668.メイヨークリニック受診日記9: まとめ (2008/04/27)

さて、8回にわたってメイヨークリニックでの診察を受けてきた印象をまとめてみたいと思います。


さすがに全米、あるいは世界各国から診療に訪れるだけあって、病院のシステムとしての完成度の高さを感じました。朝早くから詰めかける多くの患者さんを、効率よくさばくための工夫が、あらゆる所に施されているのではないかと思います。


海外からの患者をサポートする専門窓口の設定や通訳制度など、グローバルに医療を展開しているということを意識させる特徴には事欠きません。また、病院を取り巻くように建っているホテルの多さが、この街が病院を中心として成り立っていることを物語っています。


医療レベルについては、今回の非常に限られた経験から評価することは無理があるとは思いますが、最新の医療を受けることができる病院の一つであることは確かでしょう。


ただ最初は、ひょっとしたら日本の医療に比べてダントツに進んだ医療が実施されているのではないかという期待もあったのですが、ことアレルギーに関してはあまり大きな違いは感じられませんでした。全く想像を絶するお見立ても期待していたのですが、それほどびっくりするようなことはありませんでした。


しかし、その対象となる症状によって同じ印象になるとは限りませんから、もっとUSで研究の進んだ分野においては、この限りではないかも知れません。また日本の方が進んでいる分野もあるでしょう。


担当してくれた医師たちは、紳士的で誇りを持って治療に取り組んでいると感じました。いや、これは日本の医師にも言えることですが。


さて治療費ですが、今回は診察のみで投薬や施術はなかったのですが、複数の診療科を受けたこともあってかなり高いものになりました。日本のように保険が適用された後の金額でないこともあって、なおさら高く見えてしまいます。


今回の一連の診察にかかった費用は以下の通りです。































































Service Description US$
pulmonary diffusing capacity (呼吸器テスト) 185
xray chest pa & lateral (胸部レントゲン撮影) 135
comprehensive hist & phys exam -international
(診察)
285
spirometry fvc exp flows mvv w/dilator(呼吸器テスト) 225
ct maxillofacial scn-w/o contr (CTスキャン) 1040
skin sensitization tst-percut 56 units (皮膚アレルギーテスト) 616
detail exam consult-allergy (診察) 280
detail follow-up report visit – allergy (診察) 165
images copied to cd (CD作成料) 7.50
postage-xray copies spec deliv (郵送料) 13
expanded exam & consult -ent (診察) 215
nasal endoscopy, diagnostic, uni/bilateral (内視鏡検査) 365
detailed hist & phys exam -ent (診察) 190




よく海外で病気になるとべらぼうな金額が請求されると聞きますが、確かに保険なしでの海外渡航には高額医療費のリスクがあることを実感しました。


今回の経験では、特に4人もの医師の診察と、レントゲン、心肺テスト、アレルギー検査、CTスキャンなどの検査を受けることができ、なかなか緊張感のある貴重な経験をすることができました。


やはり海外では日本と勝手が違うため思い通りに行かないことが多いですし、時間や費用の点で無理な場合もあり得るでしょう。海外に出かけるときは、健康に不安のない万全の態勢で臨みたいものです。

667.メイヨークリニック受診日記8: どんでん返し (2008/04/24)

さて、2度目の耳鼻科の予約をもらった水曜日の午後。通訳のMJさんにも来ていただいた。


診察室で待っていると、最初は研修医らしい若い先生が入って来られました。「ドクターが来るまで私が診察します」と言いながら問診をした後、さらに鼻の中にファイバースコープを通して鼻腔内の様子を診察されました。


思えば、これまでも何回も診察をしてもらいましたが、鼻の中を本格的に覗いてもらったのは初めてです。日本の耳鼻科なら、まず間違いなく最初から鼻の中を見るでしょう。テストの結果やCTスキャンの画像しか見なかったこれまでの診察に比べて、かえって新鮮さを感じました。


いったん若い医師が出て、しばらくしてからDr.Friedmannが診察室に入って来られました。40才を少し過ぎたバリバリのやり手と言った感じでしょうか。


手術専門医と聞いていましたから、手術を前提とした話をされるものと思い込んでいたのですが、ここで予想していなかった「どんでん返し」が起こります。


手術をしても再発の可能性が高く、数カ月再発する場合もあるとのこと。


噴霧剤などの薬が、手術をしないと薬が鼻の奥に届かないと言うのはこれまでと同じでしたが、手術をすればそれで完治するというものではなく、手術をしてもしないでも、ずっと何らかの処置を続けなければならないとのこと。


