331.「太陽は地球の周りを回っている」 (2004/04/12)

春分の日も過ぎて3週間も経つと、日照時間が長くなってきた事を実感します。私が愛用する"Earth&Sun"によりますと、昼の長さがほとんど13時間に迫ってきています。春分の日がおよそ12時間でしたから3週間ばかりで1時間延びたことになります。


秋は「つるべ落とし」と言いますが、春分・秋分の頃が一番昼の長さの日々の変化が大きいようです。もうすっかり暑さを感じるような陽気になって参りました。


読売新聞 (Yomiuri On Line)のサイエンス欄に、「太陽は地球の周りを回っている」と題して、国立天文台の先生が小学生に行った調査の結果が掲載されています。


調査対象があまり多くないため、小学生全体に当てはまるかどうか疑問がありますが、予想以上に天文知識の欠如が見られたそうです。


例えば、「地球は太陽のまわりを回っている」「太陽は地球のまわりを回っている」のどちらが正しいかを選ぶ問題では、41%が後者の天動説を選んだそうです。


また、別の地域の小学生に行った調査では、「月の形が毎日変わるのはなぜか?」と言う問いに対して、「地球から見て月と太陽の位置関係が変わるから」と言う正解は49%しかなかったそうです。


「月が地球のかげに入るから」が最も多い誤りだったそうですが、「いろいろな形の月があるから」と言うのもあったそうです。それはそれで直感的で面白いかもしれません。


学校の理科の時間が以前に比べて減ってきていますし、理科の授業で習って正しい答えを知っていたとしても、単に教え込まれただけの知識ではあまり意味がないかもしれません。


ただ小学生が「天動説」に傾いているのが、自分を中心に世界が回っていると思い込む、自己中心的な考え方が蔓延した結果でないことを願いたいものです。

217.小数点記号論争 (2003/10/10)

asahi.comに、“「,」か「.」か、小数点記号論争にピリオド?”と言う記事が掲載されています。数字で小数点を書く場合、ピリオド「.」にするか、カンマ「,」にするか、国際的に統一しようという国際度量衡総会が、パリで13日から開催されると言うのです。英語圏の国ではピリオドを使い、それ以外の国ではコンマを用いるそうですが、日本では英語式にピリオドを使っています。


パームの環境設定書式を選択すると、国ごとに違った表記を使っていることが分かります。確かにピリオドではなく、コンマを使っている国が多いことに気づきます。


ただ日本でも、「1.23」を読み上げるときは「1コンマ23」と言いますから、それほどピリオドかコンマか意識してこなかったのではないでしょうか?しかし、急に本当のコンマを使うようになったら混乱は避けられないと思います。特に、位取りの記号は、小数点がピリオドならコンマを、小数点がコンマならピリオドを使いますから、混乱を招きます。

数字の大きさが予め見当がつく場合はいいかもしれませんが、1.234が1,234になってしまうと、解釈に悩みます。新聞の統計などで、下のほうに「単位百万円」などと注釈があるとお手上げです。


今統一しようとしているのは、英語表記の場合のみで、その他の言語の場合は統一する必要はないとのことですが、言葉によって数字の表記を変えるのもややこしいですから、いずれは国際標準となると予想されているようです。各国はこれまで採用してきた自国の表記が、国際的にも標準になるように期待するわけですが、勢力が均衡しておりどちらが採用されるかは微妙なところだそうです。


ソフトウェアで数字を読み取る場合、小数点と位取りの両方を使った数字の場合(123、456.7 と 123.456、7)は、小数点として何を使っているかがわかりますが、一方しかない場合(1.234 と 1,234)は雰囲気で判断するしかありません。新しく標準が制定されても、過渡期には両方使われるでしょうから、ソフトウェア側で判断できるようにしなければならないでしょう。


また海外のニュースや文献を日本語に翻訳している人にとっては、小数点の読み間違いは許されないでしょう。


もしコンマに統一されて、英語表示の場合はコンマを使わなければならなくなっても、国内で使うだけならピリオドが小数点として使われ続けるでしょうから、それほど大きな不便を感じることはないかも知れません。さて、どちらに軍配が上がりますか、注目してみたいと思います。

190.間違った計算はただの落書きである (2003/09/07)

