657.今PDAを選ぶなら (2008/02/24)

私が初めて手にしたPDAは、IBM WorkPadでした。それまで愛用していた紙の手帳に替わるものとしてすこぶる便利であったため、それ以来使い続けてきました。


電子手帳が出始めた頃に問題なった電池切れによるデータの消失についても、PalmDeskTopによるPCとデータを共有する機能によって、強力なバックアップ機能を提供していましたし、「PCコンパニオン」と称して、PCとのデータの親和性をもたせているのも、Palmの大きな特徴でした。


毎年交換しなければならない手帳は、1年単位でデータが分断されてしまいますから、数年前の記録をすぐに取り出すことが出来ません。しかしPalmは、複数年にまたがった過去の出来事を、瞬時に検索する事が出来ます。


1999年6月からせっせとため込んできたデータは、今となっては貴重な日記であります。いまさら簡単に捨て去るわけには参りません。


さて、最後のPalm機が壊れてしまった現在、PalmのデータはPalmDeskTopによって更新を続けているのですが、これでは手帳の役割を果たせません。(当たり前ですが。)現行のPDAの中から、時期機種を選ばなくてはなりません。


以前はPIMに特化した機種がありましたが、今ではPDAに携帯電話インターネット端末の機能が加わった機種が大勢を占めるようになりました。


ただ、携帯電話はキャリアーによる制約が多く、契約に縛られるため自由度が低くなります。やはり無理なく長年使い続けるには、インターネット端末とPDAを合わせたものの方が良さそうです。


また、キーボード付きの機種は入力のし易さで人気がありますが、いくつかのデモ機で試したところ、個人的には感覚が合いませんでした。プチプチと押すことに快感を感じるか苦痛を感じるかの違いでしょう。そう言えば、最近指先が太くなってきたように思います。(年を取ったせいか?)


そこで候補に挙がってきたのは以下の3機種となりました。



  1. Palm T|X
  2. iPAQ 112
  3. iPod touch

Palm T|Xは言うまでもなく現行Palm Handheldのフラッグシップ機です。ただ、昨年末からセールの対象になったり、Z22がおまけに付いてきたりと、モデル末期症状が顕著です。新モデルに入れ替わるならまだしも、Palm
Handheld自体が終息に向かっている予感も感じます。


BluetoothやWiFiのバージョンが古くなってしまったことや、英語版しかないことがマイナスですが、PalmDeskTopによるバックアップとPCとの親和性には、他のPDAにないPalmの魅力があります。


2つ目のiPAQ 112は、発売間もないHPの最新機種で、PDAとしてのあるべき姿を追求し続けてきた結果が表れています。電池の交換が容易なところに、HPが真面目に作り込んでいる様子が伺えます。


ただ、PCとインターフェースするために必要なOutLookが、2007年から同梱CDに組み込まれなくなったのは残念なところです。PalmDeskTopを使うことを前提としたPalmに比べると、PC側での連携ソフトに弱点があると言えましょう。わざわざOutlookを同期のために購入するのには少なからず抵抗を感じます。


ただ、いずれ第二段のiPAQ 112セールがあれば十分に候補となるでしょう。(結局値段が勝負かい?)


iPod touchは、如何でしょうか? これをPDAとして使えるかについては、いろいろな意見があるようですが、何回かデモ機で試したところでは、個人的にはPDAとしては無理があるように思いました。


PDAとしての志(こころざし)を感じません。と言うか、そもそも志していないのですから当然と言えば当然でしょう。


今後、本格的なPDAを目指した機種がAppleから登場する可能性があるかも知れませんが、現状ではPDAとしてあまり期待しない方がよいでしょう。しかし、多少PDAとして使いにくくともそれを我慢しても使いたくなるほど、ワクワクするものを感じるのは確かです。


いずれにしても、過去のPalmデータを移転する必要がありますし、Palm以外に移る場合はいろいろと難しさがあるようです。どれを取っても決め手を欠く中、最終的にどの機種に決まりますことやら。(だけど結局一番安いのに決めてしまいそうな気がする。)

656.日曜日は朝からブラブラ (2008/02/02)

昨年末にPalmDeskTopデータの消失があってからというもの、やはりPalm本体がない状態でのPalmDeskTopだけによるPIM機能には限界を感じております。(当たり前だ!)


