695.USの歴史博物館3: コロニアル・ウィリアムズバーグ (2009/06/15)

さて最後にご紹介するのは、ディズニー・リゾートに匹敵する規模を誇る、コロニアル・ウィリアムズバーグです。


確かに単純に規模だけを比較したらフロリダのディズニーワールドの方が大きいでしょうが、一日ではとても見て回ることができない滞在型のリゾートであり、内容の濃い趣向を凝らした展示やツアーには目も見張るものがあります。


場所はバージニア州の中央にあり、ワシントンDCからはそれほど遠くありません。ただ、日帰りではなく、2・3日じっくり滞在して見学したいものです。


入場者はビジターセンターから出発する専用のバスで回りますが、建物が点在する園内には明確な境界がなく、普通の街並みが歴史的建造物になってしまったような感じがします。


これまでご紹介してきた博物館が、どちらかと言えば庶民の暮らしぶりを伝えようとしているのに対し、ここでは18世紀の暮らしぶりを紹介するに留まらず、当時の上流社会の生活や、建国に携わった人たちの姿や政治・経済の様子を知ることができます。


また、本来は宿であったり酒場であったタバーン(Tavern)と呼ばれるレストランでは、昔のままの雰囲気の中で食事をすることができます。


その中の一つであるChristiana Campbell’s Tavernは、ジョージ・ワシントンのお気に入りだったそうで、当時を再現した素朴でボリュームのあるメニューを楽しむことができます。


夜になると、季節に合わせた特別なツアーが催されます。夜の明かりの中で聴く弦楽奏などは、昼間に見学したのとはまた違った雰囲気を味わうことができます。


夜の街頭では兵隊の行進があったり、クラフト製品のオークションを当時の衣装のままでやっているのに参加したり、朝から晩まで一日中園内を楽しむことができます。


ホテルはリーズナブルなホテルチェーンから選ぶことももちろんできますが、かつてモービル・トラベルガイドで5つ星を取ったWilliamsburg Innなどは、たとえ宿泊しなくても一度は中を覗いてみたいものです。


バージニア州には、他にはあまり訪れるべき場所が多くありませんが、夏場の絶叫系遊園地としてはビールでおなじみのブッシュ・ガーデンがすぐ近くにあります。


また、ニューヨーク市に向かって戻る場合は、Chesapeake Bay Bridge-Tunnel (CBBT)を通るのはいかがでしょうか? 今では東京湾アクアラインができましたから珍しくなくなりましたが、1964年に完成したという20マイルに及ぶ湾内橋とトンネルはなかなかの迫力です。


また、アトランティックシティでギャンブルに興じるのも、ウィリアムスバーグとは全く雰囲気が違っていて、おもしろいかもしれません。


さて、USの歴史博物館をご紹介してまいりましたが、どの博物館も歴史を十分に説明して正しく伝えていこうという気持ちが伝わってきて、それほど歴史に興味のない人でも自然に理解できるように工夫されています。


遊園地のようなリゾートも楽しいものですが、これらの歴史博物館を訪れてみるのも、知的な刺激があってよろしいのではないでしょうか。




694.USの歴史博物館2: アッパーカナダビレッジ (2009/06/08)

本日ご紹介するのは、当サイトが最もお勧めする歴史博物館であります。しかし、前回のシェルバーンと比較しても、さらに田舎にあり行きにくいところにあります。


オンタリオ州とケベック州の境に近く、モントリオールとオタワの中間に位置します。近くにはセント・ローレンス川が流れ、実に風光明媚で自然に溢れたところです。


ここで気づいたのですが(気づくのが遅い!)、このアッパーカナダビレッジがあるのはUSではなく、カナダのオンタリオ州でした。成り行き上、USの博物館として紹介してしまいますが、それにはもっともな訳があります。(おそらくこじつけ!)


「大草原の小さな家」というテレビドラマがありましたが、その雰囲気にぴったりの場所なのです。


舗装されていない砂だらけの道の向こうには、遠く粉ひき小屋の煙突が見えます。その道を向こうから歩いてくるのは、開拓当時の衣装をまとった少女たちでした。


そのまるで「大草原の小さな家」から抜け出してきたような風景に、私はしばし呆然と、その情景に見惚れていました。


今思えば、写真を撮っておけば良かったと思います。しかし、その時はカメラの存在を忘れてしまうほどに、心は開拓時代の中に引き込まれてしまっていました。


ここは建物が小規模なものが多く、開拓時代の人々が日常に必要としていたものを中心とした構成になっています。また建物が自然の中に点在しており、現代のものは目に入らないようになっています。


