612.さくらのブログ (2006/11/16)

実は、昨年暇に任せて卒業した高校の同窓会サイト(のようなもの)を作っていたのですが、宣伝が十分でないためかほとんど利用してもらえませんでした。使い易さやデザインに問題があるのではないかと思い、このサイトで使っているMovableType以外のブログについて、少し調べてみようと思いました。


実際、同窓会サイトがアクセスされない理由は、コンテンツ自体にわざわざやって来て見るほどの魅力がないことだとは分かっているのですが、そこはサイト管理者の常套手段として、まずはブログをいじってみるというのが楽しそうではなかろうかと考えたわけです。(楽しんでどうする!)


前回ご紹介したBloggerを一通り試したのですが、いまいちしっくり来ないので、さくらのブログを試してみることにしました。このサイトは、さくらインターネットレンタルサーバーを使っているのですが、昨年からさくらのブログと称して、レンタルサーバー利用者に追加料金なしで使えるブログを提供しています。


シーサー(SeeSaa)のブログエンジンを採用していて、ブログ自体はレンタルサーバーとは別のディスクスペースに保管されます。画像などのアップロードするファイルだけを自分のサーバースペースに保管します。シーサーのブログはなかなか好評のようですので、試しに同窓会サイトを移管してみました。


なるほどうわさに違わず使い勝手も良く、Bloggerではできない機能が数多く搭載されています。例えば、投稿する時間を指定したり(予約投稿)、記事の掲載期間(Expiration)を指定したりできますし、メール投稿もカテゴリーごとに異なるメールアドレスに送信することによって可能です。


パスワードによる認証ができ、アクセス解析も内蔵され、コメントやトラックバックの承認メールを指定のメールアドレスに送信できるなど、一通りのブログの機能がそろっていて、その設定方法も比較的分かりやすいように思いました。テンプレートの選択とそのレイアウトの編集が、デザイン・コンテンツ・メニューで容易に行えるところも優れています。


また、MovableType形式のログファイルからインポートすることができるため、ブログの移転がスムーズに行えます。既存のサイトをインポートしてみると、設定されたカテゴリーも含めて完璧に再現できました。


若干、記事カウンターが反映されるまでにタイムラグを感じますが、サーバーの負荷を分散させるための仕様によるものらしく、あまり気にしないようにするしかなさそうです。


今回試したのはさくらインターネットのユーザーに限られたサービスですが、さくらのブログとは別に、シーサーが同じ機能のブログをホスティングサービスとともに無料で提供しています。(こちらのほうがオリジナルですが。) ただ、サーバーのレスポンスが悪いという話があちこちであるようです。


さくらのブログはその点、レスポンスは十分に早いですし、基本的にブログのテキストスペースは無制限です。さくらインターネットのレンタルサーバーは、一番安いものでは年額1500円で300MBのスペース付きですから、ブログとメールアドレスのためだけに利用するのも良いかもしれません。


ところでさくらのブログには、さくらインターネットで使用するドメインやサブドメインで、ブログにアクセスできるようにする機能があるのですが、これを使うとそのドメインではメールアドレスが使えなくなるそうです。そのサイトに関するメールは、できれば同じドメインでのメールアドレスを使いたいところですから、少し残念であります。


さて、同窓会サイトを移転するのは、Bloggerかさくらのブログか、どちらにしましょうかな。悩み多き若き中年はつらいですな。(そもそもアクセスがないのだから、何をやっても無駄ではないのか?)

611.Google Blogger Betaバージョン (2006/11/14)

どちらかと言うと、奇抜な新機能の登場に目を奪われがちなGoogleですが、既存のサービスの強化にも注目すべきものがあるようです。今回は、Betaバージョンが提供されたGoogle Bloggerを試してみましたので、少しご報告させていただきます。


BloggerはGoogleが提供する、ホスティングを含むBlogサービスです。シンプルなインターフェースや標準テンプレートを利用することによって、基本的なセットアップが3分で終了し、すぐに投稿が開始できることを特徴としています。


ただ、あまりにもセットアップをすばやくするために機能が限定されており、他のBlogツールが機能を拡張していく中で、対応されていない機能が目立ってきていました。


面白いのは、これが単にBloggerに欠点になっただけでなく、活発な開発コミュニティーが作成したアドオンを使った機能追加が、Bloggerを使いこなすための楽しみ方を提供していたことです。シンプルなインターフェースをそのまま使用して手軽にBlogwo始めようとするユーザーと,、アドオンを探し回って高機能を追加していく上級ユーザーによって、Bloggerは支持されてきたように思います。