今週の日曜日、とある用事のついでに9:30の開店直後の梅田のヨドバシカメラに行って参りました。いつもは仕事帰りに立ち寄るためなかなか店員さんが忙しくて相手をしてもらえないのですが、開店直後に行きますと,ブラブラしているだけでいろいろと声をかけてくれます。(相手にしてくれて実はうれしい。)


買い物のために訪れる時には目的の売り場まで一直線に行くため、なかなか世の中の動向を伺うことができないのですが、日曜の朝はその点、じっくりと売れ筋を掴むことができます。


さて、ブラブラしていてまず目に入ってきたのは、em・oneでありました。今なら契約込みで9980円と大きく書かれた札の横には、モックアップがワゴンから溢れんばかりに積まれています。


以前発売になった直後に,興味があって契約なしでの価格を尋ねたことがあったのですが、その値段の高さに立ち寄るべからずと決め込んでおりました。しかし、なかなかインターネットの接続に優れている様子です。


話を聞いてみると、今安く販売しているのは旧モデルだけで、新機種はそれなりの値段だとのこと。やはり旧型と新型との機能の差は大きいようです。


イー・モバイルはデータ通信を機能の中心に、携帯電話の牙城に進出しようと,なかなか挑戦的です。


逆に電話の機能やメール機能に関してはまだこれから開発が続いていくという感じです。新しいキャリアという意味では今後の動向には非常に興味があります。


同じ売り場にはem・one以外にもスマートフォンを数機種並べて、携帯電話+αの魅力を訴えようとしていました。PIM機能を追加することによって、他の携帯電話やネット端末と差別化しているということでしょう。


さて、かつてはヨドバシカメラの一等地の一角を占めていたPDA売り場も、今や電子手帳の一部としてザウルスの現行2機種が並ぶのみとなりました。ここまで来るとこれはPDA売り場ではなくザウルス売り場と呼ぶべきかも知れません。


日本語版のPalmがなくなった今、結局一番長く継続しているPDAとしてザウルスに移行することも考えたことがありましたが、Palmのシンプルさに比べると、その過剰な装備には少し抵抗感を感じます。


ところで、最近はスケジュールを管理しなければならない場面が増え、さすがにPalmがない生活に不便を感じるようになってきました。


そこでいくつかのPDAを調べていたのですが、その中で3つほど候補に挙がったものがあります。


次回は、その3機種について、私なりのPDAとしての評価を書かせていただきたいと思います。

627.Palm DesktopとWindows カレンダー (2007/03/08)

昔からよく 「テレビ番組や雑誌で話題が下ネタに振れだすと、番組終了や廃刊が近い。」と言われます。今年に入ってからの当サイトが提供する話題は、まさに下ネタ満載で末期症状と言えるでしょう。


これではいかんと本来のテーマに戻して、Palmの話でもしてみようかと思うわけです。


もちろんPalmは今でもバリバリに使っていますとも!かばんに入れて毎日持ち運んでおりますですよ。ほらっ、あれっ電池が切れてる!


いや実は、今はどちらかと言うとスケジュール管理はPalm本体より、パソコンに入っているPalm Desktopで済ませてしまうことが多くなっているのです。


以前、「202.パーム・デスクトップはパーム・ハンドヘルドのライバル? (2003/09/23)」などという雑記を書いたことがあるのですが、Palm本体はPalm Desktopのバックアップとしての意味合いが濃くなってしまいました。まあそれだけ毎日パソコンにかじりついて生活をしていると言うことになるのでしょう。


ところで、最近雑誌に載っていたWindows Vistaの広告を見ていて、Windowsカレンダーについての説明に目が留まりました。よく読んでみると、


「なんだ、Palm Desktopと同じじゃねーか!」(いやっ「同じではなかろうか?」です。)


