65万円 × 1 = 65万円
1円 × 65万 = 65万円
小学校で習った交換法則は、掛け算や足し算では成り立つことになっています。ただし、これは「算数」の時間だけのこと。「社会」の時間では、次のようなことが実際に起こります。
65万円 × 1 = 65万円
1円 × 65万 = 数百億円
一体最終的な損失がいくらになるのか、よく判らない状態になっています。簡単な入力ミスだからこそ、日常的に起こりうる可能性が高いといえます。警告が表示されてもいつもの事と全く無視してしまい、間髪入れずに実行キーを押してしまって失敗したことは、誰しも経験したことがあると思います。私も何回ディスクの中身を消し去って、リカバリーに時間を費やしてきたことか。
ましてやすぐに気付いて取り消そうと必死にしがみつくも、一向にコマンドを受け付けない時の焦りようは、大変なものだったに違いありません。
ニュースによると、多くの担当者が株の売買での入力ミスを経験しているそうです。今回のケースでは初めて上場された会社だったために、通常の取り消し作業ができなかったと言われています。数億円で済んだはずの被害が、数百億円に膨れ上がってしまった事で、非常に大きな問題になってしまいました。
今回は、市場に実際に流通している株数を大幅に超えた売り注文が出てしまった訳ですが、大量に買っている側に大手証券会社が名前を連ねているのは、如何なものでしょうか。
証券会社は、購入した株数が流通している株数を大きく超えているのですから、何らかの手違いがあったことは容易に想像ができるはずです。しかも、システムの不備によって取り消しができなかったことが判ってきた以上、当然のようにその利益に与ろうとする姿勢には疑問を感じます。
これは証券会社の社会的信頼性に関わる事件なのですから、業界を挙げて二度と同じ過ちが起きないように、システムやオペレーションを改善していくことに、力を合わせて行くべきではないでしょうか。