例えばアーカイブをカテゴリーで行うためのアドオンに関しても、さまざまな試行がなされ、どのアドオンを導入するかがBloggerの使いこなしの楽しみでもあったわけです。


今回のBlogger Betaバージョンは、まだ完全にこれまでのバージョンを置き換えるものではなく、アップグレードが可能なのはBloggerにある既存サイトの一部に限定されています。このあたりがBetaバージョンと謳っている所以でしょう。ただし、新規Blogを構築する場合は、最初からBetaバージョンで作成することが可能です。


Betaバージョンで新たに追加された機能は以下のものです。


1.動的配信システム


これまでは投稿や編集の度に再構築していましたから、頻繁に変更する場合はかなり時間を消費していました。動的配信によって、サイトが参照されたときに動的に再構築されますから、Blogのメインテナンスにおける作業時間を短縮することができます。


ただしこの機能は、Bloggerのホスティングサービスを利用している場合にのみ可能になり、FTPによって別のサーバーに転送する場合は、これまでと同じように静的に再構築を行わなければなりません。


また、新しく導入されたテンプレートの編集機能は動的再構築にしか対応していないため、FTP転送を使う場合はこの機能を使うことはできないようです。Googleでは、今後もFTPによるサーバーへの転送をサポートし続けるようですが、新しい機能を十分に発揮するためには、Googleによるホスティングを薦めているようです。


2.アクセスコントロール


特定のユーザーにのみサイトを参照できるようにすることができるようになりました。Betaバージョンでは、これまでのようにBloggerアカウントを使うのではなく、メールアドレスを登録するGoogleアカウントを使うようになりました。アクセスコントロールは、Googleアカウントを利用して参照を制限します。


ユーザーは、アクセスコントロールされたサイトを参照するときには、Googleアカウントにログインしなければなりません。ユーザーをGoogleアカウントを持った人だけに限定するため、この機能は少し使いにくいかもしれません。


3.ラベル


カテゴリー・アーカイブに相当するのが、ラベルと言う機能です。投稿する際に複数のラベルを指定することができ、月や週ごとのアーカイブとは別に、ラベルごとのアーカイブファイルが作成されます。


これまではカテゴリーによるアーカイブを作成するのに苦労してきましたから、この機能を待っていたユーザーは多いのではないでしょうか?アーカイブは時系列に並んでいればそれで十分という人も多いでしょうが、カテゴリーで分類したいユーザーにとってはありがたい機能と思われます。


ただし、FTPを使って静的に再構築されたファイルをサーバーに転送している場合は、ラベルリストをサイドバーに表示することができないようです。ラベル自体は機能しているのですが、ウィジットとしてサポートされているテンプレートタグが、新しいテンプレート形式にしか対応していません。


海外サイトを見ていると、ラベルリストを静的な再構築環境で実現しようと試行錯誤しているようですが、今のところ目立った成果はないようです。投稿が増えてきたときに同じラベルの投稿をうまく整理する方法は今後のカスタマイズに頼るしかないのでしょう。





その他、サイトフィードのオプションが増えていたり、管理画面が改善されていたりと、Bloggerを魅力的なものにする変更が加えられています。Bloggerは、本当に3分で投稿が開始できるBlogが作れますから、一度新しい機能をお試しになってみてはいかがでしょうか?


Googleが提供する別のサービスであるGoogle GroupにもBetaバージョンが提供され始めました。Googleが提供するすべての機能を、ひとつのGoogleアカウントから利用することによって、複数の機能の相乗効果を狙っているようです。


Bloggerには今後も新機能が登場するそうですし、Goolge Labsには紹介されていない新しい機能がたくさんあるようです。Googleの進化はまだまだ続きそうです。

610.ぐるっと回って何回転? (2006/11/11)

久しぶりに算数の問題です。あなたなら何と答えますか?


問題


(1)半径2センチメートルと10センチメートルの、大小2つの円があります。今、大きい方の円を固定して、その外周に小さい方の円を、すべらないように接しながら大きい円の周りを1周させたとしたら、元の位置に戻るまでに何回転するでしょうか?


(2) (1)と同じ円において、大きい方の円を固定して、小さい方の円を大きい円に内接するようにしてすべらないように1周させたとしたら、元の位置に戻るまでに何回転するでしょうか?