改めてマイクロソフトのWindows Vistaのページを探してみると、Windowsカレンダーの機能についての説明がありました。


1.個人の時間管理


個人の予定を簡単に作成することができ、予定が近づいてきたら分、時間、日単位警告を出すことができ、また定期的な予定には週ごとや月ごとに繰り返すことができるそうですが、これらはPalm Desktopの予定とほぼ同じです。


また、個人のタスクに優先度終了期限、説明を追加することができる機能は、ToDoそのものです。


2.共有カレンダー


ここで言うカレンダーの共有とは、同じパソコンを家族などで使っている場合に複数のスケジュールをひとつのカレンダーで管理することができるものです。


Palm Desktopではユーザーを選ぶことによってほぼ同等のことができると思います。複数の人のスケジュール表を並べて表示することができる機能は、その必要性があるかどうかはさておいて、Windowsカレンダーの特長かもしれません。


マイクロソフトのサイトには、共有カレンダーの利用例として、とても忙しい両親と3人の子どもがいる家庭の例を挙げています。


お互いのスケジュールを重ね合わせてスケジュールの調整が簡単にできると説明していますが、5人家族が1台のWindows Vistaパソコンを共有すること自体に無理があります。またただでさえ忙しい家族に、共有パソコンに全員がスケジュールを入れている暇があるのでしょうか?


3.カレンダー登録と公開


WindowsカレンダーはiCalendar形式によって、他のアプリケーシオンやWEBサイトと情報を共有することができるそうです。またスケジュールをWEBに公開して、特定の人だけが閲覧できるようにパスワードで保護することができると言うことです。





Windows カレンダーはWindows Vistaに組み込まれているそうですから、起動する手間はなさそうです。一昔前のグループウェアと同じ機能が簡単に使える点は便利かも知れません。


しかし、日常生活でスケジュールを管理するためには、Palmのようなモバイル機器は欠かせないと思います。そのうち携帯電話を使って、Windowsカレンダーで作成したスケジュールを利用できるようになるのでしょうか?


さて私も、Palmの電池を復活させて、Palm Desktopのバックアップを取ることにいたしましょう。(やっぱりバックアップかい?)

616.Treo人気でPDAの将来を占う (2006/12/16)

Treo680が巷で人気のようですね。USでは携帯電話契約と同時に購入すればかなりの割引があるのですが、日本ではそもそも電話として使えない上、本体の割引もありませんから割高感があるのですが、それでもあのデザインとPDAとしての機能は魅力的です。


願わくは日本の携帯電話会社がTreoを正式に採用してくれれば一番ありがたいのですが、何せ閉鎖的な日本独自の携帯電話の規格がありますからそう簡単には行かないでしょう。ここは、Skypeと組み合わせることを優先した方が良さそうです。


一方、相変わらずパソコンからの情報漏洩のニュースが続いているようですが、パソコン単体のでプロテクトには限界があると見限って、シンクライアントというカテゴリーのパソコン(もはやパソコンではないでしょうが)が提案されています。


考えてみれば、MVS全盛期は端末にはストレージやCPUは装備されておらず、セキュリティーは一カ所で管理されていましたから時代に逆行しているようにも感じますが、ネットワークが発達したからこそそのようなシステムの形態が可能になったとも言えるでしょう。


シンクライアントの端末は、インテルやマイクロソフト、サンなどが発表していますし、日本では日立が力を入れているようです。これまでのパソコンでは、Windowsやアプリケーションのメインテナンスにユーザー側で多大な労力を費やしていましたが、シンクライアントではサーバー側ですべて管理されますから、シンクライアントが普及すれば思った以上にインパクトがあるのではないでしょうか?


今回、MovableTypeをバージョンアップしたりさくらのブログ(SeeSaaのブログエンジン採用)を使ってみたりして思ったのですが、やはり特殊な要求を必要としない限りは、サーバー側で管理されているブログツールの方が圧倒的に楽です。


これまで、パソコンはOSは常に最新のバージョンを使い、さらにセキュリティー・パッチが発表されるたびに慌ててインストールするのが常識のようになっていましたが、シンクライアントによってメインテナンスの煩わしさから解放されると、パソコンそのものが大きく変化するかも知れません。


これまでマイクロソフトの圧倒的な支配力によって固定化されていたパソコンは、自由度を持つことによってその役割を変化させ、その結果PDAとの境界線も流動的になっていくのではないでしょうか?


