164.戦争の傷跡1: 広島平和記念資料館 (2003/08/06)

私の母は、戦時中伊丹空港の近くに住んでいた為空襲がひどく、祖父の実家があった広島の田舎に疎開しておりましたが、そこから広島に投下された原爆きのこ曇を見たと言います。


「ピカドン」の衝撃を私が実際に感じたのは、小学校2年の夏休み平和記念資料館を見学した時でした。それまで母から、焼い弾による空襲の話や、疎開先での苦労話などを聞いていた私でしたが、原爆の数々の展示品を見た時、それまでに感じた事のない恐怖心に駆られたのを、今でも鮮明に覚えています。


特にグニャリと曲がった醤油ビンと、小学生が着ていたと言うランニングシャツは、脳裏を離れる事はありませんでした。最近になって、地元の市役所で数十点の原爆関係の資料の展示がありましたが、やはり実際に投下された広島で見る、圧倒的な数の展示品を目の前にした迫力にはかないません。


平和記念公園に折り鶴が絶える事なく捧げられている事を知ったのは、パームボンチの特集「あなご飯を食いに広島に行った。」を読んだ時でした。このちんさんの旅行記は、まだ読まれていない方には是非一度読んで頂きたいのですが、その後話しを聞くと、私の子供が通う小学校の修学旅行は、折り鶴を持って広島に行く事になっており、その為に毎年6月頃に全校生徒で折り鶴を折っているそうです。意外と身近な話しだったようです。


ところが先日、とある学生のいたずらによって、14万羽もの折り鶴が焼失し、その大学の学生や関係者がお詫びとして、今日の早朝、完成した9万1千羽もの折り鶴を捧げられたと言うニュースです。驚いた事に、その大学の教授が私が小学生の頃にお世話になった方であったのですが、それはさて置き、何か今もって大きな力が、広島には存在していると感じるようなニュースだったと思います。


第二次世界大戦の傷跡は、世界中に存在しています。中国や韓国には、旧日本軍が残した建物があったり、記念碑があったりします。グァムに新しくできた水族館に行けば、熱帯の魚が泳ぐ水槽に旧日本軍の戦闘機が沈められていますし、オーストラリアに行けば、旧日本軍の人間魚雷が雨ざらしで展示されていたりします。


ただ、日本人は観光で他の国に行っても、ほとんどそれらの傷跡には立ち寄ろうとはしません。日本のガイドブックは、遊びの観光スポットは全て網羅していても、それらの日本の歴史を見せようとはしないのです。


同様にアメリカ人で広島を訪れる人は、そう多くはないでしょう。その為にはある程度勇気が必要であり、しかも冷静でなければなりません。時と共に忘れ去られる過ぎ去った過去ではなく、今なお重くのしかかる歴史なのです。


今回の特集では、私が訪れた事のある第二次世界大戦の記念館を、訪れた順に紹介したいと思います。

161.マッキントッシュ(リンゴの話) (2003/08/02)

メープルシロップが、USのバーモント州の名産品であると書きましたが、バーモントと言えばバーモントカレーを思い浮かべられる方も多いかと思います。


バーモントは、リンゴの産地として有名で、少し郊外に出れば多くのオーチャードを見つけることができます。9月の末ともなると、果樹園の広告が地元の新聞に掲載され、週末には多くの家族がアップルピッキングに訪れます。


リンゴの種類に応じて収穫の時期が異なるため、毎週行けば異なる種類のリンゴの収穫が楽しめます。秋のリンゴの収穫のシーズンは、毎週のように新聞の広告を見てオーチャードに行きました。また、オーチャードによって栽培しているリンゴのバリエーションが違い、あそこのオーチャードはこの品種が良いとかの情報が、職場で行き交います。


何事も旬は短いもので、のんびりしているとほとんどの種類の収穫が終わっていて、収穫の遅いスパイと言う少し酸味が強い小振りのリンゴしか、木に成っていなかったりします。酸味が強いリンゴは、アップルパイなどに良いのですが、生で食べるにはあまり適していません。


地元の人に聞くと、生で食べるにはマッキントッシュが一番と言います。曰く、クリスピーでパキッ、シャリという食感は、マッキントッシュならではのものです。形も、均整の取れたまん丸の形をしており、愛らしさがあります。よく昼のランチとして、家からマッキントッシュ一個とチョコチップクッキーを持って行ったものです。


