188.偶然は小説より奇なり (2003/09/05)

6万年に一度の大接近は、もうご覧になりましたか?すでにブームは去ったと言う方も多いとは思いますが、せっかく6万年ぶりに接近してくれたのですから、火星を間近で見られる内に、一度見ておいては如何でしょうか?


6万年に1度と言えば、西暦元年より遙か昔、キリスト様も見たことがない火星の姿を私達が見ることが出来るなんて、何とロマンチックなことでしょう!


ただ、少し気になるのは、つい最近も何百年に一度の異常接近があったり、何千年に一度の大星雲が見えたり、珍しいことが最近は多いなと思われていたりするのではないでしょうか。私はラッキーな星に生まれていると楽観的に考えるのも良いのですが、ここはもう少し突っ込んで考えてみましょう。


サイコロを6回振ると、1から6までの数字が出る確率はそれぞれ1/6ですから、1から6までがそれぞれ1回ずつ出ることを期待してしまいます。もし、同じ数字が6回の内3回とか4回出たら、サイコロに細工がしてあるのではと勘ぐってしまいます。


Cの乱数を発生させるrand関数を使って、サイコロと同じように1から6までの整数を6つ並べることを繰り返すと、同じ数字が6回の内3、4回固まって出ることは珍しくありません。5回ぐらいの内1回ぐらいはある数字が明らかに固まって出てきます。乱数と言うからには、バラバラな数字が出ることを期待してしまいますが、かえってバラバラになることは稀なようです。


さらに6回サイコロを振って、1から6までが1回ずつ出ることはほとんどありません。同じ数字が続けて出ることよりも、すべて違う数字が出ることの方が珍しいことのようです。


小学校のクラスの中で、誕生日が同じ子供がいたら、365分の1の確率だから珍しいと思ってしまいますが、実際はクラスに1組は誕生日が同じ生徒がいる計算になるそうです。


*注釈*

以下の計算に誤りがあるとのご指摘を頂きました。再度計算を行い、190の雑記に記載しておりますので、そちらをご参照くださいますようにお願いいたします。

今、30人のクラスの1人目の子供の誕生日が決まれば、2人目が同じ誕生日になるのは、365分の1の確率です。(実際はそれぞれの誕生日の組み合わせは、全部で3652あり、一致する誕生日の場合は365通りありますから、365/3652で365分の1と計算することが出来ます。)


3人目が1人目と2人目の誕生日と一致するのは、365分の2になります。以下同様に30人目がそれまでの29人の誰かに一致するのは365分の29になります。


それぞれの事象は独立していますから、それぞれの確率は足すことが出来、


1/365 + 2/365 + 3/365 + … + 29/365 = 435/365
= 約1.19


となり、クラスに1組同じ誕生日の生徒がいることになります。これは30人のクラスの場合ですから、クラスの人数が増えればさらに確率は高くなっていきます。


本人たちは誕生日が同じと言うことで、何か運命的なものを感じてしまうのですが、クラス毎にそのようなペアが1組ずついても不思議ではないのです。


そう考えると、6万年に1度の大接近も、それ自体は珍しいとしても、同じような事象がごまんとある(イヤもっとあるはず)のですから、珍しいことが次々に起こっても不思議ではありません。


ただ、サイコロを6回振ってすべて同じ数字だった場合は、7776回に1度しか起こらないことですから、車にぶつからないように気をつけた方がよいかもしれません。