大阪の朝日放送の番組に「探偵ナイトスクープ」と言うのがあります。視聴者からの依頼で調査するというもので、大概はくだらない内容が多いのですが、時としてこの番組以外ではでしか見ることの出来ない、貴重なテーマがあったりもするのです。
その番組の先々週の放送で、「カラーテレビを直すのに水をぶっかける」というのがありました。実際はもう少し込み入った依頼だったのですが、要はテレビを水を掛けて直す人がいるらしいので、その真偽を調査して欲しいという依頼です。
とある家庭に、見ているうちに色がだんだん薄くなってきて、最後は白黒になってしまうというカラーテレビがあり、そこに、テレビを水を掛けるだけで直すという、職人風のおじさんが登場します。
テレビの症状を確認するのですが、確かに電源を入れてから数分すると画面全体から色がなくなり、白黒の状態になってしまうようです。
おじさんは、テレビを駐車場の広いところに持っていくやいなや、テレビのカバーを取り去り、ホースでむき出しになったテレビに水をかけ始めました。そして今度は、スプレー式の洗浄液をまんべんなく掛けて、ブラシでゴシゴシこすり出すではありませんか。まさに自動車の洗車をしているようです。
一通り洗浄が終わると、そのまま乾燥するために屋外に放置しています。「3,4時間もあれば大丈夫でしょう」などと言いながら余裕の構えです。先ほどからかなり危険な感じが漂っています。
さて、十分乾いた頃でしょうとテレビのカバーを取り付けて、元の部屋の中にセットします。電源を入れてみると火花こそ散りませんが、画面全体がボヤーとピンぼけのようです。しかし、しばらくするとだんだんはっきり映るようになり、最後には完全な状態に戻ったのです。
これには驚きました。電子部品が水に弱いのは常識のように考えていましたから、駄目になることはあっても直ることはないと高をくくっていました。特にカラーテレビは高電圧が掛かっている部品がありますから、水は御法度だと思っていました。
以前会社のディスプレーに水が掛かって内部で火花が散り、お釈迦にしたことがありましたから、てっきり電源を入れた途端火花が散って、煙が立ち上がると予想していたのです。
実はこのおじさんは、リサイクルショップの人だったそうで、いつもこのような中古のテレビを水を掛けて直しているのだそうです。
そう言えばかなり昔になりますが、無線関係の雑誌に紹介されていた記事を思い出しました。電子機器が水に濡れて使えなくなったときは、まず電源を外し、アルコールなどの揮発性が高く、部品を腐食しない液体にどっぷり浸けてから、すぐに乾かせば良いのだそうです。
電子部品が水分に弱いのは、錆によって接触が悪くなる場合がほとんどですから、錆びる前に水分を飛ばしてしまえば良いわけです。ただし、モーターによって可動する部分がある場合は、水が入ることによって動きが悪くなる可能性が高いですから、無理かも知れません。
パームや携帯電話は外に持ち歩く事が多いので、水が掛かって故障する危険性が高いものです。もし、不幸にも水没した場合は焦らず、まずアルコール漬けにしてから天日干しをすると、意外と助かることもあるかも知れません。
ただし、あくまで自己責任でお願いします。