ここで登場する人たちは、粉ひき職人だったり鍛冶屋だったり家具職人だったり、皆さんが当時の衣装を着ているため、博物館の解説員の説明を聞くというより、当時の人と会話しているような錯覚を覚えます。


ホテルでは昼過ぎになると、アフタヌーン・ティーのメニューがあり、スコーンとジャムが紅茶と一緒に出されます。その他にも当時のメニューを再現した食事があり、確かにすばらしくおいしいものではないですが、素朴な味わいの食事を楽しむことができます。


さてアッパーカナダビレッジに来たついでに、モンテベロという町に寄ってみるのも面白いでしょう。


シャトー・モンテベロは、かつて経済サミットが開催されたことで有名で、ログハウスによる建造物では最大規模を誇っています。


ここではホテル内の自然を生かしたコースを1時間ほどかけて乗馬することができ、私のような初心者でもスリルを味わうことができます。


「大草原の小さな家」のファンの方は、ぜひアッパーカナダビレッジを訪れてみてください。


UpperCanadaVillage.com (English Version) (http://www.uppercanadavillage.com/)

Chateau Montebello (http://www.fairmont.com/montebello/)

693.USの歴史博物館1: シェルバーン・ミュージアム (2009/06/06)

普通、博物館と言えば立派な建物の中に展示物が並んでいる様子を思い浮かべます。フェラデルフィアワシントンDCに行けば、そのような歴史博物館はたくさんあるでしょう。


今回の特集ではそのような博物館ではなく、体験型と言いましょうか。日本では明治村にあるような、昔の生活を再現したような屋外型の博物館をご紹介したいと思います。


まず最初は、US北東部、ニューイングランド地方と呼ばれるバーモント州にある、シェルバーン・ミュージアムです。


シェルバーンという町は、グレート・バーリントン(Great Burlington)エリアにあります。ボストンからモントリオールに向かって車で4時間ほど(200マイル、320Km)の位置にあります。


バーリントン市はバーモント州では最大の人口を誇っていますが、バーモント州自体がかなりの田舎で人間より牛の数の方が多いと言われていたぐらいですから、かなりのどかな土地柄です。


また町の西側には、USでは五大湖に次ぐ面積を持つシャンプレイン湖 (Lake Champlain) があります。


広い芝生が広がる園内に点在するのは、移転された古い住居や鍛冶屋、新聞の印刷所、雑貨屋や湖にあった灯台など。17世紀から20世紀にかけて実際に使われていた建物が移築され、当時の姿のままに内部を見学することができます。


また一部の建物には、古いキルティング (Quilting) の作品や美術品などが展示されています。


日本には古いものがたくさんありますからそれほど驚かないような古さのものでも、歴史の浅いUSでは100年前の工芸品はすでに"Oh, very old !"。


展示のそばには博物館員がいて、詳しく解説をしてくれたり実演をしてくれたりします。


ランチはピクニックをしながら、丸一日かけて園内を回るのがバーモント流。両親が子供たちに昔の生活を説明している姿が、あちらこちらで見られます。


冬が厳しいバーモントでは、新緑が美しく映えるこれからが一番よい季節です。サンドイッチでも持って、今度の週末にでも出かけましょうか? (ってちょっと遠すぎると思うが?)


Shelburne Museum – Homepage (http://www.shelburnemuseum.org/)

692.近況報告 (2009/06/03)

2ヶ月近くサイトの更新をさぼっておりました。皆様にはお変わりはございませんでしょうか?


さて、5月の連休にセットアップするつもりで、4月6日にeXpansysにオーダーしておりましたpalm centroですが、いまだに届いておりません。


おかげで連休には家族サービスが十分にできたものと自負いたしておりますが、さすがに痺れを切らして問い合わせてみると、やっとイギリスの倉庫に入荷したので今から香港の倉庫に転送するとのこと。日本へは香港の倉庫に着いた後、再度出荷されるとのことです。


クレジットカードからの引き落としはまだされていないので、香港から出荷された時点で支払いが発生するのでしょう。


そうこうしている間にpalm preが正式にアナウンスされましたから完全に話題から遅れてしまいましたが、それはそれとして常用Palm機がない身としては早く到着しないかと待ち続けている毎日です。


さて5月からの世間の話題としては、何といっても新型インフルエンザでしょう。早々と安心宣言(安全宣言でないところがミソ)をするなど、経済への影響を最小限に抑えようと必至なのは仕方がないかもしれませんが、過去のスペイン風邪などの経験を十分に生かして判断しているか甚だ疑問です。


罹ったとしてもタミフルリレンザがあるから安心だという風潮がありますが、20世紀初めに新インフルエンザが流行ったころと較べて、医学の進歩はそれだけであることことに不安を感じます。


