116.道楽息子が帰ってきた (2003/06/05)

確かニューヨークタイムスは、パーム社によるハンドスプリング社の買収を、このように表現していました。2つの会社の業績が、あまり良くない状態での買収ですから、同じ地域にある2つの支店が1つになったようなものでしょうか。リストラが、その目的の一つであるのは明らかです。


ハンドスプリングが独立する時には、もっとPDAの売り上げが拡大して行くと予想したのが、意外と伸び悩んだ為、出直しを図ると言う感じでしょう。年内に社名を変更すると言うことですから、パーム系サイトの名称にも多少なりとも影響が出るかもしれません。


そもそも、PDAはパソコン携帯電話と競争していかなければならない宿命にあります。パソコンや携帯電話が、何もないところに新しいユーザーを開拓していったのとは異なり、パソコンと携帯電話に挟まれた狭い陣地を広げようとすれば、両陣営のテリトリーを奪って行かなければなりません。


簡単に悲観論に走ることが許されるならば、PDAが今がんばっているエリアは、パソコン会社か携帯電話会社に任せる方が、PDAを含めて総合戦略を練ることが出来たり、スケールメリットが活かせる事で、将来的に今の形態よりPDAそのものは発展するのかもしれません。


パームが、すばらしい経営・開発陣営と製品を持ち合わせていたとしても、世界中でしのぎを削っているパソコン会社や携帯電話会社と互角に戦うには、相手が悪過ぎるように思われます。


ザウルスを擁するシャープでさえも、Linuxを採用してOSにこだわらない姿勢を見せています。パームも、シェアをまだ保って価値があるうちに、ソフトウェアはPalm
Sourceとして、ハードウェアの方はこれまでのノウハウを持つ2つの会社を1つにまとめて、それぞれ新しいオーナーが現れるのを待つと言うのも、アメリカンドリームの一つの実現方法なのかも知れません。


自動車でも、多くの独立していたブランドがより大きなブランドの傘下に入りましたが、独自性を失っていないところも数多くあります。大きな資本の傘下に入る事のメリットを生かして、継続的にブランドを成長させていくことも可能でしょう。


そして、ブランドを成長させていく為には、ユーザーの支持、あるいはパーム・コミュニティー不可欠です。パーム社が、今後どのような展開をするか、見守っていきたいと思います。

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