206.Note PC Powered by PalmOSに期待するもの (2003/09/26)

昨日のニュースで入ってきた、パームOSで動作するノートPCに対して、パームコミュニティーではあまり盛り上がっていないようですね。


「シグマリオンの類似品程度のものではないか」といった予想や、「これまでのパームで十分」といった意見、「パームOSはノートPCのOSにはなれんよ」などなど。


「おもしろそうだが、俺は買わんよ」みたいな感じですか。確かに私も買うかと言われれば、すぐに買うとは思えませんね。


いや、ちょっと待ってください。PalmSourceが目指すのは、趣味で買ったり買わなかったりするものなのでしょうか?これまでのパームハンドヘルドのサイズを拡大して大きめのディスプレーを装備した、大判パームなのでしょうか?


その通りかもしれません。それなら、シグマリオン・イクィバレントな端末になりますから、気に入れば買えばよいでしょう。


しかし、もしPalmSourceが、今のWindows対応のノートパソコンをはるかに凌ぐ、画期的なノートパソコンを開発しようとしていて、世の中のノートパソコンがすべてパームOS Poweredになるとしたらどうでしょうか?Windowsパソコンを使っていた人が、みんなで新しいパソコンに乗り移っていくことは、全くあり得ない話ではありません。


ノートブックパソコンのOSを、すべてパームOSにする。これは、PalmSourceの野望です!


そのような大げさなことをPalmSourceが考えていると私が予想するのは、2つの理由があるからです。



  1. 大型ディスプレーつきのパームを開発するなら、秘密裏にpalmOneと開発すれば良いはずである。ハードウェアのパートナーを募るのは、今ノートパソコンを製造している企業を数多く巻き込んで、ノートパソコンからWindowsを無くしてしまう事を計画しているに違いない。
  2. ビル・ゲイツの資産総額の約5兆2900億円にあやかりたい!

タブレットPCは、マイクロソフトがWindowsの牙城を崩さないように作ったので、成功していませんが、PalmSourceならもっと大胆な戦略に出ることが出来るでしょう。


「ダウンサイジング推進計画 最終回: パームよ、機は熟した!」でも書きましたが、パソコンのOSで独占状態にあるWindowsを覆すことが出来る企業は、限られています。Sunは今は経営状態があまり良くありませんし、HPは合併からまだ日が浅く、戦略的に打って出るのは時期が悪そうです。DellのビジネスモデルにはOSの新規開発はありませんし、IBMはOS2で既に失敗しています。


つまり、Windowsパソコンに立ち向かっていける企業は、これまでWindowsパソコンに手を染めていないApplePalmSourceぐらいしかありません。


みなさん、Windowsパソコンが好きですか?何とかならないかと思い続けているのではないですか?もし、PalmSourceが野望を持って挑戦しようとしているのなら、Windowsから抜け出せる10年に一度のチャンスかもしれません。


ユビキタスやオンデマンド、グリッドコンピューティングなどこれからのネットワーク社会には、新しいパソコンのOSが求められているはずです。是非、このPalmSourceのコンファレンスでの発言が、徐々に大きな潮流となって、パソコンを大きく進化させる原動力になって行って貰いたいものです。

203.Note PC Powered by PalmOS (2003/09/25)

Yahoo Newsで、「米PalmSource 、新ノートPC市場参入へ虎視眈々?」と言う記事が掲載されています。これまでのノートブックパソコンは、真のノートブックではない、複雑になりすぎたパソコンをパームOSによって本物のノートPCのする、とコンファレンスで発表したようです。


ついにマイクロソフトに真っ向から対抗する企業が現れたと言えるでしょうか?スペックとして明言しているのは、フルキーボード大きなディスプレーがあると言うことだけのようですが、明らかにWindowsのリプレースを目指していると言えるでしょう。


只、この大型ディスプレーやフルサイズのキーボードと言っても、シグマリオンと同等のものを指しているのか、本当にWindowsで稼働しているノートブックパソコンを意味しているのかが判りかねますが、後者であることを期待してしまいます。