不思議なことに、店で売っているリンゴでは、喉と耳がアレルギーで痒くなって来る私ですが、アップルピッキングのマッキントッシュだけは、痒くなりませんでした。


職場の同僚が、日本のリンゴがとあるオーチャードにあったと言うので何という銘柄か聞いてみると、「マツ」と言います。松は木の名前で、リンゴの名前ではないのではないかと言うと、リンゴの名前がマツであったと言います。これは確かめないといけないと思いそのオーチャードに週末に出かけると、「Mutsu」と書かれています。「陸奥」と言うわけです。


数百本あるリンゴの木に、たわわになっているリンゴから好きなものを選び、大きな紙袋にいっぱい入れて7ドルぐらいだったと思います。その場で食べるだけなら無料ですし、お客もまばらですから本当に気に入ったものだけをピッキングできます。


一度、アップルピッキングに行くと30-40個のリンゴを採ってきますから、しばらくランチとおやつはリンゴだけになりますが、おいしいリンゴには飽きることがありません。


味気のないウインドーズパソコンから、おいしそうなマッキントッシュに乗り換えようと思うぐらい、クリスピーなマッキントッシュは生で食べるには最高だと思います。

155.メープルシロップ (2003/07/29)

日経BizTechに、「優しい甘さのメープルシロップ人気が急上昇
」という記事が掲載されています。これまで、ホットケーキにかけるぐらいしか使い道がなかったのですが、最近は人気のケーキ店でメープルシロップを積極的に利用したお菓子が作られ、さらにパンや料理にもその応用が広がってきているそうです。


メープルシロップを採集するカエデの木はシュガーメープルと呼ばれ、US北東部のバーモント州カナダのケベック州には、町中至る所に巨木がそびえています。公園などではシーズンになると、バケツのような樹液の採集器が付けられたカエデの木が、あちこちに見られます。


シーズンのピークはは3月の末ごろでしょうか、ケベック州の村ではメープルフェスティバルと称して、レストランに観光客が集まり、作り立てのメープルシロップを様々な料理の上にかけて、長かった冬が無事に終わり、ようやく訪れた春を祝います。


各テーブルには、大ビンに入れられたメープルシロップがドンと構え、ハムステーキやポテトやデザート等すべての料理にかけて頂きます。都会からは、このようなレストランを目掛けてチャーターされた観光バスが、数多く訪れます。


食事の後は、雪の上にできたばかりのメープルシロップを流し込み、固まりかけたメープルシロップを、キャンデーのように木の細い棒でほじくりながら食べます。たいていは、その横にシロップを煮詰める小屋があり、樹液を採集する道具や煮詰める過程を見る事ができます。


レストランの裏にはシュガーメープルの林があることが多く、馬が引く観光馬車が春の薄日の中を進んでいきます。実にのどかな風景が展開されます。


樹液はメープル・サップと言い、煮詰めるとメープル・シロップ、更に煮詰めるとメープル・シュガーになります。サップの状態では、ほとんど甘さを感じないぐらいですが、1000倍ほどにまで煮詰められるうちに、アンバー色になり糖度が増してきます。


ケベック州とバーモント州は隣同士であり、どちらもメープルシロップを産出しますが、バーモント州の方が品質によってグレード分けを厳しくやっている為、バーモント産のほうが商品価値が高いそうです。そのため、ケベックで採集された樹液も、バーモントに集められる事が多いそうです。


ニューイングランド地方のお土産屋では、小さい小ビンで2ドルぐらい、いろいろなグレードを5種類ぐらい詰め合わせた物で10ドル前後で売られています。地元のスーパーではでかい缶で売っていますから、浴びるようにかけているのでしょうか?(だからあの巨体になる?)

135.窓側、それとも通路側? (2003/06/28)

そろそろ、夏休みの旅行の計画を立てる時期になりました。SARSも取りあえず一段落しそうですので、海外旅行に久しぶりに行こうとしておられる方も、いらっしゃるのではないでしょうか?