USでは重篤化の危険性がある患者以外には、耐性ウィルスが生まれる可能性を最小限に抑えるためにタミフルを処方しないとのことですから、最後の手段として取っておくべきものなのでしょう。


臨時に建てられた発熱外来のテントと、そこに待機するマスク姿の医師や看護人の姿は、スペイン風邪が流行した時の新聞記事にある写真とほとんど変わらないように見えます。


秋から第二波が始まるといわれていますが、少なくとも今回指摘されている初動態勢の不備などの経験を生かして、100年前と同じ轍を踏まないように心掛けたいものです。


さて話は変わりますが、歴史を学ぶことは、単に過去のことを知って知識欲を満たすのが目的ではなく、過去を振り返り将来に備えたり、未来をあるべき姿に導いていくのが本来の目的であると思います。


そこで、久しぶりに特集として、USにある歴史博物館を紹介してみたいと思います。そこには日本にはない、ワンダーなおもしろい体験が待っています。ぜひご一読ください。

691.田園調布に家を見に行く (2009/04/13)

単身赴任で横浜に住むようになって感じるのは、以前に比べて文化圏の差がなくなってきたということです。


そりゃもう私が社会人になった頃は、関東と関西で歩く速さがかなり違いましたし、ファッションや食べ物の味にカルチャーショックを感じたものでした。明らかに関東と関西では気質が異なっていました。


そのころは関西の芸人は関東のテレビ番組に出演することは稀でしたが、漫才ブームのころから徐々に東京のネタを関西でも見るようになってきました。


そのころのセント・ルイスが一世を風靡したギャグ田園調布に家が建つ!」は、長い間記憶に残っておりました。


また入社したころ同僚から、「田園調布に家が建つ」と言っても、電車を挟んで世田谷区寄りと大田区寄りではかなり印象が違うと聞いていましたから、長い間どのように違うのか気になっておりました。


他にも東京には昔からの屋敷街がありますが、私のようなお上りさんのとっては、田園調布は東京を代表する分かりやすい邸宅街として、いつかは行ってみたいと考えておりました。


先日、Google Earthで田園調布までのルートを表示させてみると、今住んでいるところから10Km強しか離れていないことに気付きました。


春になり陽気も良くなってきましたのでいっちょ出かけてみるかと、愛用の折りたたみ式のガタついた自転車で行ってみることにしました。


地図を見てみると、今住んでいる港北ニュータウンから川崎市に抜けるには、中原街道を通るのが良さそうです。そのまま多摩川の丸子橋まで行けば、田園調布まではもうすぐです。


出発してから45分ほどで丸子橋に到着。しばし、橋の上からいつも乗っている東横線の電車を眺めながら休憩です。


途中、五反田まで10Kmなどという標識があったので、意外と都心までもこの自転車で行けるのではなかろうかと思いました。次回の目的地は五反田で決まりです。


さて、多摩川を渡ってからは5分もすれば田園調布のエリアです。さすがに落ち着いた閑静な住宅が並んでいます。私も含めてやたらと観光で来ているらしき人が目立ちますが、住人らしき人はあまり見当たりません。


田園調布駅前の広場は、まるで遊園地か映画のセットのように見えました。無造作や雑然としたものを徹底的に排除していて、街並みがきれいに保存されています。


開発時から一定のルールを設けて規制してこなければ、長い間同じ景観を保つことはできないでしょう。関西では雲雀丘花屋敷が似ているかもしれません。


確かに駅の両側でこれほど極端に街並みが異なるところは見たことがありません。遊園地の中と外、その対比が見事です。


さて帰り道ですが同じ道では面白くないと思い、多摩川土手二子玉川に向かって田園都市線に沿って戻ろうとしました。


すぐ近くに見えた第3京浜もこれが思ったより遠く、へこへこしながらこれを越えて二子玉川まで到着。そこから電車沿いに走るも、途中からは246号線に合流。


鷺沼辺りから港北ニュータウンに抜ける道があると聞いていたのでそれらしい道を選んで行くと、急に目の前に行きつけのスポーツジムが現れました。知らない風景が突然見たことのある風景に変わる瞬間は刺激的です。


後で地図で調べてみると、走行距離は28Km。二子玉川経由で帰ったため、思ったより長くなってしまいました。


それから思い知らされたのは折りたたみ自転車の巡航速度の遅いこと!特に多摩川沿いの道は平坦だったのですが、ほとんどの自転車に抜かれました。体力不足も否めませんが。


さて、この自転車で次回、本当に五反田に行きますか?(自問自答中)