353.「小数点記号論争」の結果 (2004/06/21)

もうだいぶ前になりますが、「217.小数点記号論争 (2003/10/10)」で紹介した小数点の付け方の話題を覚えておられるでしょうか?その後、結果がどうなったか気にはなっていたのですが、ほったらかしにしておりました。遅ればせながらご紹介したいと思います。


小数点の付け方には、ピリオド(dot)「.」を使う国と、コンマ「,」を使う国があり、国際的な商取引や学会等で混乱を引き起こす可能性があるので、どちらかに統一を図ろうと言うものでした。


ピリオドを使う国には、日本を始め、中国、韓国、英国、米国などがあり、コンマを使う国にはフランス、ドイツなど、ヨーロッパを中心に多くの国があります。


パームでも環境設定書式を選択しますが、国ごとにどちらを採用しているかを知ることができます。


一般に小数点にピリオドを使う国では3桁ごとの位取りにコンマを使い、小数点にコンマを使う国では反対に位取りにピリオドを使うため、さらに混乱に拍車を掛けることになります。


例えば、小数で「1.23」「1,23」は間違えにくいでしょうが、「1.234」「1,234」では、小数点なのか3桁ごとの位取りなのかがこれだけでは解らなくなってしまいます。


また、「1,234.567」「1.234,567」となってくると、もうどうでも良いように思えてきます。


各国が使い慣れた方法を国際標準に採用してもらうよう働きかけたようですが、さて結果はどうなったのでしょうか?


第22回国際度量衡総会において決議されたという内容を要約すると、次のようになります。



  1. 小数点に使う記号は、ピリオドでもコンマでもどちらを使っても良い。
  2. 数字を読みやすくするために3桁ごとに数字を区切る場合、それらを分けるスペースには、ピリオドもコンマも挿入することはできない。

つまり、現状小数点としてピリオドもコンマも同様に世界中で広く用いられているため、どちらか一方に決めることはせず、同一文章中において統一されていれば、どちらを使っても構わないと言うことです。


また、3桁ごとに数字を区切ることは許されるが、スペースのみによって分け、ピリオドもコンマも使用してはならないとしています。


この3桁ごとに分ける方法は、既に1948年の会議で決められていたことの再確認をしたと言うことだそうです。


数字の間に挟むことができるのは、小数点としてのピリオドかコンマだけで、3桁ごとに分ける場合は、はるか昔からブランクに決まっていたようです。


ただ、1948年に決まっていたことを再確認するぐらいですから、定着していなかったのでしょう。たまに外国製のドキュメントで3桁ごとにブランクを入れた数字を見かけることがありますが、それほど多くの例があるとは思えません。


特にWEBワープロ・表計算ソフトなどにおいてブランクを挟んだ数字を扱えば、どこまでが一連の数字か判断できずに途中で改行が入ってしまったり、計算を間違えてしまうことも考えられます。


コンマやピリオドを使うことが小数点と混同する可能性があるなら、代わりにアンダースコアを使うのも良いかも知れません。


いずれにしても、長く使われてきた表し方を変えて行くのは、パームの普及と同じぐらい難しいのではないでしょうか?

337.秒速30万キロメートル4: それでも地球は回っている (2004/04/28)

確かに今、多くの小学生が天動説、すなわち地球の周りを太陽が回っていると信じていたら、自然科学の教育は一体どうなっているのだと思ってしまいます。「嘆かわしいことだ、そんな簡単なことさえ解っていないとは!」


しかし、大人にしても地動説がなぜ正しいかを正しく説明できる人は、少ないのではないでしょうか?ただ単に、事実であるように教わってきただけで、実験で確かめたわけでもありませんし、ロケットに乗って見てきたわけでもありません。


昔の人が長い間信じてきたのと同じように、現代の私達も、ただ目の前にある空を見ているだけでは、天動説が正しいのか地動説が正しいのか、よく分からないのではないでしょうか?


例えば小学生に、なぜ地球が太陽の周りを回っているのか説明して欲しいと言われて、すぐに答えが思いつく人がどのぐらいいるでしょうか?