これまで携帯電話ノートパソコンの間に挟まれてにっちもさっちも行かず(本当にニッチだった!)、どう贔屓目に見ても普及したとは言えなかった言えないPDAですが、Treoの人気ぶりやIP電話としての可能性パソコンの今後の動向を考えていくと、意外とPDAは理想に近づいてきているのではないかと思えるのです。


このサイトでは、ノートパソコンは重たいだの、ダウンサイジングはまだ終わっていないだのと言いながら、PDAの明るい将来を切望して参りました。


ふとTreo680の人気ぶりを見て、PDAの将来は実は明るいのではないかと思い、新たな勇気がみなぎってきたのでした。


しかし、Treo680はもう少し安くならないでしょうかねぇ。(まだ勇気が少し足らないらしい。)

596.スカイプ携帯とパームOS (2006/08/27)

asahi.comが8月25日に、「携帯電話に定額IP化の波 米でスカイプ搭載型発売」と言うニュースを掲載しています。USの企業「ネットギア」が今月発売したスカイプ搭載の携帯電話について書いています。


これまで通話時間による従量制で課金されてきた電話料金が、ADSLのように定額制になっていき、その結果これまでの携帯電話のビジネスモデルが崩れ去る可能性があると指摘しています。


インターネットを使うIP電話が既存の固定電話を置き換えつつあるように、携帯電話回線もインターネットによって置き換わり始めたと言うことでしょう。


雑記504を書いた1年以上前には、日本の電話会社はスカイプを取るに足らない物と片づけていましたが、ここに来て無視できない存在であることを認識し始めたのでしょうか。携帯電話の生命線はその伝送経路にありますから、インターネットを経由するIP電話が普及してくると、これまでの携帯電話ビジネスを大きく変えることは間違いないでしょう。


無線LANが使える環境ならば通話に対しては基本的に無料になりますから、これまでのように、広範な専用携帯電話回線のネットワークを構築するだけで携帯電話の占有率を維持することが、出来なくなってしまいます。


またドイツでは、携帯電話の電波にスカイプの音声信号を乗せる定額サービスを開始したそうです。月額39.95ユーロ(約5900円)だそうですから、十分携帯電話に対抗することが出来そうです。


日本の携帯電話は、端末から回線、コンテンツに至るまで、徹底して電話会社(キャリアー)が主導権を持ち、圧倒的な収益構造を築いてきました。


無線LANを使う場合は、回線自体が電話専用ではありませんから、電話会社が主導的立場に立てなくなるどころか、電話会社の必要さえなくなってしまうかも知れません。


携帯端末も国際的な共通仕様になっていき、ソフトウエアを入れ替えるだけでどこの国の言語にも対応できるようになるでしょうから、選択の自由度は格段に広がることになります。


現にウィルコムW―ZERO3のような、無線LANが搭載されていてソフトウェアのインストールが出来る機種ならば、スカイプ対応に簡単にすることが出来ます。ウィルコムが「スカイプの利用を推奨してはいないが、拒否は出来ない。」と言っているあたりが、携帯電話キャリアーとしての苦悩を表しています。


無線LANのバンド幅など、既存のインフラだけでスカイプの普及を支えることは困難でしょうが、また迎え撃つ携帯電話会社も、これまでのようにインフラ整備のための投資を続けることは出来なくなるでしょう。いずれにしても、スカイプによって世界中の携帯電話業界が大きく変わることになりそうです。


最後に、パームもスカイプによって息を吹き返すことはないでしょうか? これまでモバイル機器としては携帯電話に席巻されて来ましたが、スカイプが普及し始めた今、やっとパームOSが互角に戦える時が来たのではないでしょうか?


何? まだパームOS版スカイプがない? 


既に時機を逸していたようです。