐き出されてしまいます。
仕方ないので、出口ゲートでインターホンで係員を呼び出そうということになり、車に乗って出口ゲートに向かいました。出口ゲートの機械にも、さっきと同じように無銘柄の磁気カードを差し込むように書かれています。ためしに、さっきのJCBカードを入れると、なんとゲートがサッと開くではありませんか。
つまり、入り口で入れられたクレジットカードの番号と入場時刻を記録しておき、出場時にそのクレジットカード番号による駐車時間分だけ、クレジットカードにチャージするという仕組みのようでした。
日本では、必ず入場時間を記録した紙の磁気カードを受け取ることに慣れていたので、すごく不安でしたが、その合理的なシステムに感心したのでした。
おそらく地元の人は、デビットカードやプリペイドカードなどの利用もできるのかもしれませんが、クレジットカードが直接使える利便性はすばらしいと思いました。できれば、英語ぐらいでは説明がなされていてもよかったかなとは思いますが。
日本ではテレホンカードや電車の自動改札など、それぞれ別の支払方法を所持しなければならず、利用者の利便性を考慮したシステムとは言い難いかと思われます。少なくとも、プリペイドカードの規格ぐらいは統一して、一種類で対応できるようになればいいのですが、難しいのでしょうね。
8.あなたは右側、それとも左側 (2003/02/04)
ハワイの話のついでに、歩行者が右側通行か左側通行かについて書いてみたいと思います。
私が、幼少のころは、左側通行の自動車が後ろから来るより、正面から来たほうが安全だという理由で、自動車は左、歩行者は右と決まっていました。おそらく、今に比べて歩道の整備が進んでいなかったため、合理的だったのかもしれません。確かに、学校の行き帰りに意識して右側を歩いていたような気がします。
そんな時、関西限定で恐縮ですが、大阪・梅田に新しくできた阪急電車のターミナルにあるエスカレーターと動く歩道が、左側通行になったのです。それまで、学校やテレビで歩行者は右側と教わってきたので、戸惑いました。いったいどっちなんだと。
それから、次第に場所によりけり、ある場所では右、別の場所では左というようになって来ました。これは、少し違う例ですが、エスカレーターで歩いて上がり下がりする人のために、立っている人がどちらにたつかが、東京と大阪で違うといった話がありますが、大阪でもいろいろあるように思います。
結果として、日本ではその場その場で判断して、右に寄ったり左に寄ったり臨機応変に対応しているのが、現状かと思います。
ところが、ハワイでは観光客が多いのでどうなのか判りませんが、少なくとも米国の東海岸では、細い通路や階段で人と人がすれ違うときは、必ず右側通行なのです。もし、日本人が臨機応変に左と判断してすれ違おうとしても、相手は絶対に右側通行でうまく行くと思っていますから、かなり接近するまで突き進んできます。
ぶつかりそうになってから、お互いに右往左往して道を譲り合うことになり、日本人にしては毎度のことでも、米国人にしてはうっとうしく感じているかもしれません。
もし今度行かれる時は、右側通行と左側通行と、どちらが楽に通行できるか試してみてはいかがでしょうか?