210.デジタルムービー+カメラ (2003/10/02)

「きれいな写真とムービーを一台で楽しめるカメラ」と言うキャッチフレーズで、サンヨーから「ザクティ」の愛称で、デジタルムービーカメラが発売されています。1998年から発売されていたムービーカメラシリーズに、記録媒体としてSDカードを採用した機種を追加したそうです。


「写真撮影をメインにしながら、動きと音で伝わる感動はムービーで手軽に残す」と言うコンセプトが、サンヨーの顧客アンケートの結果強い支持を受けているそうです。今回は、特にSDカードを記録媒体に選んだことで、150グラムほどの重さを実現し、携帯電話を同じ感覚で持ち運ぶことができると謳っています。


確かに150グラムまで軽くなれば,あまり持っていることを意識しないで携帯することができますから、撮影の機会が増えると思います。


SDカードに記録できる動画の撮影時間は、512MBのSDカードを使って30分であり長いとは言えませんが、今後1GBのSDカードが登場すれば1時間になりますから、旅行はともかく1日単位の撮影では十分かもしれません。


動画と静止画は、デジタル方式においてはほとんど同じメカニズムによって撮影することができますから、ひとつの本体に両方の機能を搭載することは、自然の成り行きかもしれません。


ただ動画と静止画では、画質に対する要求度が異なります。静止画では欠点になってしまうブレやボケも、動画の場合はそれほど目立ちません。また、画素の要求度も違います。静止画に合った画素数を確保すると、動画ではオーバースペックになってしまいますし、逆の場合も考えられます。


今回のサンヨーの製品は、どちらかと言えば得意のデジカメに機能の中心を置き、動画を追加したと言うコンセプトのようです。今や携帯電話についている程度のデジタルカメラでは、あえて機能として追加する事もありませんから、正しい選択だと思われます。


特に、デジタルカメラでは世界の3割のシェアを持っているサンヨーの強みを生かして、ムービーカメラにも進出すると言う戦略は理解できます。


では、これが売れるかと言うことになると、なかなか難しいのではないかと思います。そもそも動画と静止画を取る場合、撮影する人の心構えが異なっています。おそらく、このデジタルムービーカメラを持参して何かの撮影に出かけたとすれば、撮影の9割方は静止画のみで、動画はせっかくだからとわざとらしく取った数十秒のものがある程度ではないでしょうか?


人はカメラを持っているときは、自分の周りの物事のを意識します。面白い風景や顔に表情があればシャッターチャンスと考えます。一方ビデオの場合は、動きに注目しています。個々の形の面白さではなく、流れに注目しています。


世の中には器用な人がいて、どちらも同時に考えられる人もいるでしょうが、普通はどちらかひとつしかできないでしょう。ですから、このようなムービーカメラを持っているよりも、ビデオならビデオ、カメラならカメラとはっきりした方が集中して撮影できますし、その方が楽しく撮影ができるのではないでしょうか?


もちろん、旅行にビデオとカメラの両方を持って行きたいが、2つ持っていくのは無理がある場合は、単に軽くかさ張らないと言う利点が生きてくるでしょう。


小型ビデオを買うつもりで、デジカメも付いて来ると言う乗りの人には、今回の製品の75,000円と言う価格は、ビデオ+カメラとしてはいい設定かもしれません。


世界中で、カメラ付き携帯電話の出荷台数(世界で2500万台)が、デジタルカメラ(2000万台)を上回ったと言うニュースがありましたが、デジカメ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話の間の争いは、今後も熾烈になってくると思われます。(でも作っているのは全て同じメーカーですから、それほど熾烈ではないでしょうけど。)

209.木の温もり (2003/09/30)

「119.ウッドコーンスピーカー」で紹介した製品が、11月についに発売されるようです。asahi.comに「カバ材で振動板、温かい音のスピーカー ビクターが発売」と言う記事が掲載されています。木の温もりにして感じることが出来る、楽しい製品だと思います。スピーカー単体の製品としては販売されないのが残念ですが、今後人気が出てくれば可能性があるかもしれません。


今は多くの製品に金属樹脂が使われています。最初の内は光沢もあり、表面の加工によって様々な面様に出来ますから、高級感を出したりしっとり感を出したりと自由自在です。しかし年月が経ってくると、酸化や浸食されたりして、新品の時の輝きが失せてきます。


一方、木の材質には、工業的に作られたものとは違った、自然の恵み的な暖かさを感じます。勿論、木も年月が経てば古くなってきますが、うまく枯れた感じになると、年月がかえって風格をもたらすのです。


そもそも、木は伐採された直後よりも、松・杉の場合等は300年ぐらい経った方が堅くなり、強度が増すと言われています。また、楽器に使われた場合は、音を出すことによる振動によって、内部の水分含有量が均一になり、音質が良くなると言われています。木で作られたものは、大切に使えば永く使い続けることができると言うことでしょう。