現在の研究では、まだ再発を防ぐ有効な方法は見つかっていないので、手術はそれほど勧めないとおっしゃいます。


US滞在中には無理だとしても、いずれ手術をせねばなるまいと観念していたのですが、スーッと気が抜けたような感じです。


ただ、鼻の洗浄は常にした方が良いと言うことで、塩水で洗浄する器具と、それとは別に鼻の横の鼻腔を洗浄する器具と処方箋をもらいました。


面白いのは、鼻に液状の薬剤を入れる事が、州の法律上許されていないと言うこと。この処方箋による薬は、フロリダの会社しか調整する事ができないらしく、通常はFAXでその会社に処方箋を送り、薬剤を送ってもらうことになるそうです。今回は、送ってもらう時間がないので、日本で調剤できる薬局を探すことにしました。


あと日本での耳鼻科の紹介をお願いしたら、メールを送れば折り返し教えてくれるという事になり、担当のナースのメールアドレスを教えてもらいました。


これで3週間かけて内科、アレルギー科、耳鼻科を巡ったメイヨークリニックの受診体験が終わりました。最後のどんでん返しには驚きましたが、とても良い経験をすることができました。(あとは請求書に驚くだけ!)

666.メイヨークリニック受診日記7: 耳鼻科医のお見立て (2008/04/21)

さて、メイヨークリニックで若干心残りなのは、アレルギー科しか受診できなかったことです。滞在期間の関係で無理だったのですが、運良く(本当は運悪く仕事が延びた)滞在期間が伸びたため、耳鼻科も受診してみることにしました。


また週が明けた月曜日のお昼頃、耳鼻科の予約と500ドルのデポジットの精算と記念のカバンを買いに、メイヨークリニックに行ってみました。


まずInternational Officeに行って、デポジットを返してもらおうとしたのですが、保険のGuarantee Letterがなかったため保険が支払われる3ヶ月後ごろに、自動的に返金されるという事でした。


次にメイヨービルの15階のアレルギー科に行き耳鼻科の予約をお願いしたのですが、2、3時間かかると言うことでまた後で来ることにしました。そして、Gondaビルのギフトショップにカバンが入荷していたので、記念にひとつ買って帰りました。


再び、夕方にアレルギー科に予約の確認に行ったら、明日8時30分の耳鼻科の予約を取っておいてくれました。


次の日、耳鼻科の受付で待っていると、8時半ちょうどに名前が呼ばれ診察室に案内されます。


さすがに耳鼻科なら、日本と同じように何らかの医療器具が並んでいると思ったのですが、内科やアレルギー科の診察室と同様、机とソファー以外にはこれと言った医療器具はありません。


しかもこの診察室は今までの中で一番飾り物が多く、その医師の賞状や家族の写真などがたくさん飾られています。どうもかなりのベテラン医師のようです。


しばらくして診察室に入って来られたのは耳鼻科のDr.Nelson。確かにベテランらしく、しかもかなり気むずかしそうです。しかし、診察はCTスキャンの画像をみながらたった5分で終わり、「手術以外に治す方法はない!」と断言。


Dr.Nelsonは手術の専門ではないので、別の耳鼻科医にもう一度診てもらうことになり、次の日の16時の予約を取ってもらい帰りました。

665.メイヨークリニック受診日記6: CTスキャン (2008/04/18)

今日は朝早くに鼻のCTスキャン(CT Head Examination)を撮り、午後からはその結果をDr.Josephに診てもらうことになっています。


午前8時前にメイヨークリニックのGondaビルに行きました。すでに地下鉄の駅と思えるぐらいたくさんに人が行き来しています。


メイヨーストアでカバンの入荷について聞いてみたのですが、あと1週間後ぐらいすれば入るとのこと。セント・メリーホスピタルのストアにあるかどうかを電話で聞いてくれて、あるようだがいくつ残っているかは判らないと丁寧に答えてくれました。


CTスキャンがあるGondaビルは、内科やアレルギー科の診察を受けているメイヨービルよりさらにきれいです。地下のホールには、このビルを寄付したとされるGonda夫妻のレリーフが掛かっています。(何処の人?)


3階の受付に行ったらフードコートにあるようなバイブレーターを渡してくれて、順番が来たらこれで呼んでくれるとのこと。


病院内でわざわざ電波を出す機器を使わなくてもよいだろうと思ったのですが、聞いてみると受付で患者の名前を連呼することによるプライバシーの漏洩を避けるために、待合室ごとに導入されているとのこと。Gondaビルが先行していますが、順次他のフロアーにも導入して行くそうです。待合室のメインテナンスとして雑誌を交換している係りのおばさんが印象的でした。


5分ほど待っているとバイブレーターが動作したので受付に行くと、CTスキャン室までの行き方を案内され、廊下を数回曲がって行くと到着。ここの技師は珍しくアジア系、おそらく中国系の方でしょう。ミネソタ州では、アジア系の人に出くわすことはあまりありません。


