314.携帯電話の車内ルール (2004/02/17)

2月16日から関西圏の通勤電車で、携帯電話の使用に関するルールが統一されたそうです。私が利用しているJR西日本の車内でも、新しいルールになったことを説明するアナウンスが繰り返されています。要約すると次のようなルールに変更されたようです。



  • 優先座席の近くでは、携帯電話の電源を切ること。
  • それ以外の車内ではマナーモードにして、通話はしないこと。

優先座席の近くでは電源を切ることによって、心臓ペースメーカーに影響を与える可能性のあるいっさいの電波の発生を禁止しています。また会話や呼び出し音による苦情に配慮して通話を全面的に禁止しています。


これまでは、混雑している車内では会話やメール交換が迷惑であるとして電源を切るように呼びかけていました。しかし、「混雑した車内」の基準が曖昧であったり、全て電源を切る事に無理があり徹底されていませんでした。


今回の変更によって、心臓ペースメーカーに対する配慮会話がうるさいと言う苦情に適切に対応をしようとしているように思われます。今回の変更によって、優先座席の近くでなければ、音を出さない限りメールやゲームを遠慮なくすることが出来ますし、またパームを始めとするPDAも、安心して車内で使うことが出来るようになります。


ただ優先座席の近くと言う表現が依然曖昧さを残しています。また心臓ペースメーカーを装着した人が必ず優先座席に座っているわけではありません。心臓ペースメーカーを付けている人でも、元気はつらつとしている人もいるのです。


関西では阪急電車が、全ての座席が優先座席であるとした考えから、一番先頭の車両と最後尾の車両で携帯電話の電源を切ることをルールとしています。優先座席の近くと言う曖昧さがない点で優れていますし、心臓ペースメーカーを装着した人の便宜を図ったルールと言えるかもしれません。


ただ正直なところこれらの車内規則を設定しているのは、実際は事故が起こったときに鉄道会社側が注意義務を果たしていたという実績を作るためのアナウンスなのでしょう。


おそらく、他にはなかなかあり得ないぐらいの混雑した車内を提供しているのは鉄道会社ですから、その特殊な環境での携帯電話の危険性を警告する義務が生じると思われます。


22センチメートル以内で携帯電話の電波を心臓ペースメーカーに照射すると、動作に異常をきたすことがあると言うことが一般常識になっているとすれば、混雑した環境を作り出している鉄道会社に何らかの注意義務が生じることが考えられます。


取りあえず今回のルール変更は関西圏の鉄道会社で統一するのが目的ですから、電車を乗り換えるたびに異なるルールを気にしなくても良くなりました。携帯電話のマナーとして今後定着していく事を期待します。

313.最近の話題から (2004/02/11)

自己申告によるアワードの受賞が相次いでいるようですが(他人事のようですが)、最近の話題をいくつか振り返ってみたいと思います。


国税庁確定申告書作成コーナーが再開したそうですが、今年もとんでもないトラブルを起こしたようです。自分の申告書が勝手に全国のあちこちにばらまかれては、SSLによるセキュリティーも何の役にも立ちません。


このシステムに関しては、昨年利用した際「21.確定申告書作成コーナー (2003/02/23)」で書いたことがあり、今年の出来映えはどんなものかなと期待しておりました。


昨年は、ページを切り替えるたびに何分も待たされ、挙げ句の果てにサーバーから切り離されました。今年はレスポンスに関しては改善されたようですが、その後がいけなかったようです。おそらく昨年は10人同時に印刷する事が起こるほど、システムのレスポンスが速くなかったのでしょう。


ただ、全国から一斉に同じ時期に使うシステムで、10人同時に印刷する事が発生しない訳がなく、昨年のレスポンスに関しても同様ですが、システムの要件をまとめる時点でトラブルが発生することが確定していたのではないでしょうか?


確定申告書のデータを入力し終えてプリンターから印刷された申告書を見て、収入欄に200億円なんて書かれていたらびっくり仰天しそうです。


200億円と言えば、青色発光ダイオードの特許裁判の判決が思い出されますが(無理のある展開)、予想される製品の売り上げ額1兆2000億円となれば、その発明の業績の対価も過去にない高額になってしまいました。


売り上げに対する特許の貢献が50%利益率が20%特許の貢献に対する会社と発明者の割合が50%ずつらしいのですが、結果は600億円を対価として受け取り事が出来ると計算されたのでした。


会社側から提出された特許による収入は、経費を聞けば15億円の赤字になるとのこと。もしそれが本当なら、どこかの会社に特許ごと売ってしまった方が良さそうです。株主への説明にも、この発明によって赤字になりそうだと書かれているのでしょうか?