永くと言えば地球上で一番大きな生物と言われているものに、カリフォルニアにだけ群生する「セコイア」、通称ジャイアントセコイアがありますが、樹齢は3000年に及ぶものもあるそうです。3000年程も生きていると、同じ木が落雷に遭うことが何回もあるそうですが、それにも関わらずしぶとく生き続けているそうです。


当サイトのアドレスに使われている「レッドオーク」は、アメリカ北東部が原産の広葉樹(ハードウッド)で、日本で言えばナラに相当する利用範囲の広い樹木です。ウイスキーの樽に使う「ホワイトオーク」に似ていますが、少し赤みがかかった色で、なかなか暖かみがあって私の好みです。


オランダ製の家具には、オーク材で作られ、黒っぽい塗装を施して仕上げられたものがあります。色合いに加えて堅い材質により、重厚感のある質感が特徴です。


木材と言えば、南洋材のラワンのように伐採によって資源が枯渇する可能性が言われ続けているものもありますが、レッドオークは自然に生長している量が伐採量を上回っているそうで、これからも安心して利用できそうです。


最新のテクノロジーを使った電子機器も楽しいですが、太古の昔から人類が利用してきた木の感触を改めて確かめるのも、また楽しいのではないでしょうか?

208.運転免許の更新(USの場合) (2003/09/28)

運転免許の更新は面倒なものです。たとえ講習を受けない場合でも、土曜日などに行ったものならごった返していて、どこが行列の最後尾か判らない、と言うより人が多すぎてそもそも列を成しているようにさえ見えません。一昔前の場外馬券売場さながらの光景です。


USに滞在する場合、州によってまちまちですが、1ヶ月以上滞在するときには、地元の運転免許を取らないといけないことになっています。国際免許の有効期限が1年あるため、たいていの人は1年以内は日本の免許で通してしまう事が多いようですが、事故を起こした場合等に不利になることがあると言われています。


一度USで免許を取ってしまうと郵送でも更新が出来るので、定期的に忘れさえしなければ永久に持ち続けることが出来ます。USやUSのテリトリーでのレンタカーの運転なら、国際免許が要らないので便利です。


郵送で更新が出来ると言うことは、本人の写真がありません。写真が無くとも運転免許として通用するところが少し変な感じがしますが、免許なしでは生活が出来ない国ですから、偽造等の心配が無いのかもしれません。


勿論、写真付きの免許も希望すれば可能であり、5ドルほど余分に払えば、その場で写真を撮ってくれます。若い人は、アルコール類をスーパーで買うときに、必ず年齢の確認を取られますから、写真付きの免許が必要になるようです。


さて、郵送による免許の更新は便利ではあるのですが、一つだけいつも不安になることがあります。USの免許と言っても、日本の住所に変更することが出来、免許そのものにローマ字で住所が記載されます。問題は、USでは州の2文字のコードになるところが、日本の住所に場合「Japan」を省略して「JA」と記載されてしまいます。


これが、そのまま自動的に封印されて郵送されてくるのですが、この「JA」を郵便屋さんは「Jamaica」と思って、ジャマイカに送られてしまうのです。5年前に更新したときは、3ヶ月ぐらい掛かってジャマイカから転送されてきました。


さて、今回はどうも郵送中に紛失されたようで、ついに届かなかったようです。テロ事件以後、USとの間の郵便物の歩留まりは悪く、私の場合は3分の1ぐらいしか無事に届いていません。


最近になって、これまで郵送で申請書とチェックを送っていた更新手続きが、ウェブで出来るようになったらしく、クレジットカードで支払うことが出来るそうです。写真が無いからこそ出来るのでしょうが、更新手続きによる利用者の負担を減らそうとする努力が見られます。


日本でも多くの人が数年ごとに行う免許の更新手続きを、もう少し快適に行えるようにする事は出来ないのでしょうか?

207.そろそろパソコンに変革は来ないかな? (2003/09/27)

パルマガで、マイクロソフトの話題が、いろいろと掲載されています。そのどれもが、それぞれ何かしらの問題を含んでいるように思います。


とくに独占的にパソコンのOSを世界中に提供していることに寄る問題は、私達が考えている以上に大きな社会問題だと思うのです。


進歩と言うものを、取りあえず美徳であるとするならば、独占している間はおよそ進歩などあり得ない訳です。成功体験をした企業は、同じ器の中で、あたかも新しいかのごとく新製品を出して見せますが、それらが本当に新しかったことは過去にはほとんどありませんでした。


勿論、過去には江戸末期のように、海外からの新しい刺激がなかった時代に日本の文化が発展したと言うこともありましたが、結果的には欧米に後れをとってしまったのです。


パソコンを考えるとき、Windowsパソコンは大きな功績を残しました。Windowsほど世間に知れ渡ったコンピューターはなかったでしょうし、一般大衆にコンピューターの操作を可能にさせたのは、Windowsと言うOSがあったから可能になったことでしょう。