CTスキャンを受けるのは初めてだったのですが、5分ほどであっという間に終わりました。しかし、ここも立派な設備で検査代がいくらになるのか、さすがに不安になりました。


そして同じ日の夕方、CTスキャンの結果を診断してもらうために、アレルギー科の診察を再度受けます。


16時5分頃に受付に着いたのですが、診察の前にインターナショナルオフィスに行くようにと言われたので行ってみると、保険会社に診療の記録を開示する許可のためのサインを求められました。


通訳の方が16時25分ぐらいに来てくださり、それからしばらくして診察室に呼ばれました。


Dr.Josephの診断では、CTスキャンの結果はかなりポリープが鼻腔内を埋め尽くしていて、これでは薬が奥まで届かないので手術しかないだろうとの事。CTスキャンの診察データをCDに焼いてもらい、後日日本に郵送してもらうことになりました。


鼻から吸入する噴霧剤のサンプルとして3本の薬剤を受け取り、アレルギー科の診察はこれにて終了。通訳のMJさんとはといつものようにサブウェイの階まで降りて、お礼を言って別れました。

664.メイヨークリニック受診日記5: アレルギー科の診察 (2008/04/15)

さて、週が明けて月曜日の午後。アレルギー科の予約は13時15分でしたが、病院のギフト・ショップを覗いてみようと、少し早い目に到着しました。


メイヨークリニックは、周りに点在するホテルや駐車場とサブウェイと呼ばれる地下道や陸橋でつながっています。冬は零下20度になる地域ですので完全に外気が遮断されており、ホテルや駐車場から病院まで安全にたどり着けるようになっています。


メイヨークリニックには、Gondaビルの地下に一般的なギフトショップと医療用品を売っているメイヨーストアという店があります。また、入院設備のあるセント・メリーホスピタルにもショップがあります。


診察を受けた記念に、メイヨークリニックのロゴが入ったカバンを買おうとしたのですが、この時は在庫がなくまた次の機会に探す事にしました。医療用品を売っている店も近くにあり、介護用品や消耗品、杖や歩行器など、様々なものが売られています。


アレルギー科の待合室には予約の10分前に行き、しばらくしてから診察室に呼ばれました。アレルギー科も前回の内科も、診察室は全く同じ形をしていて、どちらかと言えば事務室風。机とソファーがある以外は特に医療機器が並んでいるわけではありません。


診察をしてくれたのはDr.Joseph。もう少しで60才ぐらいと言うところでしょうか。先週の呼吸器のテスト結果は完璧で、ドクター自身より良い結果だとお褒めのお言葉。そりゃ頑張りましたもの!(そう言う問題ではないか?)


威圧感がなく親しみが持てる感じだったので、一通りアレルギーについて説明をした後、インターネットで調べていて興味を持っていたマクロライドについて聞いてみました。


少量のマクロライド系抗生物質を長期に渡って投与する事が、副鼻腔炎などの治療に効果があるとされているのですが、ドクターは日本だけでそのような結果が出ているというレポートを読んだことはあるが、USでは効果があったという話しは聞いていないと言うことでした。


また、喘息薬として日本で処方されたことのある薬(パルミコートとシングレア)について聞いたところ、「完璧な処方だ。私も同じ薬を処方したであろう。」とのこと。


鼻の中のポリープがかなり大きいので、耳鼻咽喉科での手術の可能性に触れられた後、とりあえずアレルギーテストを受けることになりました。


腕に小さな針を刺して傷を付けながら、アレルギー物質の液を垂らしていきます。全部で56種類の物質が試されました。日本に住んでいるのでアジア地域限定のアレルギー物質も加えられているようですが、マンゴーの花の検査は日本人に必要かどうか甚だ疑問。要するにUSから見ればアジアという一括りになってしまうのでしょう。


15分程待ってから、腫れの大きさを測定するのですが、基準になるのはヒスタミンによる腫れ具合で、それより大きいものにアレルギー反応があると見なされます。しかしその15分の間、蚊に56カ所刺されたようなものですから、腕が痒いこと痒いこと。すべての傷が赤く腫れ、ほとんどの物質に反応しているように見えました。


検査結果が出てからまたドクターの診察があり、それほどひどいアレルギーではないが、ネコイヌダニにアレルギーがあると言われました。特にネコと松が強いようでした。


検査結果のコピーをもらった後、鼻腔内のCTスキャン耳鼻科の診察を勧められますが、滞在日数が少ないのでCTスキャンだけをお願いして、その結果をまたDr.Josephに診てもらうことになりました。


次のCTスキャンとアレルギー科の予約を、水曜日に取ってもらい今日の診察は終了です。