そもそも、地動説コペルニクスによって唱えられたのは、16世紀になってからでした。それまでにも、航海で進路を決めるために不可欠の天文観測が発達していましたが、体系的に地動説を唱えるまでには至らなかったのです。


ガリレオの登場する17世紀には、天体望遠鏡が発明され、さらに詳しい天体の観測が行われるようになりました。しかし、太陽が中心になってその回りを地球などの惑星が廻っていると言うことを世間が認めるのには、さらに長い年月がかかったのです。


「それでも地球は動いている」、の言葉で有名なガリレオは、ピサの大聖堂の灯籠の揺れ方から振り子の等時性を発見しますが、同じ振り子を使って地球の自転を物理的に証明したのは、1851年フーコーによって行われた実験によるものとされています。


ところで、もし全ての天体が地球を中心にして、地球との引力によって引き合いながら、軌道上を1日1回、回っているとしたら、全ての天体の軌道が同じである必要があります。軌道とは、引力によって落ちていくと同時に、遠心力で外に飛ばされるのですから、同じ公転時間を保つには、同じ軌道上を同じ速度で移動していなければなりません。


ガリレオが、地動説を唱えていた頃、まだ天体がその相互間の引力によって、影響しあっていると言うことが知られていませんでした。すなわち、どのような法則で天体が動いているかが解っていなかったのです。


ガリレオが亡くなった同じ年(1642年)に、その意志を引き継ぐようにニュートンが生まれています。ニュートンが発見した万有引力の法則によって、初めて天体の動きを理論的に説明することができるようになったのです。


昨日の雑記で調べた地球から太陽までの距離を半径として、地球は365日かかって1周します。もし地球が自転せずに太陽が地球の周りを1日で公転するとすれば、とんでもなく早い速度で回らなければならず、軌道上にとどまることはできないでしょう。


「だから地球は回っている!」 地動説が確立するまでの道のりは、長く遠いものだったのです。


太陽が地球の周りを回っていると思っている子どもたちに、ただ「それは間違いで、地球の方が回っているんだ」、と答えだけを教え込むことより、先人たちが歩んだ科学の歴史を紐解いたり、振り子の動きからなぜ地球の自転が証明できるかを一緒に考えることが、必要なのではないでしょうか?

336.秒速30万キロメートル3: 太陽と地球 (2004/04/27)

成り行き上、トコトンまで理科が続いていきますが、もうしばらくご辛抱ください。


以前、331.「太陽は地球の周りを回っている」と言う雑記で、月の満ち欠けがなぜ起こるのか知らない小学生が多いと言う話を書きました。太陽に照らされた月が地球の周りを回ることによって、太陽の光を反射した部分が様々な形に見えるのですが、実際にはどのように太陽、地球、月が配置されているのでしょうか?


よく図鑑などで見た図を思い出すと、太陽がサッカーボールぐらいなら、地球はテニスボールぐらいで、月はピンポン玉より少し小さいぐらいでしょうか?


確かに、子ども科学館のようなところに行くと太陽系の模型があり、中心にある太陽から順番に、水星、金星、地球、火星等の公転軌道を示しています。太陽が一番大きいのは良いのですが、本当にその大きさで正しいのでしょうか?


最近はこの手の情報がインターネットに溢れていますから、すぐに調べることができます。



地球の赤道半径
6,378キロメートル
月の赤道半径
1,738キロメートル
太陽の赤道半径
1,400,000キロメートル
地球から太陽までの距離
平均149,600,000キロメートル

では、もし地球直径10センチメートルの円で描いたとしたら、2.7センチメートルですが、太陽はなんと21.9メートルにもなり、模型として同じ土俵に乗せるのは桁が違い過ぎるのが解ります。


さらに、地球から太陽までの距離約1.2キロメートルになります。これでは、運動場を使っても展示することはできなくなります。


あるいは、無理に屋内で展示するために、地球から太陽までの距離を10メートルとすると、太陽の直径は18センチメートルとなり展示可能ですが、地球の直径は0.8ミリメートルになってしまいます。これでは展示向きの模型が作りにくいわけです。


さて、地球から太陽までの距離はたいそう遠いのですが、それは1秒間に30万キロメートル、地球を7周り半の光をしても、かなり骨が折れるようです。


光の速さで8分20秒(500秒)かかると言いますから、地球の円周の7.5倍をさらに500倍しなければならないのです。


毎朝空を仰いで眺めているお天道様も、意外と近づき難い存在だったのですね。(サンダーバード3号以外は誰も近づかないと思いますが?)