物事の始まりには、あまり多くの選択が可能だと、初めて取りかかる場合に迷いを生じます。この迷いがくせ者で、不安を抱えた初心者はこの迷いを解決できるほど知識や信念を持ち合わせていないことが多く、挫折する理由の多くはここにあります。


つまり、物事の始まりの時期には、半ば独占された業界標準的なものがあった方が、スムーズに進むわけです。


しかし、事が進むにつれて、標準に独占されたままだと、次の進歩が見えてこない、新たな動き(Move)に対応できないと言う弊害が顕著になってきます。


現在はWindowsパソコンが、進歩を妨げている弊害が顕著になっているのではないでしょうか?今が、レガシーパソコンに別れを告げるときかもしれません。


しかし、新しいものを目指すには、ビジョンが無ければなりません。今の問題点を洗いざらえ、それらの欠点を見事に修正するのはもちろんのこと、新世代のOSに希望を与える斬新な新機軸を搭載した、新しい時代を切り開くOSでなければなりません。


今のWindowsは、昔の大型ホストマシンが使っていたDOSに縛られているように思います。昔、IPLやブートストラップ、終了処理やファイルのクロージングなど大型機が必要としてきたことを、パソコンに置き換えただけではないのでしょうか?


例えば、パソコンからハードディスクを取り去ることが出来るかどうかが、新世代のOSに問われていると思います。


PalmSourceの今後の展開に期待したいと思います。

206.Note PC Powered by PalmOSに期待するもの (2003/09/26)

昨日のニュースで入ってきた、パームOSで動作するノートPCに対して、パームコミュニティーではあまり盛り上がっていないようですね。


「シグマリオンの類似品程度のものではないか」といった予想や、「これまでのパームで十分」といった意見、「パームOSはノートPCのOSにはなれんよ」などなど。


「おもしろそうだが、俺は買わんよ」みたいな感じですか。確かに私も買うかと言われれば、すぐに買うとは思えませんね。


いや、ちょっと待ってください。PalmSourceが目指すのは、趣味で買ったり買わなかったりするものなのでしょうか?これまでのパームハンドヘルドのサイズを拡大して大きめのディスプレーを装備した、大判パームなのでしょうか?


その通りかもしれません。それなら、シグマリオン・イクィバレントな端末になりますから、気に入れば買えばよいでしょう。


しかし、もしPalmSourceが、今のWindows対応のノートパソコンをはるかに凌ぐ、画期的なノートパソコンを開発しようとしていて、世の中のノートパソコンがすべてパームOS Poweredになるとしたらどうでしょうか?Windowsパソコンを使っていた人が、みんなで新しいパソコンに乗り移っていくことは、全くあり得ない話ではありません。


ノートブックパソコンのOSを、すべてパームOSにする。これは、PalmSourceの野望です!


そのような大げさなことをPalmSourceが考えていると私が予想するのは、2つの理由があるからです。



  1. 大型ディスプレーつきのパームを開発するなら、秘密裏にpalmOneと開発すれば良いはずである。ハードウェアのパートナーを募るのは、今ノートパソコンを製造している企業を数多く巻き込んで、ノートパソコンからWindowsを無くしてしまう事を計画しているに違いない。
  2. ビル・ゲイツの資産総額の約5兆2900億円にあやかりたい!

タブレットPCは、マイクロソフトがWindowsの牙城を崩さないように作ったので、成功していませんが、PalmSourceならもっと大胆な戦略に出ることが出来るでしょう。


「ダウンサイジング推進計画 最終回: パームよ、機は熟した!」でも書きましたが、パソコンのOSで独占状態にあるWindowsを覆すことが出来る企業は、限られています。Sunは今は経営状態があまり良くありませんし、HPは合併からまだ日が浅く、戦略的に打って出るのは時期が悪そうです。DellのビジネスモデルにはOSの新規開発はありませんし、IBMはOS2で既に失敗しています。


つまり、Windowsパソコンに立ち向かっていける企業は、これまでWindowsパソコンに手を染めていないApplePalmSourceぐらいしかありません。


みなさん、Windowsパソコンが好きですか?何とかならないかと思い続けているのではないですか?もし、PalmSourceが野望を持って挑戦しようとしているのなら、Windowsから抜け出せる10年に一度のチャンスかもしれません。


ユビキタスやオンデマンド、グリッドコンピューティングなどこれからのネットワーク社会には、新しいパソコンのOSが求められているはずです。是非、このPalmSourceのコンファレンスでの発言が、徐々に大きな潮流となって、パソコンを大きく進化させる原動力になって行って貰いたいものです。