このような新たな試みは、Sunあたりが何かやるかなと思っていたのですが、PalmSource社が名乗りを上げるとは思いませんでした。


また、palmOne社がハードウェアを供給するなら、シグマリオンのような特定の機種専用のOSを開発すると言うことになりますが、広くハードウェアのパートナーを募っているところを見ると、本気でノートパソコンへの進出を企てているのかもしれません。


いずれにしても、ニュースの真偽のほどが判りませんので、もうしばらく様子を見なければなりませんが、これまでのマイクロソフトの独占を崩す可能性があるかもしれません。


どのようなパートナーが参加するか、興味のあるところです。マイクロソフトとの関係もありますから、これまでパソコンを多く供給してきた企業は手を出しにくいかもしれません。実際登場するには、2年ほど先のことでしょうか?マイクロソフトが今後どう対抗するか注目されます。

202.パーム・デスクトップはパーム・ハンドヘルドのライバル? (2003/09/23)

実は、最近パームの話題に事欠くPalmTrotterですが、パームを使っていないわけではありません。いつも鞄の中には愛用のm100を入れております。このm100を愛用しているあたりが、すでに話題が尽きてしまっている事を物語っていますが、今日のお話は、そんなことよりもっと重大なことなのです。


確かに最近は、パームを電車の中で取り出すことが少なくなってきました。その原因を考えてみると、いくつかあるのですが、どうもパーム・デスクトップを使いすぎているのではないかと思うようになりました。


パーム・デスクトップの4.0がリリースされた際、パーム社ではパームの便利さを訴え新たなユーザーを開拓するために、パーム・デスクトップ単独でのダウンロードを積極的に推し薦めました。


まずPIMが日常の生活に有効であることを知ってもらえれば、そのデータを持ち歩くことの出来るパーム・ハンドヘルドも購入してもらえると言う戦略です。


ホットシンクによって、パーム本体のデータをパーム・デスクトップにバックアップすることが出来るのは、パームの大きな特徴の一つであることは今更言うまでもありません。


そのことを逆方向に利用して、販売促進を図ったアイデアだったのですが、私の場合は、パーム・デスクトップを会社でも家でも使い倒していますので、パーム本体ではあまりPIMとして使うことが無くなってきました。


私のような例は珍しいのかもしれませんが、PIMを必要としている人でパーム・デスクトップだけで十分だという人も、少なからずいたのではないかと思ったりもします。


つまり、パーム・デスクトップの無料ダウンロードによって、パーム本体の売り上げが伸びなくなったと言うことがあったのではないかと言うことです。勿論、それまでもオフィスソフトに包括されるPIMソフトはありましたから、パーム・デスクトップを無料で配らなくても、既に多くの人がPIMを知っていたでしょうから、あまり影響はなかったとも考えられます。


とにかく私の場合は、パーム本体を触る回数が減っている割には、パーム・デスクトップによってPIMのデータが増え続けているのです。


と書いていて、最近電車の中でパームを取り出さなくなったのは、乗ったらすぐに寝てしまうからだと気づきました。以上、パームの話題が出て来ない言い訳でした。(言い訳している暇があったら、パームの話題を探しなさい!)

181.「ザウルスは誰とも戦わない!」という記事 (2003/08/27)

月間アスキー9月号に「ザウルスは誰とも戦わない!」という記事が掲載されています。Linuxザウルスの商品戦略いついてメーカーの方へのインタビュー形式で、ザウルスの存在価値を問いただしています。


私たちは、PDAの普及を考えるとき、その競争相手として携帯電話ノートパソコンを想定します。しかし、シャープの方が言われていたのは、携帯電話やノートパソコンはすでに存在し、生活に定着しているものなのであるのが当然であり、PDAはそれらをさらに便利にするためにあるのではないかということでした。


携帯電話とノートパソコンの間の、小さい範囲にしか生き残れないと考えるのではなく、携帯電話とノートパソコンの間には、必ず隙間があるというところから、何が必要とされているかを考えていかなければならないのだと語っておられます。