またどこかの経済団体の会長さんが、200億という賠償金額を聞いて、「そんな裁判をしていると日本の企業の活力が失われてしまう」と言ったそうですが、この発明による利益の計算が正しいかどうかを論じるべきであります。200億という金額が高額であるのは特許による利益が巨額になったからです。


200億円の支払方法は別途協議がされるわけですから、企業の活力が失われると言う安易な発言は控えてもらいたいものです。もし、問題点を指摘するなら、特許による利益の計算方法の問題、例えば「部品の利益率は裁判官の思うほど高くないよ」と言うような指摘をしてもらいたいものです。


さて、話題が変わってソニーのクリエTH55クリエオーガナイザーが注目を集めています。長い間置き去りにされていたPIM機能をブラッシュアップした、意欲的な作品と言えましょう。


ただ個人的には、手書きの文字を張り付けることが出来るというのは抵抗があります。なぜなら手書きの字が汚いからです。手書きの字が読みやすければ、紙の手帳でも良いのです。時々、分厚いシステム手帳に細かい字でびっしりと紙面を埋め尽くしている人を見かけます。このようなことができる人は何もPDAの力を借りなくても、自分だけの手帳を作り上げていくことが出来るでしょう。


しかし、私のように自分で書いた文字が既に暗号化されているような場合、書いた直後ならまだしも、しばらくしてから見直すと何を書いたか自分でも分からない事があります。このような場合、大抵は読み返すこと自体が苦痛なのです。


ですから私にとって、PDAの最大のメリットは手書きしなくても良いことなのです。今更手書きの汚い字をきれいなフォントの上に重ねる気にはなれません。


ただ、PIMに新しい改革をもたらそうとする今回の製品は評価に値すると思います。これをきっかけにPIMが本来の価値を取り戻し、PDA購入の一番の理由になることを期待します。


PIMは最もパームをコンピューター的に使うことが出来る機能なのです。ですから、もっと既存のコンピューターの技術を応用すれば、飛躍的な発展が望めるのではないでしょうか。既存のPIMデータを継続して利用でき、なおかつ革新的なPIM機能を提供する製品の登場を期待しております。

288.携帯電話の影響様々 (2003/12/20)

わずか数年の間に生活の中に溶け込んだものとして、携帯電話は歴史に記録として残ることでしょう。勿論、急激に普及した物は過去にもありましたが、老若男女を問わず普及した物はそれほど多くはありません。


それだけに多くの社会現象を引き起こす原因にもなるわけですが、電車の中での迷惑行為としてその筆頭に上げられていると言うことは、その普及率の高さ故であります。


神戸ルミナリエと言う催しが開催されていますが、中間集計で開幕からの7日間で来場者数が202万7千人だったと、神戸新聞 WEB NEWSで伝えられています。前年同期比で15万3千人の減少だそうです。


点灯直前に雨が降り出した日があったりして全体的に来場者が減ったと言うことですが、具体的な理由としてはカメラ付き携帯電話の普及によって、行列の進み方が遅くなったというのが上げられているそうです。


確かに写真を撮りながら歩く人が増えていますから、ただでさえ混雑して思うように歩けない上に、さらに遅くなれば混雑に拍車がかかるかも知れません。来場者数に影響があるかどうかは分かりませんが、携帯電話が何らかの影響を与えているとしても不思議ではありません。


そういえば、昔は大阪の街を歩く人の速さが圧倒的に東京より速いと言われていましたが、最近はそうでもないような気がします。気が付けば、大阪駅周辺を夕方歩いている1-2割の人が、聖徳太子よろしく携帯電話の液晶画面を見ながら歩いています。


さらに、携帯電話で会話をしながら歩く人も含めると、かなりの人が「ながら族」(死語)状態で歩いていますから、大阪が歩く速さを誇った時代は過去の物となりました(別に誇りでも何でもないのですが)。


最近日本の経済状態が、回復傾向にあるという記事があちこちの新聞で見られるようになりましたが、みんなが携帯電話会社に支払う金額を節約し始めたためではないかと想像してしまいます。


そろそろ携帯電話が世の中の経済を動かしていた時が過ぎ去ろうとしています。次は、一体何が経済を引っ張って行くのでしょうか(勿論パームでしょう)?