「188.偶然は小説より奇なり」に於きまして、計算の間違いがあるというご指摘K様より頂きました。どうもありがとうございました。188の雑記に打ち消し線注釈を付けさせていただき、ここに再度根性を入れ直して計算をやり直させて頂きます。


まず、過ちの原点は何事に付けても同様であるわけですが、全体を見渡すことを忘れていたことであります。つまり、どのような事象の集合体が100%であるかを捉えていなかった、と言うことです。その為、1より大きい数字確率と思い込んでしまいました。どうも確率期待値がごっちゃになっていたようです。


ではやり直してみます。30人のクラスの場合で、少なくとも1組の同じ誕生日の生徒がいる確率を求めます。


最初に1組も誕生日が他の生徒と重ならない確率を求めていきます。1人目は誕生日がいずれの日であっても他と重なることはないですから、365日の内365日が該当し、365分の365の確率になります。


2人目は、1人目と重ならないようにするには、1人目の誕生日以外の364日のいずれかでなければなりませんから、365分の364の確率になります。以下順に確率を求めると、3人目は365分の363、4人目は365分の362と言うように、30人目は365分の336になります。


1組もいない確率は、これらが同時に起こらなければなりませんから、


365/365 x 364/365 x 363/365 x …. x 336/365
= (365!/335!)/36530 = 約0.3


今求めるのは、1組も同じ誕生日の生徒がいない事象の余事象になりますから、100%から約30%を引いた約70%が、少なくとも1組の同じ誕生日の生徒がいる確率になります。10クラスあれば、7クラスに同じ誕生日の生徒がいる確率だと言うことです。


先ほどご指摘を頂いたK様は、40人クラスの時の計算では約90%の確率で、少なくとも1組の同じ誕生日の生徒がいると計算してくださいました。この場合は、10クラスあれば9クラスにいることになり、かなり高い確率だと言えるでしょう。


実は、この話は10数年前に、数理何とかと言う数学系の雑誌のコラムに掲載されていたものです。印象に残っていて思い出して書いてみたものですから、いい加減な計算になってしまい申し訳ありませんでした。その雑誌には、ちゃんとした計算が書かれていたと思うのですが、高い確率で同じ誕生日の生徒がいると言う結論だけが、印象に残っていたのでした。


改めてこのような計算は、基本をしっかりと押さえておかないと、誤りを誘発してしまうことを感じました。また、ご指摘を頂いたK様には、重ねて感謝致します。どうもありがとうございました。

188.偶然は小説より奇なり (2003/09/05)

6万年に一度の大接近は、もうご覧になりましたか?すでにブームは去ったと言う方も多いとは思いますが、せっかく6万年ぶりに接近してくれたのですから、火星を間近で見られる内に、一度見ておいては如何でしょうか?


6万年に1度と言えば、西暦元年より遙か昔、キリスト様も見たことがない火星の姿を私達が見ることが出来るなんて、何とロマンチックなことでしょう!


ただ、少し気になるのは、つい最近も何百年に一度の異常接近があったり、何千年に一度の大星雲が見えたり、珍しいことが最近は多いなと思われていたりするのではないでしょうか。私はラッキーな星に生まれていると楽観的に考えるのも良いのですが、ここはもう少し突っ込んで考えてみましょう。


サイコロを6回振ると、1から6までの数字が出る確率はそれぞれ1/6ですから、1から6までがそれぞれ1回ずつ出ることを期待してしまいます。もし、同じ数字が6回の内3回とか4回出たら、サイコロに細工がしてあるのではと勘ぐってしまいます。


Cの乱数を発生させるrand関数を使って、サイコロと同じように1から6までの整数を6つ並べることを繰り返すと、同じ数字が6回の内3、4回固まって出ることは珍しくありません。5回ぐらいの内1回ぐらいはある数字が明らかに固まって出てきます。乱数と言うからには、バラバラな数字が出ることを期待してしまいますが、かえってバラバラになることは稀なようです。


さらに6回サイコロを振って、1から6までが1回ずつ出ることはほとんどありません。同じ数字が続けて出ることよりも、すべて違う数字が出ることの方が珍しいことのようです。


小学校のクラスの中で、誕生日が同じ子供がいたら、365分の1の確率だから珍しいと思ってしまいますが、実際はクラスに1組は誕生日が同じ生徒がいる計算になるそうです。