一見、ザウルスの売り上げを拡大することは重要ではないとも受け取れますが、ひとつの会社で携帯電話やノートパソコンを作っているわけですから、他の売り上げを侵食してザウルスの売り上げを伸ばしても、会社的には意味がないのでしょう。


PDAは何かの代用品ではなくPDAとしての役割があると言われているのですが、やはりノートパソコンが常時携帯するには大きすぎるために、PDAにその代用をさせることが要求されている、とも言われています。


Linuxについても、OSとして積極的に採用したというより、時流に乗ったと言った軽い感じが伝わってきて、同じ雑誌に載っているソニーのQUALIAの話とは違って、却ってスマートさを感じました。割と冷静にザウルスは企画・開発されているのだなと思った次第です。

175.パームとメディアと宗教学 (2003/08/20)

私が、電子機器の存在意義を考えるときに真っ先に考えることは、その電子機器のよって生み出されたデータあるいは情報が、「如何に長く利用できるか、如何に長くこの世に価値を持って、存在し続けることが出来るか」と言うことです。


パームを例にとって考えてみましょう。予定に近い将来のスケジュールを入力します。その日、その時刻が来るまでは、備忘録として使うわけですが、終わってみればそのままコメントに記録を書き足したり感想を書いて、日記として残していきます。毎日、毎年続けていけば、かなりの量のデータが、パームのメモリーを占めていくことになります。


数年経つとこの蓄積されたデータは貴重な資料となります。そして、古くなればなるほど、データとしての価値が高まって行く場合もあります。


ところが、電子機器は流行りすたれがあり、新しく便利なものが後から登場すると、あっという間にそれまでのものが消え去っていきます。テレビやラジオなどのデータを受け流すタイプの機器は、さほど入れ替わっても問題がないのですが、記録するタイプの機器、例えばテープレコーダーやビデオデッキ、カメラの類は、古い記録を再生できる事が本来の目的ですから、新しい機器が登場して入れ替わることは、過去の資産を捨てなければならないことを意味します。


過去には、オープンリールテープ、8ミリビデオ、110・126カートリッジフィルム、ディスクカメラ、ベータビデオ、セルロイドベースの映画フィルムなど。APS等も、すでに消え去っていく運命が近づいています。


日経ビジネスの特集記事にあった佐藤正明氏の「映像メディアの世紀」や、NHKのプロジェクトXで有名になりましたが、日本ビクターのVHS開発の中心人物であった故高野鎭雄氏が、強く意識されておられたメディアと言う概念が、ここで非常に大切になってきます。


メディアというのは、元々は宗教からきた概念のようですが、コンピューターの分野では媒体と訳され、各種データを記録し持ち運ぶための素材を意味します。高野氏は、VHSビデオの普及の為には、ハードウェアであるビデオデッキを売ることばかり考えているのではなく、メディアとしてのVHSフォーマットのテープを世界中に広げていくことが、重要であると考えられたのです。


宗教学では、の存在は"Ultimate"であると考えます。現れては消え去る不確実なものに裏切られ続けた末に、人々が信頼できるものとして究極的なもの、"Ultimate"なものとして、唯一無二である神を崇めようとするのだと考えています。


さてパームの世界において、メディアと言えるものがあるのかと考えたとき、それは新しいものが出て来てはすぐに陳腐化するハードウェアではなく、蓄積されたデータやそのフォーマットであったり、あるいはパームOSパームウェアであると予想されるのですが、果たしてそれらが"Ultimate"を目指して作られたものだろうか、メディアとして長く伝えられるものだろうかという疑問が沸いてくるのです。


確かにパームウェアの多くは、すばらしいものです。しかし、パームの業界としてその価値を認識しているかと言えば、そうではないように思えてくるのです。


VHSのフォーマットも、いつまで供給され続けるか判りませんし、そもそも電子機器の世界には寿命は付き物と言うのも現実ですが、究極を狙うという姿勢は、電子機器においても大切なのではないかと思うわけです。


少なくとも、目先の新しさを追うだけではなく、末永く使えることを考慮し究極を目指して貰いたいものです。