半径の比が1:5ですから、円周の比も1:5になります。ですから大きい円の周りを1周回る間に、小さい円は5回転するはずですから答えは「5回転」


(2)も、外接しようが内接しようが円周の長さに変わりがあるはずもないので、「5回転」


そりゃそうでしょう、ピッタリ円と円が滑らずに円周を寄り添いながら回転するのですから、円周の長さだけを考えていれば良い筈です。


(でも、外接と内接が同じ答えではいけないような気もするな。しかも、これでは小学校6年の問題にしては簡単すぎるか?)


少し不安を感じながらもこれで合っているに違いないと解答を見てみると、


(1) 6回転

(2) 4回転


とな。


「うーむ!」 


思わず唸りましたね。「何なんだ! このテーブルマジックは! トリックがわからん!」 (別にマジックではないですが。)


しばらく悩んで思い出したのは、月の自転でした。月は地球の周りを公転する間に1回自転をするために、地球からはいつも同じ部分が見えています。地球から見ていると、月は自転していないように見えますが、実際は1自転していると言うのと同じ原理です。


大きい円の外周を回るときは同じ回転方向に1回多くなり、内接する場合は1回少なくなるのです。


「やってくれたな」と苦笑いでごまかしながら、またカッコ悪いお父さんを演じなければならないのでした。

609.クレジットカードによる国際電話にご用心(その2) (2006/11/01)

先日のクレジットカードによる国際電話の話の続きです。あれからいろいろとインターネットを検索していたのですが、いくつか発見がありましたのでここにまとめてみたいと思います。


USのサイトにおいては、この問題は既に「詐欺」(scam)事件として扱われています。しかし、残念ながら日本にはこれらの苦情を専門に扱うサイトがないため、先日もご紹介した一部の海外旅行関連のサイトの掲示板や、個人サイトのコメントとして掲載された情報が参照できるに留まっています。


この問題は、国際電話の発信国、つまり旅行者が滞在し国際電話をかけようとした国・地域が、世界中に広がっていることです。2005年から被害が報告されているようですが、問題が解決されるどころか一気に全世界の公衆電話に広まってしまったようです。


海外で詐欺に会う場合、本人の不注意が原因であると片づけられることが多いのですが、今回の"BBG Communications""INFONAA"ならびに"INFONW"というUSに存在する企業が絡む事件は、十分注意していても引っかかる恐れがあります。


NTTコミュニケーションズが提供する「国際クレジットカード通話」は、海外から専用のアクセス番号を入力することによってNTTコミュニケーションズに接続し、その後クレジットカード番号を入力することによって、安く国際電話を海外からかけることが出来るサービスです。


しかしNTTコミュニケーションズのサイトに書かれた情報によると、海外の一部の電話から利用した場合、途中から自動的に他社のサービスに強制的に接続されてしまい、高い通話料金を請求されるという事件が報告されているそうです。NTTコミュニケーションズの正規のサービスと同様に、日本語のガイダンスが流れるため、別の電話会社のサービスに切り替わっていることに気付かないようです。


同様に、KDDIのサービス「スーパージャパンダイレクト」を、海外の一部公衆電話から利用すると、他社のサービスに強制的に接続される場合があるようです。


KDDIのサイトには、「KDDIスーパージャパンダイレクトご利用に関するご注意」という警告があります。「こちらはKDDIです。カード番号とシャープをどうぞ」というアナウンス聞き逃さず確認するよう呼びかけています。


ただ、さすがにここまで被害が広がって来ましたから、いくつか対策を講じる動きが出てきているようです。


スイスの政府機関である"The Swiss Federal Communications Office"は、法外な国際電話料金をユーザーに課してきた"BBG Communications"に対し、スイス国内の電話回線に接続する事を禁止したそうです。観光が重要な資源であるスイスにとって、観光客が国内で詐欺に遭うのを見過ごす訳にはいかなかったのでしょう。


また、日本のクレジットカード会社のうち、一部ではすでに全額返金に応じ始めているそうです。(顧客重視のクレジットカード会社か?)私が確認した別のクレジットカード会社では、国際業務部でこのような国際電話のクレジット請求が以前から頻発しており、それが異常に高い電話代であることをすでに認識していたそうです。


犯人が誰だか分からないスキミングと違って、クレジットカード会社はこの国際電話の会社と契約しているのですから、その振る舞いにはクレジットカード会社は相当の責任を持つ必要があると思います。さもなければ、クレジットカード会社自体の信用(クレジット)が危うくなります。


このクレジット国際電話詐欺事件が、一刻も早く収束することを願っております。(他人事のように言っている場合ではありません。)