120.メイド・イン・ジャパン (2003/06/08)

最近日本製の製品を見直そうという機運が、高まりつつあります。品質の優れた製造工場としての日本の可能性を再認識して、競争力を取り戻そうとしています。


特に、以前から製造技術に一日の長がある企業の取り組みが熱心なようです。製造原価を下げるために、人件費の安い国に工場を作るのではなく、設計や製造行程を最適化することによって、コスト競争力を付けて行こうとしています。


6年前、USに住んでいたとき、Walmartのチョコチップクッキーが好きで、よく買っていたことがありました。そのパッケージには、次のようなメッセージか書かれていました。


「Walmartは、学力の不足している子供たちを支援し、USが国際競争力を取り戻す運動を支援しています。このクッキーの売り上げ金の一部は、学校教育の援助として寄付されています。」


WalmartSam’s Choiceと名付けられた商品のシリーズは、すべて売り上げの一部が同様に寄付されていました。Samというのは、社長の名前だったらしいのですが、一企業が、国の将来を憂いていた様子がよくわかります。


これとは別に、国を挙げて国産品を品質の良さをアピールしようとして、様々なMade in The USA製品に、星を形取った同じロゴをあしらったラベルを付け、「US製の製品を誇りを持って製造・販売しています」と唱っていました。


当時、東南アジアは言うに及ばず、南米や中近東からの低価格製品に押され、国産品の売り上げが低迷していましたが、国産品の品質を向上することによって、活路を見いだそうとしていたのです。


私たちも、もう一度日本製の製品を、見直してみる必要があるのではないでしょうか?

119.ウッドコーンスピーカー (2003/06/07)

日経ビジネスに、ビクターのウッドコーンスピーカーの話が載っています。


実は最近知ったのですが、ビクターはコンポーネント・ステレオ関連は、もうスピーカーしか作っていなかったのですね。ビクターと言えば、「His Master’s Voice」犬と電蓄で有名なステレオメーカーですから、ステレオは今でもフルラインで揃えていると思っていたものですから、残念ですが時代が変わっていたようです。


そのビクターから、木のコーンを使ったスピーカーが出されるということで、注目を集めているということです。


ヴァイオリンピアノは、言うまでもなく木でできていますから、音源と同じ素材を使ったスピーカーは、これらの楽器の音を再生するのに、優れた特性を持つそうです。アイデア自体は、20年前からあったそうですが、プレス成形の技術がなかなかできなかったそうです。


おもしろいのは、一度目のプレス時に木が割れないようにするために、日本酒に浸してからプレスするそうです。いっそう良い具合に音楽に酔えそうな感じがします。甘口の酒の方が、歩留まりが良かったと言う話は微笑ましいですね。


木の種類はカバを使ったそうです。カバ桜などとも呼ばれ、桜の木に似た美しい木目を持ち、北海道家具などに使われています。


ヴァイオリンやピアノ、ギターなどはよくスプルースを使いますが、おそらく木質が粗な為に、薄くスライスするのが困難だったのではないでしょうか。


木の種類によって、再生を得意とする楽器が違ってきたりするでしょうから、もしカバを使ったスピーカーが好評を博したら、木の種類を変えて異なった音質を狙ったバリエーションも出してもらいたいものです。


デジタル時代に、いかにもアナログ的なこだわりも、面白いものです。是非、発売されたら視聴してみたいものです。

118.無敵のブランド (2003/06/07)

日経メカニカル2003年6月号の特集に、「無敵のブランド」と言う記事が載っています。この中で、「ブランドは高く売る為の武器である」と述べています。


今まで、いかに安く売るか、安く売る為にはいくらで作らなければならないか、と言うような思考でうまく行っていたのは、大量消費時代、つまり欲しいものはたくさんあるけれど、お金があまりないと言う時代であったからです。とにかくいっぱい買いたかったのです。まだ、お腹が空いていて栄養失調の状態だったのです。


しかし、そのうちに欲しいものも一通り買ってしまい、それでも買いあさるのが癖になっていた為、ガレージセールで売り飛ばしながら、また買ってしまっていました。今度は、拒食症のようです。「安物買いの銭失い」とは、良く言ったものです。


実は、私はバイキングを食べに行くと、必ず元を取らなければならないと考える性分ですので、いつも後で体調が悪くなるのです。そろそろ、高くてもおいしいものを、適当な量だけ食べてみたいと思うようになりました。もちろん、ブームに乗ってみんなと同じ物を食べに行くのではなくて、自分の好みに合ったものを、じっくりと味わいたいのです。


ブランドは、絶対的な信頼を保ち、決して選んだ人を裏切ってはいけません。記事では、ルイ・ヴィトンを優れたブランドの例として取り上げています。ルイ・ヴィトンは、最近の調査で、店員の応対サービスで、最高の評価を得ています。また、その製品の価値は、他の多くのブランドと比較することさえ無意味に思えます。


よく、プライスリーダーと言いますが、これは周りの似たような製品があり、まだ切磋琢磨している段階でのことです。本当のブランドになれば、他との比較を必要としない程の、絶対的な価値を与えなければなりません。


