513.京都・大阪間電車競争 (2005/06/14)

もう30年近く前になるでしょうか。当時、国鉄新快速は、京都から大阪まで32分ぐらいで走っていたと思います。現在の130Kmで突っ走る新快速でも29分掛かりますから、相当速かったと言えるでしょう。


もっとも今は高槻と新大阪に停車しますが、当時は京都・大阪間はノンストップでしたから、速度的には今より遅かったのでしょうが、それでも、同じ区間をノンストップで走る特急列車を、途中で追い抜いてしまう程でした。「特急料金を払っている列車を追い越すとは何事だ!」と、問題になったこともありました。


一方、迎え撃つ阪急京阪もスピード競争の真っ只中でした。しかし、停車駅が多いこともあり、京都・大阪のそれぞれのターミナル駅まで、36分から40分と言ったところでした。


ダイヤだけを見れば、国鉄が一番速いのははっきりしています。しかし、出発地点と目的地によっては、どの鉄道を使うのが一番早いか判らないものです。


各鉄道間のスピード競争の激しさが増す中、ある鉄道関係の雑誌では、ひとつの実験をすることにしました。実際にある出発地点からそれぞれの鉄道を使って目的地に向かい、どの鉄道が一番先に着くかを競争したのです。


スタートを正午とし、出発地点は京都市役所、目的地は大阪市役所でした。


京都市役所は、一番繁華な河原町三条・四条のすぐ北にあり、京阪の三条駅まで徒歩7分、阪急の河原町駅まで徒歩10分の距離にあります。一方、国鉄京都駅まではバスに乗らなければならず、30分以上は覚悟しなければなりませんでした。


また、大阪市役所は淀屋橋にあり、京阪淀屋橋駅からはすぐのところにありますが、国鉄と阪急は、地下鉄御堂筋線を一駅乗らなければなりません。


3人の雑誌スタッフが、正午ちょうどに京都市役所前をスタートして、それぞれの駅から電車に乗り、大阪市役所前で再び集合したのですが、果たしてどのルートが一番早かったのでしょうか?


結果は、阪急が一番早く、次に京阪、最後は国鉄だったと思います。一番有利だと思われた京阪は、ダイヤの関係で出発駅での待ち時間が長かった為に、2位止まりになったようです。また、全体としてはどのルートでもそれ程大きな差がなく、1位と3位の差は10数分だったと思います。


さて、あれから30年近く経った今、同じ競争をすればどうなるでしょうか?「ジョルダンの乗り換え案内」で京都市役所から大阪市役所をシミュレートしてみました。各市役所の最寄りの地下鉄駅まで、徒歩5分とした結果は次の通りでした。



  1. 京阪 13:07到着
  2. JR 13:14到着
  3. 阪急 13:18到着

今回は阪急の始発駅での待ち時間が長くなってしまい、不利になってしまいました。JRが2位に食い込んだのは、車両の高速化もさることながら、京都市地下鉄が開通したおかげで、JR京都駅までの時間が大幅に短縮された効果が大きいようです。


目的地に早く到着することは、交通機関にとって大切なことですが、それ以外にも駅の利便性駅構内の移動のしやすさ運行の定時性車内の快適さリーズナブルな運賃など、鉄道を選ぶ上で重要な要素はいくつかあります。


車両の高速化だけに目を奪われるのではなく、鉄道システム全体の調和を取りながら進歩することによって、安全で快適な交通システムを目指してもらいたいものです。