*注釈*

以下の計算に誤りがあるとのご指摘を頂きました。再度計算を行い、190の雑記に記載しておりますので、そちらをご参照くださいますようにお願いいたします。

今、30人のクラスの1人目の子供の誕生日が決まれば、2人目が同じ誕生日になるのは、365分の1の確率です。(実際はそれぞれの誕生日の組み合わせは、全部で3652あり、一致する誕生日の場合は365通りありますから、365/3652で365分の1と計算することが出来ます。)


3人目が1人目と2人目の誕生日と一致するのは、365分の2になります。以下同様に30人目がそれまでの29人の誰かに一致するのは365分の29になります。


それぞれの事象は独立していますから、それぞれの確率は足すことが出来、


1/365 + 2/365 + 3/365 + … + 29/365 = 435/365
= 約1.19


となり、クラスに1組同じ誕生日の生徒がいることになります。これは30人のクラスの場合ですから、クラスの人数が増えればさらに確率は高くなっていきます。


本人たちは誕生日が同じと言うことで、何か運命的なものを感じてしまうのですが、クラス毎にそのようなペアが1組ずついても不思議ではないのです。


そう考えると、6万年に1度の大接近も、それ自体は珍しいとしても、同じような事象がごまんとある(イヤもっとあるはず)のですから、珍しいことが次々に起こっても不思議ではありません。


ただ、サイコロを6回振ってすべて同じ数字だった場合は、7776回に1度しか起こらないことですから、車にぶつからないように気をつけた方がよいかもしれません。

163.百マス計算と入学試験 (2003/08/05)

計算力が、基本的な学力として重要であると言う事に対して、それが全てではないにしても、重要である事は間違いないでしょう。昔から「読み・書き・そろばん」と言われてきました。


特に、計算は個人的な能力の差はあるにしても、やればやっただけ力が付きますから、学習して上達する喜びを感じたり、学習の習慣を付けさせたりするのに、都合が良いようです。


確かに、最初に考案された先生は、計算力の向上の目的ではなく、むしろ特定の生徒に学習の習慣を付けさせる為に利用されていたようです。もし、世間で言われているように、大学受験における学力の向上が認められたとすれば、計算力の向上によるものではなく、学習の習慣を付ける事学習に喜びを感じる事が大きいのではないかと思うのです。


ところで、計算ドリルと称して、計算をいやと言うほどやらされた思い出は、誰にでもあると思います。計算の練習をするだけなら、別に百マス計算が特別優れているとは思えません。特に、1列に渡り同じ数字に対する計算をすることは、ランダムな組み合わせの計算より楽にできますから、練習としても良いとは思えません。


では、百マス計算の利点は何かと言うと、先生が楽なのです。例えば、2×3のような計算問題を100個作るには、数字を200個と演算子を100個書かなければなりません(=は生徒が書くとして)。ところが、百マス計算なら、数字を20個と演算子を1個で良いのです。どう考えても、作る側に立ったデザインであると言えるでしょう。


百マス計算を実際やってみると、右下の方になってくると、多くの数が用紙全面にひしめき合い、その中をどの数字とどの数字を次の計算で使うかを、目を上下左右に動かして捜さなければなりません。視力が低下するのではないかと思います。


もちろん先生の負担を軽減して、その結果多くの練習問題を無理なくこなす事ができるのなら、それはそれで良いのですが、表計算ソフトで全ての問題を丁寧に作るほうが、私は良い様に思います。また、答え合わせを効率よくやる方法を考えられている先生もおられるように、いろいろな方法が可能な訳ですから、百マス計算のこだわらずにどんどん新しい知恵を出して、すばらしい学習方法を開発して頂きたい物です。


ある、関西の有名私立中学校の入学試験に、次のような問題が出題されました。


いま、3つの正方形があり、それぞれ1辺が13センチメートル、12センチメートル、1センチメートルである。これら3つの正方形の面積の合計と等しい面積を持つ、円の半径を求めよ。ただし、円周率は3.14を使う事。


何か面白い結果が出てくるのではないかと期待させるような問題ですが、出てきた答えは採点を楽にする事しか考えられていない様に思います。もっと何か算数とか計算の持つ楽しさ不思議さを表現した愛情のこもった入学試験問題を考える事はできないのでしょうか?