asahi.comが8月25日に、「携帯電話に定額IP化の波 米でスカイプ搭載型発売」と言うニュースを掲載しています。USの企業「ネットギア」が今月発売したスカイプ搭載の携帯電話について書いています。
これまで通話時間による従量制で課金されてきた電話料金が、ADSLのように定額制になっていき、その結果これまでの携帯電話のビジネスモデルが崩れ去る可能性があると指摘しています。
インターネットを使うIP電話が既存の固定電話を置き換えつつあるように、携帯電話回線もインターネットによって置き換わり始めたと言うことでしょう。
雑記504を書いた1年以上前には、日本の電話会社はスカイプを取るに足らない物と片づけていましたが、ここに来て無視できない存在であることを認識し始めたのでしょうか。携帯電話の生命線はその伝送経路にありますから、インターネットを経由するIP電話が普及してくると、これまでの携帯電話ビジネスを大きく変えることは間違いないでしょう。
無線LANが使える環境ならば通話に対しては基本的に無料になりますから、これまでのように、広範な専用携帯電話回線のネットワークを構築するだけで携帯電話の占有率を維持することが、出来なくなってしまいます。
またドイツでは、携帯電話の電波にスカイプの音声信号を乗せる定額サービスを開始したそうです。月額39.95ユーロ(約5900円)だそうですから、十分携帯電話に対抗することが出来そうです。
日本の携帯電話は、端末から回線、コンテンツに至るまで、徹底して電話会社(キャリアー)が主導権を持ち、圧倒的な収益構造を築いてきました。
無線LANを使う場合は、回線自体が電話専用ではありませんから、電話会社が主導的立場に立てなくなるどころか、電話会社の必要さえなくなってしまうかも知れません。
携帯端末も国際的な共通仕様になっていき、ソフトウエアを入れ替えるだけでどこの国の言語にも対応できるようになるでしょうから、選択の自由度は格段に広がることになります。
現にウィルコムのW―ZERO3のような、無線LANが搭載されていてソフトウェアのインストールが出来る機種ならば、スカイプ対応に簡単にすることが出来ます。ウィルコムが「スカイプの利用を推奨してはいないが、拒否は出来ない。」と言っているあたりが、携帯電話キャリアーとしての苦悩を表しています。
無線LANのバンド幅など、既存のインフラだけでスカイプの普及を支えることは困難でしょうが、また迎え撃つ携帯電話会社も、これまでのようにインフラ整備のための投資を続けることは出来なくなるでしょう。いずれにしても、スカイプによって世界中の携帯電話業界が大きく変わることになりそうです。
最後に、パームもスカイプによって息を吹き返すことはないでしょうか? これまでモバイル機器としては携帯電話に席巻されて来ましたが、スカイプが普及し始めた今、やっとパームOSが互角に戦える時が来たのではないでしょうか?
何? まだパームOS版のスカイプがない?
既に時機を逸していたようです。