日進月歩のテクノロジー製品においては、製品そのもので絶対的な価値を目指すことは、困難なことかもしれません。しかし、企業の姿勢などは、1年2年で変化するものではありません。長い年月を掛けて築いた企業のイメージが、消費者を裏切らず信頼を勝ち得た時、ブランドといえるのではないでしょうか?個性豊かなブランドを確立していく日本企業が、これからはもっと必要になってくると思います。

117.科学技術白書 (2003/06/06)

NIKKEI NETに、「日本の研究者、処遇は不十分・科学技術白書」と言う記事が掲載されています。2002年度版科学技術白書に基づいた記事ですが、一般事務職と技術職の賃金を、USと日本で比較しています。押し並べてUSのほうが、技術職に対する賃金が高く、日本の技術職の処遇が不十分であると言っています。面白いことに医師パイロットだけは、日本の方が高いそうです。


理科系は大学での履修科目においても、文科系に比較して負担が大きいとされています。ですから、それに見合う待遇がどこかで成されていなければ、苦しい思いをするだけ損だと感じるのは当然ですし、その結果優秀な人材が技術職を目指さなくなり、日本の技術力が低下すると言う理屈も分からない訳ではありません。


では、技術者の処遇を考え直して手厚くもてなせば、優秀な人材が技術職に集まって、技術力が回復するのでしょうか?USでは、技術職の賃金が高い為に、優秀な人材が集まり、その結果技術力が高いのでしょうか?


処遇を良くすることは、必要なことの一つではありますが、それだけではないと思います。このことはUSの研究所の様子を見ると良く分かります。研究者の多くは、母国で大学を卒業した後、母国からの補助をもらってUSの大学院に留学し、卒業した後はそのままUSで研究を続けているのです。IEEEなどの学会に論文を出している研究者は、かなりの高い確率で中国や、インドの出身者ですし、台湾ベトナム韓国からの研究者も、相当数に上るでしょう。


USの研究開発力は、彼ら移民に頼るところが大きいのです。昔の日本で、大陸からの技術者に頼っていたのと同じです。実績のあるUSの大学院を卒業し、一時的かもしれませんが母国を離れて研究に従事する人たちの給与を日本と比較するだけでは、問題は解決しないと思います。


ところで、なぜ理工系に従事する人に、中国やインド系の人が多いのか?これには、明快な訳があります。もし、皆さんの周りに理科系の人がいたら、血液型を聞いてみてください。B型が多い筈です。日本人では、およそ20%がB型ですから、もし20%以上なら理科系にB型が比較的多いと言えるでしょう。


日本人には、A型が一番多いのですが、アメリカ人O型が一番多く、中国インドではB型が多いそうです。中国とインドから研究者として人材が集まって来るのには、このような理由もあるのではないでしょうか?

116.道楽息子が帰ってきた (2003/06/05)

確かニューヨークタイムスは、パーム社によるハンドスプリング社の買収を、このように表現していました。2つの会社の業績が、あまり良くない状態での買収ですから、同じ地域にある2つの支店が1つになったようなものでしょうか。リストラが、その目的の一つであるのは明らかです。


ハンドスプリングが独立する時には、もっとPDAの売り上げが拡大して行くと予想したのが、意外と伸び悩んだ為、出直しを図ると言う感じでしょう。年内に社名を変更すると言うことですから、パーム系サイトの名称にも多少なりとも影響が出るかもしれません。


そもそも、PDAはパソコン携帯電話と競争していかなければならない宿命にあります。パソコンや携帯電話が、何もないところに新しいユーザーを開拓していったのとは異なり、パソコンと携帯電話に挟まれた狭い陣地を広げようとすれば、両陣営のテリトリーを奪って行かなければなりません。


簡単に悲観論に走ることが許されるならば、PDAが今がんばっているエリアは、パソコン会社か携帯電話会社に任せる方が、PDAを含めて総合戦略を練ることが出来たり、スケールメリットが活かせる事で、将来的に今の形態よりPDAそのものは発展するのかもしれません。


パームが、すばらしい経営・開発陣営と製品を持ち合わせていたとしても、世界中でしのぎを削っているパソコン会社や携帯電話会社と互角に戦うには、相手が悪過ぎるように思われます。


ザウルスを擁するシャープでさえも、Linuxを採用してOSにこだわらない姿勢を見せています。パームも、シェアをまだ保って価値があるうちに、ソフトウェアはPalm
Sourceとして、ハードウェアの方はこれまでのノウハウを持つ2つの会社を1つにまとめて、それぞれ新しいオーナーが現れるのを待つと言うのも、アメリカンドリームの一つの実現方法なのかも知れません。


自動車でも、多くの独立していたブランドがより大きなブランドの傘下に入りましたが、独自性を失っていないところも数多くあります。大きな資本の傘下に入る事のメリットを生かして、継続的にブランドを成長させていくことも可能でしょう。


そして、ブランドを成長させていく為には、ユーザーの支持、あるいはパーム・コミュニティー不可欠です。パーム社が、今後どのような展開をするか、見守っていきたいと思います。