335.秒速30万キロメートル2: 地球は丸かった (2004/04/26)

何となく「地球は青かった!」の間違いのような気もしますが、その昔は地球はお盆のように平たい物だと思われていた時代もあるそうですから、地球は丸いと感心したとしても不思議ではありません。、


丸いと言うよりは球体である訳ですが、では全くの歪みのない球体かと言えば、そうとは言えないと思うのです。例えば、エベレスト山などは8,850メートルもあるのですから、球体の上に突起が見えるはずです。


また、地球は自転の遠心力の影響で、極部分より赤道部分の方が40キロメートルも直径が長いそうです。


高校の時に読んだ岩波新書に、「地球を紙の上にできるだけ正確な形に書くにはどうしたらよいか?」という課題が載っていました。


取りあえずコンパスを使って、直径10センチメートルぐらいの円を書いてみるのですが、赤道部分を少し膨らまして、さらに山の突起を付け加えてみたりするわけです。


地球儀で精巧な物では、山や海溝がでこぼこになっている物がありますが、それを真似して、でこぼこを付けてから楕円にしてみるのです。


それでは、実際はどの程度地球はでこぼこしているのでしょうか? インターネットで調べると、地球の赤道半径は6,378キロメートル極半径は6,357キロメートルだそうです。直径に直すと、それぞれ12,756キロメートル、12,714キロメートルになります。


もし地球を直径10センチメートルの円として書いた場合、エベレスト山の高さは0.07ミリメートル、日本海溝も同じぐらいになるでしょう。


極と赤道の直径の違いが40キロメートルですから、約0.3ミリメートルです。つまり、直径10センチメートルの地球を紙に書いたとき、もし0.5ミリメートルの芯のシャープペンシルで書いたら、地球の球体からの歪みは、線の太さ程度しかないと言うことになります。


ですから、紙にできるだけ正確に地球を描けと言われたら、何も考えずにコンパスできれいに円を書くとよろしいと言うことです。


ところで、光が1秒間に30万キロメートル進むと、地球を7周り半するのでしたね。300,000キロメートルを7.5で割って円周を求め、πで割ると直径が求まります。ざっと計算すると、地球の直径は12,700キロメートル(12,732.4キロメートル)と言ったところでしょうか。


光の速さから求めた地球の直径も、7周り半などと如何にもいい加減な割には意外と正確ですね。このように光の速さを覚えておくだけで、周波数から波長の計算ができたり、地球の直径を求めることができます。


「秒速30万キロメートル」を覚えておくと本当に便利ですね!(それほど便利ではないですが、、、)

334.秒速30万キロメートル1: 電波と目玉焼き (2004/04/25)

秒速30万キロメートルと言うと光の速さですね。電波とは、300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいいますが(電波法総則第2条)、電波も光と同じ電磁波ですから、同じ速さで空間を進みます。


1秒間に進む距離を周波数で割ると、波長が求められます。電波は波長によって特性が変わりますので、波長の帯域ごとに別の呼び方をします。


アンテナの基本形は、1/2波長のダイポールアンテナです。その電波の波長の半分の長さを必要とします。携帯電話で使われているアンテナは、基本的にボディー筐体を接地とした1/4波長のホイップアンテナです。実際のアンテナの長さは、ローディングコイルやアンテナ材質による短縮率によって、波長の計算より短いものが多く使われます。


AMラジオで使われている中波(MF)は、300Khzから3Mhzの電波を指し、波長は1Kmから100mになります。短波(HF)の波長は100mから10m、超短波(VHF)の波長は、10mから1mというように、波長が10分の1ごとに呼び名が変わります。


波長が1mから10cmになってくると、極超短波(UHF)と呼ばれ、周波数は300Mhzから3Ghzになり、現在の携帯電話無線LANBluetoothなどに利用されています。


アマチュア無線では、300Mhzを超える周波数を使う無線機では、人体、特に眼球で吸収された場合、そこひになると言われていました。そこひとは白内障のことで、眼球に吸収された電磁波のエネルギーが熱に変わり、文字通り目玉焼き状態になってしまうのです。


また、電子レンジの周波数が2.45Ghzですが、物体の中心部で熱に変わるため、食品を熱するのに適しています。赤外線などでは、体の表面で吸収され熱に変わりますから、温度を肌で感じることができますが、電子レンジの周波数の場合、身体の内部で熱になる為、気付かないうちに体内のタンパク質が変化する可能性があります。


UHF帯を使う機器が増えてきて、近い将来若くして白内障になる人が増えることがないように、携帯電話の使用はほどほどにして、その代わりもっとパームを使うようにしてはいかがでしょうか?(結論にかなり無理がありますな。)