ところで、みなさんは飛行機に乗られるとき、窓側通路側のどちらを希望されますか?窓側は、景色が見られる反面、トイレに行くときに気を使いますし、通路側はトイレに行きやすい反面、内側の人が通る時に立たなければなりませんし、景色もあまり見ることができません。


家族旅行などでは、身内ですからあまり気にしなくても良いのですが、一人で乗るときには、座席の場所は特に気になるでしょう。


DC10型機の中央席は、5列が並んでいますので、その真ん中に座らされたらきついです。その代わり、同じDC10の窓側席は2列ですので、窓側からでも比較的楽に通路に出られますから、同じ飛行機でも天国と地獄です。


ところで、非常口のすぐ後ろの席は、足下が広くて、離着陸時にスチュアーデスさんとお話ができると言うことで人気がありますが、ある時席に着いたら何と目の前についたてがあり、すごく閉塞感があったことがあります。


私は、トイレを我慢してまでも景色を見たいたちですので、いつも窓側を指定するのですが、ある時US国内線でチェックインの時に、窓側をリクエストしたら、「全部窓側で且つ通路側だ!」と言われたことがあります。


聞き違えたと思っていたのですが、搭乗したのは確かに通路を挟んで1列ずつ、サーブ製プロペラ機です。エアーと書かれたノブを引くと、直接外が見えます。


当然タラップのひもを引っ張ってドアを閉めたのはパイロット愛想笑いを振りまいて操縦席に着きます。


まあ、マイクロバスに乗っていると思えば何と言うことはありませんし、機体との一体感があっておもしろいといえばおもしろいかもしれません。


着陸は明らかに機首を下げて滑走路に突っ込んで行く感じがたまりません。預けた荷物は、降りたところで受け取れます。


気流の関係で揺れるときは半端ではありませんから、大きく揺れた経験がある人は二度と乗ることはないようです。


地方の都市に行くとき、飛行機のチェックインで窓側か通路側か聞いてくれないときは、覚悟をした方がよいかもしれません。

131.ビールは何と言ってもチェコが一番 (2003/06/22)

神戸市北区に、キリンビールの神戸工場があります。以前はJR尼崎駅前にあったのですが、数年前に今の場所に移転して新しい工場を建てられたようです。


予約なしで自由に見学ができ、ビールの試飲ができることもあって、週末はかなりの盛況のようです。見学コースの最初には、ビールの原料がいろいろ並べられており、麦芽やホップの種類の違いによって、どのようなビールができるかが説明されています。


ホップは主要な原料の一つですが、世界最高と言われているのがチェコ産のものだそうです。ビールと言えば、ドイツやベルギーが有名ですが、チェコビールも、馬のおしっこと並び賞される程有名です(この例えの本当の意味は私も知りません)。しかし現地に行っても、なかなかビールにありつける所は少ないようです。


1989年5月にプラハに行ったとき、まだ旅行シーズンには早く観光客もまばらでした。そもそも、それほど賑やかな町ではありませんからレストランなども少なく、昼間見つけたカウンター形式のパブのような店で、やっとチェコビールにありつくことができました。


少し濃いめの色と、いかにもから作られたという独特の香りが特徴です。日本やアメリカのように、冷えたビールをグイッと飲むのではなく、味わいながら一口ずつ頂く感じですが、確かにうまかったのを記憶しています。


こんなにうまいビールがあるのに、夕食のレストランでビールはあるかと聞くと、「そんな低級なアルコールは置いていない、ワインならある。」と言われ、仕方なくワインを飲んだのですが、ビールに比べて此と言った特徴が見あたらないワインであったため、明日もう一度昼間にビールを飲むぞと決意したものでした。


詳しくは書けませんが、東欧の国らしい理由により、次の日はビールを飲むことができませんでした。結局一度しか飲むことができなかったのですが、是非また飲んでみたいと思っています。よくピルスナーと呼ばれるタイプのビールがありますが、チェコのピルゼンビールがその代表です。


ドイツのビールも良いのでしょうが、少し私には味がきつく感じます。ドイツビールではライト系の方が私には合うようです。また、フランスのビールなどと言うとまがい物みたいですが、結構私の好みに合っています。それから、オーストラリアビールもうまいと思います。どの銘柄を選んでも太陽の恵みを受けた穀物の香りがします。


USのビールは、大抵はアメリカンテースト、つまり味が薄いのですが、アイスビールになると結構味がシャキッとしていて、アルコール度数も高めになりお勧めです。バッド・アイスは、私のお気に入りです。


ただ、日本とUSのビールはチンチンに冷やして飲みますが、ドイツ人に言わせると「まずいから冷やさないと飲めないんだ」などと言い出します。まあ、それぞれのお国に合ったビールを、お好きな飲み方で頂くのがよろしいかと思います。