asahi.comに、「日本雑誌協会、400誌の印刷部数を公表」と言う記事が掲載されています。これまでの出版社による自己申告では曖昧さがあり実態が分からなかったため、印刷工業会のお墨付きのデータによって発行部数を正確に把握しようというのが狙いです。
発行部数が正確でないと、雑誌の影響の度合いを広告主が評価ができないため、統一した基準によるデータが長年求められていたそうです。印刷部数の公表によって、出版業界の勢力図に変化が起こるかも知れません。
あるテニス雑誌では、印刷部数が出版社の自己申告の10分の1近くになってしまったケースもあるそうで、これまでの発行部数のデータがいかにいい加減であったかを物語っています。
まだ経過措置が採られているため、印刷部数と自己申告による販売部数が共存して発表されるそうですが、2-3年のうちには全ての雑誌の印刷部数を公表することになるそうです。
雑誌の分野によっては印刷部数の公表に消極的なところもあるそうです。車、スポーツ、パソコン、コミックの4分野が消極的だったと言うことですが、こんなところにも日本的業界の馴れ合いによる悪癖が蔓延しているのでしょうか?
これまでの自己申告による発行部数より正確な印刷部数が発表されることによって、広告主が印刷部数の多い雑誌に優先的に広告を打つのは当然の事でしょう。しかし、雑誌の読者である私たちは、印刷部数の多い雑誌を読んでいれば安心などとは考えないで、これまで以上に本当に自分にとって価値のある雑誌はどれであるかを見極めていきたいものです。
雑誌の影響力を測るには、本来の発行部数、すなわち印刷部数ではなく実売部数で判断するべきでしょう。実売部数を増やすことに比べ、印刷部数を増やすことはそれ程難しいことではないからです。
今でさえ実売部数は印刷部数の7割と言われているそうですが、更に印刷部数に注目が集まることによって、売れもしない雑誌を大量に印刷だけして発行部数を水増しし、古紙として裁断・回収に回される読み手のない雑誌が増えて行くことがないよう、切に願うのであります。