285.600メートルの第2東京タワーは必要か? (2003/12/18)

首都圏の地上デジタル放送に使う第2東京タワーの建設に向け、推進プロジェクトがNHKと民放5局共同で発足したそうです。


地上デジタル放送受信障害を減らす為には、高さ600メートル級第2東京タワーから強い電波を出す必要があるそうです。デジタル技術を使っても、相変わらず受信障害が起こると言うのも滑稽な感じがしますが、果たしてそのような巨大なタワーを建てる必要があるのでしょうか?


都心部では、如何にアンテナの向きを調整しても、周辺のビルやマンションによる電波障害を避けることは難しくなってきました。例えそれほど大きくないビルであっても、周辺の住宅への電波障害の原因となり得ます。


すでに都会ではケーブルテレビが普及してきています。ケーブルテレビのメリットは、受信障害がないと言うだけでなく、チャネル数が多いことを利用して、地上波放送以外の地域チャネルや有料放送を配信することができます。また、双方向性を利用してインターネットとしても利用されています。


高い塔を建てて強力な電波を発信すると言う物量作戦もあるかもしれませんが、それだけで受信障害が根本的になくなるとは思えません。新タワーの建設費が、既に敷設が進んでいるケーブルテレビを維持する費用より安いのならばメリットがあるかも知れませんが、高さ600メートルのタワーがそれほど安い物とは考えられません。


それ以前に、地上デジタル放送そのものの魅力があるかと言うことになるのですが、これまでと放送内容が大差ないとしたら、地上デジタル放送そのものの将来はあまり明るいとは言えないでしょう。


いくらチャネルが増えたとしても、内容のない「薄いコーヒーとお茶の出がらし」ばかりになってしまっては、どこかの「キツネが走る高速道路」と同じです。インフラの整備は社会を充実するためには重要ですが、だからこそ社会のニーズを正しく捉えていなければなりません。


インターネットの普及による危機感を持ち、価値ある情報を配信すると言う本来の姿を求めていかなければ、多様化した情報ネットワークから放送(broadcast)システムそのものが脱落する事になりかねません。


電話が変わり、新聞が変わり、広告が変わり、そろそろ放送も変わらなければならないでしょう。タワーが放送の権威であった時代は、とうの昔に終わっているのです。

263.信用できないクレジットカード (2003/12/02)

“238.クレジットの信用落ち”で、旅行のホテルを予約した際、すぐに口座からの引き落としがされクレジットカードの信用がなくなってきていると嘆いたのですが、USに来てさらに事態が深刻であることを知りました。


日本でもクレジットカードの盗難や偽造が問題になっていますが、国内でクレジットカードを使う際に、特別にこれまでと違う事を要求されたことはありませんでした。


ところが、USではまずクレジットカードを使おうとすると、金額の多少に関係なく写真付きのIDの提示が求められました。全ての店舗で要求されるわけではありませんが、70-80%の確率で求められました。


パスポートなどの写真付きのIDに記載された名前と、クレジットカードの名前を照合しているようです。クレジットカードが本人の者であるかどうかを確かめているのです。


日本では、いまだに家族のカードを使っていても平気な場合があります。そもそも、日本では写真付きのIDと言っても運転免許証しかありませんし、名前が漢字だけの表示ですから、クレジットカードの名前と照合することは出来ません。


運転免許証には、少なくともローマ字で名前が記載され、それが運転免許証であるという事や発行者の名称が、英語で表示されるべきだと思います。また同時に、運転免許を持っていない人のために、同様の機能を持った写真付きのIDが発行されるべきです。


さて、店舗など人が対面で接する場合は、写真付きIDの提示を求めることが出来ますが、クレジットカード対応のガソリンスタンドなどでは、対面販売でないためクレジットカードと写真を照合することが出来ません。そこで大都市では、ZIPコード(5桁の郵便番号)を入力させるようになりつつあるようです。


ラスベガスで、初めてこのようなガソリンスタンドに遭遇しました。どのようなZIPコードでも良いのかと思い、試しに実在する都市のZIPコードを入れてみました。しかし、どうもクレジットカードの請求先住所のZIPコードと一致しなければならないようです。


確かに、盗難にあったクレジットカードを防御するためには、本人しか分からないようなコードを入力する必要があるのでしょう。ZIPコードは、完璧でないまでも盗難カードの使用を諦めさせる効果がありそうです。


では私達日本人が、クレジットカードでガソリンを入れることが出来ないのかというとそうではなくて、人がいるカウンターに行って写真付きのIDを提示することによって、クレジットカードで支払うことが出来ます。


以前はクレジットカードは身分証明にもなると言われていましたが、今や全くその面影はなくなってしまったようです。日本でも、写真付きのIDが要求される日が近い内にやって来るのでしょうか?